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Introducing IWC 新型インヂュニア オートマティック 40(編集部撮り下ろし)

このブランドは、40年ぶりにジェラルド・ジェンタにインスパイアされたアーカイブに立ち返り、過去を振り返るデザインを採用した。

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我々が知っていること

ジェラルド・ジェンタがIWCのために製作したアイコニックなスポーツスティールウォッチ、1976年製のインヂュニア SL“ジャンボ”の愛称で知られる、Ref.1832がついに復刻された。

 シャフハウゼンのこの時計メーカーにとっては、Watches & Wondersで最も注目を集める新作になることは間違いないだろう。時計ファンや業界関係者は、生産終了から40年がたった今、ついにこのモデルが登場したことに驚き(それと超うれしい気持ち)を隠せないだろう(ただし2017年までは、ほかのインヂュニアモデルも販売していた)。このカルト的な人気を誇るデザインの復刻は、されるかされないかという問題ではなく、いつされるのかが問題だった。

当時のインヂュニア SL“ジャンボ”

インヂュニア SL“ジャンボ”

 ジェンタのほかの大ヒットモデル(APのロイヤル オークやパテックのノーチラスなど)とは異なり、インヂュニアコレクションは、この有名なデザイナーが参画する以前から存在していたモデルだ。

 1955年、IWCの初代インヂュニアは、悪魔のようなリファレンスナンバー、666で登場した。この控えめなラウンドウォッチには、ペラトン式自動巻き機構を備えた、IWC初の自社製自動巻きムーブメント、Cal.8531を搭載していた。このムーブメントは耐磁性に優れていたのが特徴で、強い磁場に常時さらされる技術者、物理学者、医師などをターゲットにしていた時計だった。

 フランス語でもドイツ語でも“エンジニア”と訳される、インヂュニアという名前は、まさにうってつけだった。

 1970年代に入ると、時計業界はクォーツショックと金価格の高騰というふたつの最悪の事態に見舞われ、膝を抱えるようになる。そこでIWCは強力なビジュアルアイデンティティ(ブランドを象徴するデザイン的要素)とスティール仕上げを備えたインヂュニアラインを刷新するべく、ジェンタを起用した。ジェンタはH型リンクのブレスレットと、構造的な文字盤を組み合わせたほか、さらにそこに5つの穴を持つねじ込み式ベゼルを追加した。彼はねじ込み式ベゼルを好んで使っていた。

ヴィンテージのインヂュニア、ゴールドベゼルモデル

ヴィンテージのインヂュニア

 インヂュニアにはSLという名称が追加されたが、興味深いことにIWCの現CEOであるクリス・グレインジャー・ヘル(Chris Grainger-Herr)氏も、SLが何を意味しているのか、いまだに謎を秘めていると認識している。なかでもイタリア人は“Super Lusso”と、フランス人は“Super Luxe”と命名し(ともにスーパーラグジュアリーという意)、単純にスティールとラグジュアリーというのも有力な説ではある。また40mmという大きさから、市場では“ジャンボ”という愛称でも呼ばれている。

 そして2023年。新しいインヂュニア オートマティック 40は、3種類の文字盤カラーとチタンモデルを展開。ジェンタのデザインを忠実に再現し、より洗練された外観に仕上げられた。

IWC インヂュニア オートマティック 40のホワイト文字盤

 人間工学に基づいたデザインも、重要な要素のひとつである。オリジナルのH型リンクブレスレットの幅を細くして、さらにノーズ型のラグを可動式のミドルリンクに変更し、さまざまなサイズの手首にフィットするように設計されているのだ。さらにケースリングをわずかにカーブさせることで、装着感を向上している(この時計はベゼル、ケースリング、裏蓋の3つのパーツで構成されている)。

 最もわかりやすい変更点はベゼルだろう。初代SLは5つの穴で固定するねじ込み式ベゼルを採用していた。これは瓶の蓋のようにねじ止めするため、時計によって穴の向きに多少のずれが生じてしまっていた。しかしIWCでは、精密さと技術力の高さが命だ。ベゼルとケースリングを固定するネジを機能的な多角形ネジに変更して、シンメトリーな安定したポジショニングを実現している。

IWC インヂュニア オートマティック 40のブラック文字盤

 このモデルは、サテン仕上げにポリッシュ仕上げを施したエッジが特徴的な1本だ。またスポーツウォッチとしてのルーツを強調するなめらかなリューズガードと、100mの防水性を備えている。

 IWCが“グリッド”と呼んでいる直角の線によるパターンは、オリジナルのストラクチャーダイヤルより際立ち、さらに輝きが加えられたように感じる。なおオリジナルの文字盤には型押しが施されていたが、今回は型押しと研磨を組み合わせるという新技術により、グリッドのエッジをより精密に仕上げ、サンバーストのような煌めきを放つようになった。

IWC インヂュニア オートマティック 40のブラック文字盤、質感のディテール
IWC インヂュニア オートマティック 40のリューズ
IWC インヂュニア オートマティック 40の裏蓋

 文字盤カラーはブラック、ホワイト(この2色は写真参照)、ブルーグリーンアクア、そしてチタンモデルのクールグレーの4種類が用意された。


我々の考え

時計の復刻というのは常に、楽観的な考え方とノスタルジックさが見られるものだ。さらに故ジェラルド・ジェンタの場合はなおさら。とはいえ、以前のベゼルは、なんだか不格好で不規則な感じがしてちょっと好きだった。だが、新しい高機能なネジのおかげで、超なめらかでシンメトリーな外観になったことは認めざるを得ない。

 さらに文字盤の美しさは折り紙付きだ。オリジナルの全体的なプロポーションの再現がうまく機能しており、特にアクアとホワイトのモデルは、しっかりと光を捉えている。このふたつは私のお気に入りだが、ブラックも同様に人気が出るのではないだろうか。

IWC インヂュニア オートマティック 40のリストショット

 一方、人間工学に基づいた改良は、大きな違いを生み出している。優れたデザインとは、目立たずシームレスであることだとすれば、新しいインヂュニア オートマティック 40はそれを見事に実現していると思う。ラグからラグまでの距離を45.7mmと短くしたことで、手首に沿うようにぴったりとした軽い装着感を実現し、さらにケースを改良したことで、時計の収まりもよくなった。

 この時計はとても身につけやすく、1日中つけていられる。朝から気軽に手が伸びて、昼も夜も気持ちよくつけられる1本なのだ。ちなみに私は手首が細いため、このデザインが性別に関係ないジェンダーニュートラルな魅力を持っていることが証明できる。

IWC インヂュニア オートマティック 40、ブラック文字盤のイメージカット

 最後に、IWCがジェンタのオリジナルデザインをこれからどのように発展させていくのかということと、誰がこのモデルを買うのか、興味深い疑問もある。

 長年にわたってコレクターやジャーナリストはIWCに、“ジェンタモデルを復活してほしい”と懇願してきた。そして今、それが実現したのだ。これまでのインヂュニアは、ごく一部の人たちのための時計という印象が強かったのだが、昨年ヴァシュロンが222を発表したように、インヂュニアは本流に乗る可能性を秘めた、愛好家向けの時計として復活を果たしたのだ。


基本情報

ブランド: アイ・ダブリュー・シー(WC Schaffhausen)
モデル名: インヂュニア オートマティック 40(Ingenieur Automatic 40)
型番: IW328901(ブラック)、IW328902(シルバー)、 IW328903(ブルーグリーンアクア)、IW328904(グレー)

直径: 40mm
厚さ: 10.8mm
ラグからラグまで: 45.7mm
ケース素材: ステンレススティールまたはチタン(グレーのみ)
文字盤: ブラック、シルバー、ブルーグリーンアクア、グレー
インデックス: アプライド
防水性能: 100m
ストラップ/ブレスレット: フォールディングクラスプ付き一体型SSブレスレット

IWC インヂュニア オートマティック 40、ホワイト文字盤のイメージカット

ムーブメント情報

キャリバー: 32111
機能: 時・分・秒、日付表示
パワーリザーブ: 約120時間
巻き上げ方式: 自動巻き
振動数: 2万8800振動/時
石数: 21


価格 & 発売時期

価格: SSモデルは156万7500円、チタンモデルは195万8000円(ともに税込)
発売時期: すぐに
限定: なし

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詳しくはIWCのウェブサイトをご覧ください。