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クイック解説
新作のカルティエ タンク アシメトリックは、プリヴェの4作目となる時計だ。プリヴェは、もともとは1998年から2008年にかけて展開されていた同社のクラシックかつヒストリカルなデザインのコレクションであり、現在も続くものだ。2015年のリニューアル以降カルティエは、「クラッシュ」、「トノー」、そして「サントレ」の新バージョンを発表している。それぞれにスタンダードモデルとオープンワーク(スケルトン)モデルの2バージョンが用意されている。今年のアシメトリックは、クラシックの復活を告げるものであり、コレクターにとって、非常に人気があり入手困難なモデルの再来を意味するのである。通常のラウンドケースでもスクエアケースでもない、時計デザインからの根本的な逸脱を表していた初代アシメトリックは1936年に初めて登場した。
初代のタンク アシメトリックは、時間の確認を容易にするために作られたと考えられている。時間の確認のために手首を上げると菱形(アシメトリックは、菱形を意味するロザンジュとも呼ばれていた)の12の部分が丁度一番上になるのだ。これは当時も今も、デザイン的に非常にユニークな存在だったことは間違いないだろう。
タンク アシメトリックは、当初から様々なバリエーションが展開されており、1936年以降、同社によって何度も登場している。2006年には250本のイエローゴールド製のアシメトリックが製造され、1999年には、右利き用と左利き用の2本がセットになったものが99セット生産された。長年に渡って生産された本機は、中央にもラグを3本持つものとそうでないもの、そしてローマ数字のものとアラビア数字のものなどいくつも製造されてきている。
新モデル「アシメトリック」は、プラチナ、ピンクゴールド、イエローゴールドの3展開で、カボションが施されたカルティエお馴染みのリューズもある。プラチナ、ピンクゴールド、イエローゴールドは、それぞれ100本限定で発売される。
ファースト・インプレッション
今年の初め、我々が最後にヨーロッパへ行った際に、パリでアシメトリックのプロトタイプを見る機会があった。これは、カルティエの長い歴史の中でも最もシックな時計の1つだろうと思う。本機は、一部の人にはあまり受け入れられない時計かもしれない。結局のところラウンドケースの時計は、どんな種類のスクエアケースの時計よりもはるかに人気があるのだ。そういう意味でアシメトリックはニッチな時計の中でもとりわけニッチな時計だ。
しかしその割には、カルティエ愛好家の間では非常に幅広い層に支持されているようだ。私が出会ってきた多くの時計ジャーナリストや時計ライターたちも同様に絶賛している。数十年経った今も新鮮なデザインなのだ。カルティエは、「王の宝石商、宝石商の王」と呼ばれていたが、それは王侯貴族からの絶大な支持を得たジュエラーだからこそである。プラチナやダイヤモンドといった素材に長けた同社は、他よりも風変わりなメーカーとして認知されているわけではないが、新作のアシメトリックはこれまでのそれら同様に成功を収めるだろう。奇抜なデザインながら、洗練されたプロポーションも兼ね備えており、クラシックの性質を持っている。もちろん遊び心もあるが、詳細にまで気が配られているため、やりすぎにならないのだ。これは時計製造の世界では、他のどこでもできるものではない。
矛盾したデザインの組み合わせは、単なる矛盾の集まりに見えることもがるが、それを全て合わせたときに控えめになることがあるのだ。アシメトリックの魔法は、そのほとんど不条理なコンセプトと非常に厳格な幾何学性を以て、独特な生き生きとしたアイデンティティを組み上げている。パリでは、一度しか着ける機会がなく時間が経ってしまったが、いつかまたこのユニークな喜びを味わえることを願っている。
基本情報
ブランド:カルティエ(Cartier)
モデル名:カルティエ プリヴェ タンク アシメトリック(Privé Tank Asymmétrique)
直径:47.15mm x 26.2 mm
厚さ:6.38mm
ケース素材:ピンクゴールド、イエローゴールド、プラチナ
文字盤色:シルバー、アトラシートグレイ、ゴールド
インデックス:アラビア数字
ストラップ/ブレスレット:グレーまたはブラウンのアリゲーターストラップ
ムーブメント情報
キャリバー:1917 MC
機構: 時、分表示
直径:16mm x 12.95mm
厚さ:2.9mm
パワーリザーブ:38時間
巻き上げ方式::手巻き
振動数:3 Hz(2万1600振動/時)
石数: 19
価格・発売時期
価格:18KYGと18KPGモデル: 279万6000円、PTモデル: 319万2000円(全て税抜予価)
発売時期:12月予定 限定:各モデル100本限定
詳細についてはカルティエ公式サイトへ。
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