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Historical Perspectives IWC フリーガークロノグラフ・ケラミック Ref.3705 希少な現代のIWCを振り返る

今やクラシックとなったこのIWCは、ブランドとその進化について多くのことを語ってくれる。

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※本記事は2016年2月に執筆された本国版の翻訳です。 

過去数十年のIWCの時計の中でも最も希少で、最も興味深い時計の一つに、新しいIWCの顧客やファンの多くが耳にしたことがないと思われる“フリーガークロノグラフ(パイロット・ウォッチ・クロノグラフ)”がある。フリーガークロノグラフは、IWCが1994年に初めて発表したモデル(1988年にチューリッヒ近郊のデューベンドルフ飛行場でデビューした、ほぼ完全に忘れられているハイブリッドクォーツメカニカルウォッチ、36mmのパイロット・ウォッチ・クロノグラフの後継)だ。セラミック製ケースの“ フリーガークロノグラフ・ケラミック(公式サイトではパイロット・ウォッチ・クロノグラフ・セラミック)” 3705は、スタンダードなステンレススティール製バージョン(Ref.3706)と同じ年に発表された。約4年前に最新のセラミック製IWC パイロット・ウォッチ・クロノグラフと比較した記事「Historical Perspectives History Lesson: Comparing The IWC Top Gun Miramar Chronograph vs. IWC's Very First Ceramic Chronograph, The 3705」で3705を取り上げたが、もう一度見ても良い時期かもしれないと思っている。

IWC 3705 ceramic fliegerchronograph

 3705は、IWCが製造した初のセラミック製ケースウォッチではなかった。IWCでは、1986年に幅広いカラーを揃えたダ・ヴィンチ・クロノグラフ・パーペチュアル・カレンダーを発表した時に、早くも酸化ジルコニウムセラミックの実験を行っており、少し風変わりなあるモデルは、一見したところ、ライムグリーンで提供されたようだった(そのうちの1つの写真を見つけることができれば、私は幸せな男として死ねるだろう)。時計のケースにエキゾチックで超硬質、耐擦傷性のある、ないしは擦り傷に強い素材を取り入れる試みは、もちろんそれ以前にもあった。ラドーは1962年にタングステンカーバイドのディアスターを発表し、1973年にはオメガがサーメットケースを使用した時計の開発を開始した。サーメットはその名が示すように、酸化アルミニウムセラミックとタングステンカーバイドの複合素材で、1982年に“ブラックチューリップ”として発表された。しかし、私が知る限りでは、最も古い純粋なセラミック製の時計ケースは1986年にIWCによって製造されたものだった。

iwc da vinci ceramic perpetual calendar chronograph

 上の写真は1995年頃のセラミックとイエローゴールドのもので、当時、これらはかなり人気のある時計だったことを覚えておくことは興味深いことだ。今日、このような時計(おそらく38.4mmのものよりも)売るのは難しいかもしれないが、実際のところは誰にも分かりはしない。

iwc ceramic fliegerchronograph 3705 case flank

 セラミック製のパイロットクロノグラフは、興味深い存在だ。このモデルは非常に少数が生産され、その生産期間もそれほど長くはなかった。IWCの歴史家であるデビッド・セイファート(David Seyffert)博士によると、1994年から98年まで販売されており、IWCは正確な生産数を把握していないが、セイファート博士は、間違いなく2000本以下であったと語っている。先日、我々がインスタグラムでこの時計の写真を共有したところ、同時期のステンレススティール製バージョン(3706)を所有する人が、セラミック製バージョンが存在することすら知らなかったとコメントしていた。非セラミックのSSモデルよりも約50%以上高価だったため、セラミック製バージョンはおそらく希少であったのだろう。

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 何年も前に、IWCのニューヨーク事務所で、当時IWCのUS支社長だったブノワ・デ・クレールの手首に装着されていたこの時計を初めて見た時、存在自体があまりにも風変わりだったと思ったことを覚えている。“逢わねばいや増す恋心”という古い格言は真実に違いないが、私がオフィスでこの時計を見たとき、それは次のようなものだった。そう、大学時代に知り合い、数年後の同窓会でその時は気づかなかったあの子に会うようなもので、彼女を溺愛する夫を後ろに従えて自分自身に言い聞かせる。なんてこった、何を考えていたんだろう、彼女はなんて素敵なんだと。

iwc 3705 side view
iwc 3705 ceramic

 この時計は非常によくエイジングしており、いやむしろトリチウムマーカーの焼けが魅力的であることを除けば、ほとんどエイジングしていない。これはもちろん、酸化ジルコニウムの工業用セラミックを使用しているからだ。これは表面コーティングではなく、粉末状の酸化ジルコニウムを高温高圧下で金型に入れてプレスして作られている。隅々までセラミックで、出来上がった素材は非常に硬く、ダイヤモンドの切削工具でしか加工できない。また、結晶性の微細構造のおかげで、非常に割れにくく(ちなみに、セラミックナイフにも使用されている)、腐食せず、軽く、そして完璧な低刺激性を備える; 一言で言えば、ほぼ理想的な時計ケース材料である。

iwc ceramic fliegerchronograph 3705 soldier

 ムーブメントが自社製ではないという理由で、この時計に異論を唱える人もいる。実のところ、IWCのムーブメントはバルジューの 7750を改造したものだ。ご存じの方も多いと思うが、IWCは提供された全てのムーブメントを手作業で調整、温度、姿勢、等時性に合わせて調整している。原則として、ツールウォッチに求められる信頼性と精度の点で、ほぼ満足の行くパフォーマンスを発揮する。(時計について書いて20年近くになるが、私は自社製か供給されたものであるかについて、あまりにも頑なであることは、興味深い時計製造の多くを見逃していることを意味し、さらに、自社製であること自体はほとんど何の意味もないと心から感じている。- 他の利点の詳細を考慮に入れない限り、全くと言ってもいいほどだ)。 

 結局のところ、マークXIIは、おそらくオメガのスピードマスター ムーンウォッチ以外で最も普遍的に愛されている愛好家の時計であり、この時計はジャガー・ルクルトの自動巻きムーブメントを搭載している(それに加えて、そして何よりも多くの人がスポーツウォッチとしては少々疑問を感じている)が、誰もそれを悪く思っていないようだ。(私はまた、誰もマークXIIの白い日付ディスクを気にしていないようだという事実に疑問を感じざるを得ないが、映画『ハロルドとモード 少年は虹を渡る』の中で主人公の女性が言うように、一貫性というのは実際には人間的特性ではない)。

iwc ceramic 3705 fliegerchronograph wrist shot

 この1990年代半ばの少し忘れられた宝物の良いところは、見つけられたとしても、それほど高価ではないということだ。かなりの掘り出し物であることに加えて、これらの時計に焦点を共有するのに十分な親切な読者からのいくつかの情報では、約7000ドル(約75万円)、おそらくそれよりももう少し多くの支払うことになることを示唆する傾向がある。1つを見つけることができれば、それは少し忘れられた宝物だ。我々が言ったように(特にIWCの基準では)、数は非常に少なく、所有している人々はこの時計を手放すことに非常に気が進まないように見えた。私は今の状況を、理想的な採石場のようなものだと思っている。手頃な価格で手に入り、見た目も素晴らしく(本当に素晴らしく)、しかも十分に希少なので、もし欲しいと思ったら、面白い宝探しになるだろう。

1994年から1996年にかけて製造されたIWC フリーガークロノグラフ・ケラミック(パイロット・ウォッチ・クロノグラフ・セラミック)。39mmの酸化ジルコニウムセラミック製ケース、ステンレススティール製ケースバックにエングレーヴィング加工。ムーブメントは、IWCが改造したバルジュー/ETA 7750、時刻表示、日付(もちろんドイツ語)。 

IWCの公式サイトはこちら。