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Introducing ユリス・ナルダン ダイバー ネット 海洋プラスチックという環境問題に取り組んだコンセプトウォッチ

海洋との深いつながりをもつユリス・ナルダンが示した、環境問題への対策のひとつの解。

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クイック解説

 1846年にスイスのル・ロックルで創業したユリス・ナルダンは、航海ナビゲーションを左右する重要な計器のひとつであるマリンクロノメーターの優れた造り手としての歴史をもち、海洋と深いつながりのあるブランドとして知られています。また同社は、プラスチックによる海洋汚染への解決策の研究・開発に向けた取り組みの一環として、特に牡蠣の殻、藻類、海洋PET(プラスチックボトル)、ポリアミド製漁網の特性の研究を行う部門を設立。時計製造においても、持続可能性を推進するプロジェクトを進めています。

ダイバー ネット。

R-ストラップ。

 そんなユリス・ナルダンから新たに登場したのがこのコンセプトウォッチ「ダイバー ネット」です。ダイバー ネットの最大の特徴は、リサイクル素材が多用されていること。海洋汚染の主な原因のひとつである漁網をリサイクルした素材を、ケース、ミドルケース、ベセルに採用。ストラップは、同社が「R-ストラップ」と呼ぶベルクロ式のファブリック製で、海から拾ったペットボトルをリサイクルした素材が使用されています。

FIL&FABの創業者3名。

 ユリス・ナルダンは、ダイバー ネットの制作にあたって、フランスで初めて漁網リサイクル分野を創出したFIL&FABに協力を依頼。創業者である若手デザイナー3名が、ダイバー ネットのケース、ミドルケース、裏蓋、そしてベゼルの装飾を手掛けました。FIL&FABは、使われなくなった漁網を港から回収し、耐摩擦性に非常に優れたポリアミドペレットへ変換し、素材へと作り変えます。

漁網

回収された漁網。

ポリアミドペレット

漁網はポリアミドペレットへと変換。

 ダイバー ネットは、同社のダイバーズウォッチコレクションであるダイバー Xの44mmモデルをベースとしており、100%リサクルした漁網を活用したケースは、マットな質感をもったフルブラック。文字盤は、グレーをベースにホワイトの大きな「UN」ロゴ、そしてダイバー Xの意匠であるXが確認できます。文字盤、ベゼル、リューズプロテクター、さらにリサイクルPETストラップのステッチには自然を連想させるグリーンのアクセントが取り入れられています。

 ケースの表と裏に配された風防には、透明なセラミックガラスを採用。リサイクル素材ではありませんが、従来のサファイアクリスタル風防に比べて製造時のエネルギー使用が抑えられ、環境に配慮された設計となっています。セラミックガラス越しに見えるのは、内部に搭載された自社製自動巻きムーブメントUN-118。12時位置にパワーリザーブ表示、6時位置には日付表示とスモールセコンドを備えています。脱進機は、シリシウム テクノロジー&ダイアモンシルが採用されており、パワーリザーブは約60時間。

 ユリス・ナルダン ダイバー ネットは、現時点ではコンセプトウォッチのため、金額などは未定です。ですが、今後発売される可能性もあるのではないでしょうか。発売された暁には、その収益が環境問題への取り組みの循環に用いられるのかも気になるところです。

ファースト・インプレッション

 近年、環境問題に対する意識が高まっています。サステナビリティ(持続可能性)は、企業活動における一つのキーワードとなっています。とりわけ今、海洋プラスチックごみへの注目は大きく、日本でも今年の7月1日からレジ袋の有料化が一斉にスタートするなど、日々の生活の中でも取り組みがスタート。毎年800万から900万トンものプラスチックが海に流され、カメがポリ袋をクラゲと間違えて飲み込んでしまったり、海鳥の80%がプラスチックを飲み込んでしまっている現状があります。

 時計の世界でも環境問題への取り組みは、様々なブランドが取り組んでいる内容ですが、今回のユリス・ナルダンの事例は非常に興味深いものです。なぜならリサイクル素材をケースとストラップ両方に活用した腕時計は、まだまだ少ないからです。今年の初めにパネライから使用済みの飛行機の機体からリサイクルしたEcoチタンをケースに採用し、ペット素材をリサイクルしたストラップを使ったサブマーシブル マイク・ホーン エディション 47mmがあったことを思い出しますが、それ以外の例を思い出すことができません(もし例があれば、ぜひコメントやSNSで教えて下さい)。

 海事時計の長い歴史をもち、海洋との深い関係にあるユリス・ナルダンが、こうした取り組みを行うことは、自然な流れのように感じますが、こうした取り組みの背景には、ユリス・ナルダンがケリンググループ傘下のブランドであることも要因のひとつだと思います。ケリングは、グッチ、サンローラン、ボッテガ・ヴェネタ、バレンシアガ、ブリオーニ、ジラール・ペルゴをはじめとする自社の事業活動および全サプライチェーンを対象に、カーボンニュートラル化に取り組んでおり、2025年までに年次温室効果ガス(GHG)排出を2015年のデータをベースラインに50%削減することを目標としているからです。

 ダイバー ネットは、100%リサイクルした漁網から作られた時計で、リファレンス番号1183-170/90-PLASTの末尾の“PLAST”からも分かる通りプラスチック製。それでいてダイバーズウォッチとして300m防水を実現しているのは驚異的なことだと思いますが、個人的に最も気になるのは、その質感や重量感です。プレスリリースの画像からは、マット仕上げの質感の高いブラックケースに見えますが、実際に手に取って、手首に装着したときにはどのように感じるのでしょう。コンセプトウォッチであるためなかなか難しいかもしれませんが、機会があればぜひ触ってみたいと思います。

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基本情報

ブランド: ユリス・ナルダン(Ulysse Nardin)
モデル名: ダイバー ネット(Diver Net)
型番: 1183-170/90-PLAST

直径: 44mm
ケース素材: 100%リサクルした漁網
文字盤色: ホワイト、グレー、グリーン
インデックス: アプライドのバー
夜光: あり
防水性能: 300m
ストラップ/ブレスレット: ベルクロ式ファブリックのR-ストラップ(海から拾ったペットボトルを100%リサイクル)


ムーブメント情報

キャリバー: 自社製 UN-118
機能: 時、分、スモールセコンド、日付、パワーリザーブインジケーター
パワーリザーブ: 約60時間
巻き上げ方式: 自動巻き
振動数: 2万8800振動/時
石数: 50
クロノメーター認定: あり


価格・発売時期

価格、販売時期、限定: コンセプトウォッチのため未定

詳細は、ユリス・ナルダン公式サイトへ。