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日本市場でも快進撃を続けるティソが、新たな直営ブティックを大阪・心斎橋にオープン。最新作であるゴールドカラーのPRXから、大阪限定モデルも登場し新しい門出を大いに祝福した。当ブティックは、東京・銀座と代官山の店舗と同様にティソの主要ラインナップが揃い、なかでもPRXやシースター、T-タッチを始めとした現代的でスポーティなモデルが1Fに、バナナ・ウォッチやポルトなどのヘリテージラインが2Fで楽しめる構成となっている。今回は、8月25日のオープン初日に訪問する機会に恵まれたため、最新PRXのレビューとともにお届けする。
PRXはティソが1970年代に展開していたPRシリーズを現代的に再構築し、「Precise and Robust」をコンセプトとして、1978年のヘリテージモデルを直接的なデザインソースとしていると発表された(詳細はPRX初登場時の記事を参照)。近年はどのブランドでもブレスレットタイプのスポーティな時計がラインナップされるようになっているが、ティソはその源流である70年代にルーツを持っているという点で、手に取るべき理由が十分にある。興味深いのが、過去のティソのモデルを調べてみるとシースターの名前が印字されたスポーティなモデルで、このPRXのようなケース形状をしたものも見つかる。その他、PRシリーズも複数モデル存在しており、現代のモデルに対してロイヤル オークのRef.5402 STのような明確な“初代”が存在しているわけではないのだ。
おそらく、今回登場したイエローゴールドPVDが施された新作も過去に倣ったというより、現代的なセンスでデザインされている点でとてもティソらしさを感じる。PRXは時計愛好家からも支持を得ているが、それ以上に初めて時計を買う層や若年層の人気を獲得していると聞くので、とても正しい判断だと思う。
40mmサイズの文字盤には、縦の筋目模様が入る。
女性でもつけやすい35mmサイズは、放射パターンの文字盤がエレガント。
PRXのつけ心地は相変わらずいい。10.40mm厚の薄さと、過不足なく滑らかに仕上げられたブレスレットは、カジュアルな装着感をもたらしてくれる。いわゆるラグスポのようなずっしりとした重さと、腕を動かすたびに光を反射して輝く仕上げなどがあるわけではないが、日常的につける金属製の時計として十分すぎる出来栄えだ。日本では、PRXをビジネスで使うニーズも多そうだが、ベーシックカラーであれば重宝すると思う。10万円以下、いや30万円以下くらいまで予算を広げたとしても、ダイバーズウォッチ以外でデイリーにつけやすいブレスレットウォッチはPRXの独壇場ではないだろうか?
さて、今回の心斎橋ブティックオープンに際して用意されたモデルは、40mm、35mmともに「OSAKA」の刻印が裏蓋に入る。「TOKYO」や「GINZA」が多い時計業界の常識からするとこれは“希少価値”を高める要因となるのか(本機を購入する若い層にはあまり関係なさそうだが、OSAKA刻印のシュールさは昨今の時計業界の熱狂とはまったく別のところにある気がしていて、僕は逆にクールだと思う)それは不明だが、首都以外のローカルエリアやショップの刻印が許されるのは懐の深い感じがして好印象だ。
ブティック1Fには、銀行の貸金庫から着想を得た「ティソ セーフ」と呼ばれる大型ディスプレイがある。ガラスのドアがスライドして開閉する光景は、無条件で気分が高揚してしまう。ここに入っている時計がすべて自分のものだったらいいのに。
ティソ ブティック心斎橋の2Fフロア。右手に見える「ティソ ラトリエ」は、世界で4番目に設置されたメンテナンスコーナー。銀座ブティックからスタートしたサービスで、単純なストラップ交換はもちろん、電池交換や防水性能チェックなどが行える。
ティソは日本で急激に人気が高まっているというのはよく聞く話だと思うが、その要因は他社のようにヘリテージモデルの復刻が歓迎されたり、二次流通の評価が高まり正規店での購入が難しくなっているからなどの理由ではない。純粋に新しい土壌を開拓しているからであり、それは新PRXのサイズ展開とそのディテールからも明らかだ。
40mmと35mmで発表された本機は、単純にメンズ、レディスの区切りで投入されているわけではなく、個人の好みに応じて自由にセレクトできるようなデザインになっていると感じた。縦39.5mmというサイズはメンズライクなものを求める女性にハマるだろうし、35mmはメンズがストリートファッションと合わせれば、エレガントなサイズとディテールとで上手なギャップを生み出せるだろう。もちろん、細腕の男性がジャストサイズでクラシカルにつけるのもアリで、イエローPVDの色味は70年代に購入して使い古した、お祖父さんの時計を受け継いだように見えるかもしれない。
新作のティソ PRX クォーツは、40mm(左)と35mm(右)がラインナップされ、価格はともに7万2600円(税込)だ。OSAKAの刻印が入る心斎橋ブティック限定モデルも同じ価格設定となる。各30本限定。
40mmサイズを着用。その薄さゆえ、シャツの袖口でもまったく邪魔にならない。
35mmサイズを着用。ブレスレットは少しゆるめにつけるとカジュアル感が増す。
さて、心斎橋ブティック限定のPRXを見た興奮からついティソの新しいアプローチについて熱弁してしまったけれど、当ブティックはもちろん既存顧客も楽しめる内容となっている。僕は黒文字盤のバナナ・ウォッチを所有しているのだが、今回の訪問でバナナに金無垢の手巻きモデルが展開されていることを初めて知り興奮を覚えた。確かにティソの他のラインナップからするとはるかに高価で、それゆえに実物を店頭で見られる機会はほぼ皆無だ。心斎橋筋商店街という立地柄、こうした時計が意外と見つかるかもしれないという点で、愛好家の皆さんはぜひ2Fに足を踏み入れてみるとよいと思う。
【ティソ ブティック心斎橋】
営業時間:11時から20時
電話:06-4708-8855
住所:大阪市中央区心斎橋筋1-4-16
542-0085
その他、詳細はティソ公式サイトへ。
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