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Hands-On タグ・ホイヤー フォーミュラ1をリバイバル、我々を80年代のオリジナルのスピリットへ連れ戻す

私は1980年のフォーミュラ1の復活をずっと待っていた。私のこの無理な期待に、果たして応えてくれるのだろうか?

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こう想像してみてほしい。今は80年代、まだティーンのあなたはモールでショッピングをしている。ベルト通しにしっかりとウォークマンを取り付け、耳を覆ったヘッドフォン越しにホイットニー・ヒューストンの「I Wanna Dance
with Somebody」が鳴り響いている。おなじみのオレンジ色の小さなスポンジの付いたヘッドフォンだ。ある店のウィンドウの前を歩いていると、レッド、グリーン、ピンク、インディゴの各色入りスキットルのごとく並んだタグ・ホイヤーの腕時計のディスプレイが目に留まる。その瞬間、贅沢の種が心にしっかり撒かれたのだった。いよいよ高校の卒業式がやってくる、90年代のクラスの卒業式だ。大人への門出を祝って、運がよければエントリーレベルのロレックスを贈られるかもしれない。さもなくばブライトリング、はたまた前から欲しかった好みの色のフォーミュラ1かもしれない。

 あの時代に成人した多くの本格的なコレクターたちにとって、古きよきフォーミュラ1は初めて手にする正統派腕時計だった。もちろん、その後所有した時計はおそらく金融仲間のドレスコードにもう少しふさわしいものだっただろう。例えばタグ・ホイヤーの2000シリーズとかロレックスのサブマリーナーあたりか。タグ・ホイヤーのヘリテージディレクター、ニコラス・ビーブイック(Nicholas Biebuyck)は、「フォーミュラ1はコレクションの中核として特別な地位を占めており、より大きなコレクター構築におけるNo.1ウォッチだ。基本的にフォーミュラ1はコレクター生態系の供給役となっている」と説明する。

 ここで一気に現代に話を移そう。タグ・ホイヤーは43mmのフォーミュラ1 クロノグラフによって元祖フォーミュラ1のカラフルで個性豊かな精神を復活させることにした。発想は初期の配色が基本になっているが、現在はレーストラックとの文字どおりの類似点がさらに多く見られ、信号、レーシングリバリー、タイヤトレッドのカラーコードなどの配色が明確に取り込まれている。

TAG Heuer watch

 “フォーミュラ1”という名前は言うまでもなく、同社のモータースポーツとの歴史的な深い繋がりに由来する。1986年のTAG(Techniques d'Avant Garde)によるホイヤー買収完了後、初めて世に出したタグ・ホイヤーのコレクションにうってつけの名前であった。60年代と70年代におけるジャック・ホイヤーのフォーミュラ1のスポンサーシップ、1979−1981年以降のタグによるウィリアムズチームのスポンサーシップ、さらにタグ・ホイヤーとマクラーレンとの提携関係の開始を考えると、クルマをテーマとする腕時計は2社のアイデンティティの融合を象徴するものだった。

 リリースされた新たな商品ラインナップのなかで、イエローの色使いが真っ先に目を引いた。鮮やかな色合いがオラファー・エリアソン(Olafur Eliasson)の「Room for One Color(1997)」を彷彿とさせる。基本的に実に濃厚なイエローなのだが、私自身テクニカラーの世界を楽しむ人間なので、これは十分納得のいく色使いだ。鮮やかな色の服やアクセサリーは私の心理状態に極めていい影響をもたらしてくれる。腕時計を楽しむ上で、それらは伝統に従う必要もなければ、体系化された社会的慣習に合わせる必要もない。時計のダイヤルに強烈なレッド、イエロー、グリーンといった色が施されていても、私自身はまったく問題ないのだ。

TAG Heuer Watch

 ケースは43×12.4mmで、これについては自由度はない。私としてはもう少し小さければいいのにと思うのだが(タグ・ホイヤーさん、1986年に発売されたオリジナルは直径34mmでしたよね、ちょっと言ってみただけです!)、このシナリオでは私など検討していただけるような主要なマーケットではなさそうだ。大きな“男性用”腕時計をすることに問題はないが、このケースは私の手首からはみ出すし、ラバーストラップは相当太い腕の人向けのサイズになっている。C型のツヤ消しメタルケースは気に入っているし、1970年代のオータヴィア クロノグラフもなかなかいいし、前述した数十年に及ぶタグ・ホイヤーとレースとの結びつきについても大いに納得がいくものだ。

 当然ながら、1980年代から新製品が出るたびに、構造および材質がたびたびアップグレードされてきた。かつては小さなプラスチック製のダイバーズウォッチだったものが、今ではビッグダディクロノグラフのコレクションに姿を変えている。色使いに加えて、最近のリリースにも引き継がれている最も象徴的なデザイン要素が分厚いブラックのベゼルだ。もとはプラスチック製の逆回転防止ベゼルだったが、現在ではPVD加工されたスティール製のタキメータースケールになっている。新しい腕時計には、PVDコーティングが施されたステンレススティール(SS)製のリューズがリューズガードからわずかに飛び出しており、時計の設定がとても簡単になっている。2時と4時の位置にプッシュボタンがあり、これらはすべてごく標準的なエントリーレベルのクロノグラフ装備だ。 SS製のねじこみ式ケースバックには、素敵なチェックボード柄のレーシングモチーフとロゴのエングレービングが施されている。ストラップは全体に型押しが施されたラバー製で、ダイヤルと同色が使われ、一段とパンチの効いた鮮やかな色使いとなっている。

Watch straps
Watch case back
Crown and pushers

 私はカササギのごとく光るものしか目に入らないので、これらの腕時計のメタル製のダイヤルを楽しんではいるものの、このメタル層が不要なように思えるかもしれない。光を反射するのは楽しいが、どのクロノグラフにも見られるように、このダイヤルにはたくさんの表示盤が作動しており、クルマの運転中は時計の読みやすさが最優先されるべきだということには考えが及ばなかった。とはいえ、私はルールを作るつもりはない。実際、クルマの運転中はこの時計をつけないようにするつもりだ。このピカピカのダイヤルにライトが反射したらどうなる? 目が眩んで高速で玉突き事故を起こすのでは?  はいはい、私は確かに物事を悪い方へ考えすぎる。しかし、直射日光が当たるところにいるときは、この時計で時間を読むのに大型の遮光サングラスをかけないといけないと思う。

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 このクォーツ式クロノグラフウォッチにはギヨシェ仕上げのインダイヤルが3つあり、それぞれ1秒、10分の1秒、30分単位のカウンターがついている。また、大きめのアラビア数字による12時が刻まれており、4時位置には日付窓がある。インデックスとファセット仕上げの時・分針にはスーパールミノバが全体に塗られ、それによって幾分ダイヤルが読みやすくなっている。

TAG Heuer watches
TAG Heuer watch

 これらの時計に何かひとつ重要な品質を加えるとしたら、堅牢さだと言える。確かにほぼどんなアクティビティも、堅牢さを心配せずにこの時計を着用して行うことができる。しかしこの時計は確かにちょっと大きく感じられ、我々のような手首の細い者たちにはちょっと邪魔に感じられるに違いない。そして、クォーツウォッチに22万円(税込)を出すなら、エントリーレベルの出費としてもう少し高機能・高品質であってもいいのではなかろうか?

 元祖フォーミュラ1でとても気に入っているところは、肩肘を張らずに使える気軽さだ。それがプラスチック製のスウォッチの人気沸騰に対するタグ・ホイヤーの実に納得のいく答えであり、タグ・ホイヤーは当時の鮮やかな色彩というトレンドを体現していた。タグ・ホイヤーはシリアルの箱のおまけ的な色彩感覚を持ち、我々はそれを身に着けて楽しむことができた。 サイズをかなり小さくすれば、多くの腕時計ファンの期待に応えることになるはずだ。古きよきフォーミュラ1は気軽に使えて、今日の市場であれば競合の息の根を止めるほどの手ごろな価格の商品だった。ここでかつてのあの悩みに再び直面するのだろう。作り直すべきか、それとも単に敬意を表すべきか? 私は自分がどっち派か、わかっている。

フォーミュラ1 クロノグラフ 43mm、レッド、イエロー、グリーンの各色。ツヤ消しのSS製ケースは43mm×12.4mm、ラバーストラップ付き。200m防水。22万円(税込)

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