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片方の手首にふたつの計器を搭載した、デプスゲージダイバーズウォッチに関して

水中で本領を発揮し、ダイバーにとって必要不可欠でもある“機能”、デプスゲージ(水深計)について、いくつかの重要なデプスゲージダイバーズと、時計メーカーが考案したさまざまな工夫を凝らしたモデルを見ていく。

本稿は2014年5月に執筆された本国版の翻訳です。

クロノグラフ、ムーンフェイズ、タイドタイム、そしてパーペチュアルカレンダーまで、ダイバーズウォッチにはさまざまな複雑機構が搭載される。これらのほとんどは、時計メーカーの技術を結集した楽しいデモンストレーションではあるが、遊び目的以外で使用するダイバーにとって役に立つかは疑問である。しかし水中で本領を発揮し、必要不可欠でもある“機能”がひとつある。それはデプスゲージ(水深計)だ。デプスゲージを搭載したダイバーズウォッチは、その実用性がダイビング中にのみ限定されるという点で、おそらく最も純粋なダイビングコンプリケーションであり、同機能は深海に時計を持ち込む人だけが利用できるものである。今回は歴史的なものから現行モデルまで、いくつかの重要なデプスゲージダイバーズと、時計メーカーが考案したさまざまな工夫を凝らしたモデルを見ていく。

 スキューバダイビングの黎明期には、ダイバーは片方の腕にダイバーズウォッチを、もう片方の腕には分厚い機械式の水深計をつけて、水中での無減圧時間を計算しながらふたつを比較していた。1960年代後半には、ファーブル・ルーバ、ニバダ、アクアダイブなどのメーカーが時計自体に水深計を組み込み、両方の計器を片方の手首に装着できるようにした。それまでの時計メーカーは、時計ケースに水が入らないよう注力していたが、水深計を作動させるにはある程度の水の浸入が必要だったため、これは容易なことではなかった。

IWC GST ディープ・ワン。

 デプスゲージの最もシンプルな形態は、水圧の上昇を水深測定値に変換する機構である。最もよく知られる例は、曲がった金属のチューブを使用するブルドン管である。この管はゲージの内部に巻かれている。水圧がチューブに入り、それをわずかに広げ、レバーを使って較正(測定器や機器の正確さや精度を確保するための調整作業)針を動かすのだ。革新的な電子式(プレクォーツ)ムーブメントで時間を伝える、有名なアクアダイブ タイムデプス 50は、圧力感知オイルで満たされた“毛細管”チューブを使用することで、より洗練されたものになった。チューブの一端には柔軟性のあるゴム製のキャップが付いており、水圧がかかると内部のオイルが圧縮され、チューブがたわんで水深計の針が動く仕組みになっていた。どちらの方法も物理的には単純だが、メカニズムは複雑で、多くの時計が問題を抱えていた。わずかな水漏れで海水がケース内に浸水すると、悲惨な結果となっていたのだ。

 1980年代半ば、日本の大手時計メーカーのシチズンは、今では象徴的な存在となっている最初の電子式水深計を搭載したダイバーズウォッチ、アクアランド(Ref.C0023)を発表した。ケースの左側にある球状の水深センサーで知られるアクアランドは、ダイブコンピューターがまだ普及していなかった時代のダイバーズウォッチに革命を起こした。このアナデジウォッチは、単に電流と最大深度を伝えるだけではなく、デジタルディスプレイで潜水時間、上昇率を伝え、水深と上昇のアラームも表示した。さらにデジタルストップウォッチ、セカンドタイムゾーン、カウントダウンタイマーも備えていた。アクアランドは多様なウォッチファミリーを生み出し、シチズンはそれ以来、プロマスターシリーズとして同様のものを生産している。

IWC アクアタイマー・ディープ・ツー。

 1999年、当時IWCの時計職人だったリチャード・ハブリング(Richard Habring)は、ダイビング休暇中に究極のダイバーズウォッチのアイデアを思いついた。そのアイデアが、今や有名なIWCの深度計ダイバーズウォッチの系譜の最初となるGST ディープ・ワンにつながった。ディープ・ワンは、時計ケースの内側にブルドン管を巻いて使用していた。水は第3のリューズのようなものにある穴から入る仕組みで、時計の内部には深度を感知する機構とゲージ針の中央軸への配置のために、さらなるスペースが必要だった。その結果、時計はジャガー・ルクルトの機械式ムーブメントを搭載し、ランニングセコンドを6時位置のインダイヤルに移動させた。時計にはゲージの機能をテストするための、穴に取り付けることができる小さなエアポンプが付属していた。これはダイビングしないコレクターにとって便利な機能である。ディープ・ワンは高価で、製造が非常に困難だったため、IWCはそれぞれで赤字を出したという伝説がある。販売された数はそれほど多くなく、現在ではオークションで高値で取引されている。

 ディープ・ワンのデビューから10年後、IWCはまったく新しいデプスゲージダイバー、アクアタイマー・ディープ・ツーを生み出した。IWCは、ケース内に水を入れる代わりに、機械式の圧力感知ダイヤフラムをケースの外側に取り付け、それをラックとピニオンを介して内部ゲージと連動させた。ディープ・ツーは現在の深度と最大深度示す大きな針の代わりに、文字盤の外側に目盛りがあり、色の異なるふたつの小さなポインターが付いていた。これにより、IWCで改良したセンターセコンド式のETA 2892ムーブメントを搭載することが可能となった。

IWC アクアタイマー・ディープ・スリー。photo by Gishani

 今年は、必要に応じてデプスゲージをゼロにするための微調整ホイールなど、前モデルとほぼ同じシステムを採用したアクアタイマー・ディープ・スリーが発表された。もちろんディープ・スリーは新しいアクアタイマーシリーズに含まれているため、セーフダイブベゼルシステムなど、新シリーズの特徴をすべて備えている。

 近年、IWCだけが希少なラグジュアリーデプスゲージダイバーのマーケットに参入しているわけではない。2008年には、同じリシュモンブランドであるパネライが、探検家マイク・ホーン(MIke Horn)のパンゲア探検(奇妙なことに潜水は一切行われなかった)を記念して、特別なルミノール サブマーシブルを発売した。600本しか製造されなかったこの時計は、自動巻きの機械式ムーブメントを搭載していたが、水深の感知は電子的に行われた。ケースサイドにあるボタンを押すと水深計が作動し、ダイブモードに移行して現在の水深が外周の目盛りに表示される。

ジャガー・ルクルト マスター・コンプレッサー・ダイビング・プロ・ジオグラフィーク・ネイビー・シールズ。photo by Gishani

 ジャガー・ルクルトもまたこの市場に参入したいと思い、ケースの左側にある細長い“耳”が特徴的なマスター・コンプレッサー・ダイビング・プロ・ジオグラフィーク・ネイビー・シールズを発表した。この耳には圧力感知膜が内蔵されており、それがダイヤルの水深計を駆動している。JLCは“スケルトナイズ”された深度感知機構と、着用者がデスクチェアという乾いた快適空間のなかでも深度計を作動させることができる上部のボタンによって、楽しく使用することができた。

ブランパン X ファゾムス。

 ブランパン フィフティ ファゾムスは現代ダイバーズウォッチの始祖と言っても過言ではないが、ブランドはさらに複雑な(そして非常に高価な)X ファゾムスでダイバーズウォッチを再解釈した。X ファゾムスは限られた数しか製造されていないが、水圧の変化を感知するためにたわむ金属膜を使用しており、減圧停止中に測定値をより正確に測定するために、ダイヤル上のふたつのゲージに変換する。また、レトログラード式の5分積算クロノグラフも追加され、短い期間の水中での停滞時間を計測するのにも役立つ。

オリス アクイス デプスゲージ。

 最後に、デプスゲージダイバーズウォッチについて、独創的かつシンプルで革命的なオリス アクイス デプスゲージを抜きに語ることはできない。ブルドン管や膜、電子式の代わりに、アクイスには深度を感知する可動部分がない。その代わりに、ボイルの法則として知られる単純な物理学を利用している。この法則は気体の体積と圧力が反比例するという単純な物理法則だ。サファイア風防の外周に溝を作り、12時位置にある小さな穴から水を入れることで、現在の深度が水そのもので表示され、文字盤外側のスケールに対して可視化される。

 これは決してデプスゲージを搭載したダイバーズウォッチの包括的な調査ではなく、ジン、ドゥゲナ、ベリオなどほかにもあるが、それでも大きな数字ではない。要するに狭いけど深いフィールドなのだ(我ながらうまい)。水深計は、時計の機能のなかでも最も希なものであることは間違いないが、それはおそらく、その非常に特殊な用途のためであり、ほとんどの場合、日常生活では役に立たない。実際にダイビングをする人だけが楽しめる複雑機構なのだ。本来の目的で使われる時計がほとんどない時代に、この複雑機構には勇気づけられるものがある。