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本稿は2018年2月に執筆された本国版の翻訳です。
蚤の市や街角のアンティークセールで掘り出しものの時計を探し求める時代はとっくに終わってしまったと思っているなら、読者のカイル・F(Kyle F.)から届いたこんな近況報告を読んで欲しい。
彼はフィラデルフィアの蚤の市で、主に通りすがりの人々に向けて商品が並べられたテーブルを見回っていた。そのとき突然、“売り手のテーブルの後ろにあるコンクリートの棚の上、ほとんど泥にまみれた状態”の時計に気がついたのだという。
カイルによると目に入ったのは時計のベゼルだけで、過度に興奮しないよう自分を抑えたという。きっとたいしたものじゃないんだろう? 今の時代誰だって、特にフリーマーケットのカウンターの向こうに座っている人ならロレックスという名前を知っていると考えて間違いない。そうだろう? おそらくこれは、ケース、ベゼル、ブレスレットのデザインを事実上ロレックスから盗用した、何百もある似たようなダイバーズウォッチのうちのひとつなのだ、と。
この写真からもわかるように少しばかり傷ついてはいるが、彼はその時計を手に取ってよく見てみた。擦り傷だらけのプラスチック風防の下から覗くのは、4行表記に加え、パティーナが入ったコレクター垂涎のギルトダイヤル。この偽物を作るのは、非常に難しいだろう。
「いくらだい?」と、カイルは売り手に尋ねた。
「わからないな。10ドルでどう?」と、テーブルの向こうにいるどうやら何も知らなそうな男が答えた。
あまりに出来すぎた話だと思った。偽物をつかまされるかもと予想はしたが、たった10ドルならリスクを負ってでも買うしかないと、カイルは10ドルを払って賭けに出た。そしてその時計をいったん家に持ち帰ると、ブレスレットを外してシリアルナンバーをネットで検索した。するとなんと、1968年製のRef.5512であることがわかったのだ。
カイルによればこの時計はロレックスで修復中(執筆当時)であり、この時計が元通りの姿になるまでの過程についてはまた報告するとのことだ。
我々には実際にこの時計を見る機会はなく、この件に関して判断材料となるのはカイルから提供された画像と彼が語るストーリーだけである。しかし見たところ、彼はとても幸運なフリーマーケットの買い物客で、素晴らしい時計とそれに付随するとんでもないストーリーを手に入れたようだ。
編集者追記:カイルから連絡があり、彼はロレックスに修理を依頼しなかったとのこと。
編集者追記: カイルがロレックスからの修理明細書を送ってくれた。ここに書かれているのは、彼がBobs Watchesでこの時計の製造年が1968年であることを特定するために使用したシリアルだ。
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