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クイック解説
シチズンコレクション レコードレーベルは、シチズンが1950年〜80年代に発表した名品に現代的なアレンジを施したリリースを続けているシリーズだ。これまでにもツノクロノ、アナデジテンプ、クリスタルセブンなど当時話題を呼んだモデルをベースとした製品を世に送り出してきたわけだが、来る10月5日(木)に新たな1本が加わることとなった。それが、1984年に登場したクォーツ式クロノグラフ、スポルテ MSをモチーフとしたシチズンコレクション レコードレーベル 1984 クロノグラフだ。
モチーフとなったスポルテ MSは、シチズン初となる3モーター採用の多機能アナログクォーツ時計である。左右にふたつずつ取り付けられたプッシャーでアラーム、クロノグラフ、タイマー機能を使用することができた。マットな質感のSSケースはラグレス型で、飾り穴が施されたゴールドカラーのベゼルとあわせて70年代から続いていたスポーツウォッチブームを色濃く体現していたように思える。このほかにも2時と10時のプッシャーを大きくとった“ブルヘッド”デザインや回転ベゼルを備えたものなどいくつかバリエーションがあったようだが、今回ベースとされたのは下の写真の1本だ。
ラグレス型の構造、3つのサブダイヤル、飾り穴が施されたベゼルは新作1984 クロノグラフにて引き継がれている。ムーブメントはクォーツからシチズンではお馴染みのエコ・ドライブに変更されており、計時を含め4つあった機能からはアラームとタイマーが取り除かれ、新たにデイト窓が4時位置に追加された。サイズは直径38mmで厚さは9.5mm。ソリッドバック仕様で5気圧防水となっている。
スタンダードモデルのカラー展開は白ダイヤルに黒いサブダイヤル、見返しを備えたパンダカラーに、ブラックの2本だ。ともに3万3000円(税込)で、すでに開始されている先行予約を経て10月5日(木)に発売される。また、今作はデビューのタイミングに合わせて5ショップ7型のコラボレーションモデルも発表される。
ファースト・インプレッション
昨今のブローバ ジェットスターやティソのシデラルに見られるように、ラグスポトレンドの裏でレトロデザインの波がきている。その傾向は手に取りやすいカジュアルな価格帯で特に強く、遊びのあるデザインも楽しみやすい。レコードレーベルの新作はその流れのなかにある時計だ。今回のリリースにおいてシチズンは「昭和後期の世界をイメージした“ポスト・ヴィンテージ”テイスト」を意識したとコメントしており、1984 クロノグラフからは、スポルテ MSと同時代に登場していたジョルジェット・ジウジアーロ × セイコーのドライバーズウォッチのようなインダストリアルなにおいを強く感じた。それは、あえて厚くやわらかなカーブを描くように盛られたベゼルや、ポリッシュ感やエッジ感を抑えたマットな仕上げに表れている。今回、スタンダードな2本には、パンダモデルには目の細かなサテン、ブラックモデルにはマットなホーニング仕上げが施された。どちらも当時の空気感を表現するあしらいだ。一方で、ケースからブレスレットへのラインはより一体感が強くなっており、オリジナルから2mmほど縮小したケースと合わせて、現代の着こなしのなかでもつけやすいようアレンジがなされている。
ブレスレットはレコードレーベルではお馴染みの巻きブレスだ。ツノクロノ、アナデジテンプのものと比べて大きな変化は見られないが、若干テーパーが強くなっているようにも思う。ここは実機を手に取る機会があれば確認してみたい。また、本体に重量感があるツノクロノではこの巻きブレスがやや頼りなく感じたものだが、ケースが薄くなったぶん、着用感は向上しているだろうと推測している。だが何にせよ、あえて無垢ブレスにしないことで、中身のアップデートを図りつつもクラシックなムードを残すシチズンコレクションのさじ加減が僕は好きだ。
ふたつのスタンダードモデルはいたってシンプルだ。だが今回、そのバリエーションを補完するかのように時計専門店を含む5つのショップとのコラボモデルもリリースされている。コラボレーション先をすべて挙げると、ビームス(BEAMS)、ビューティ&ユース(BEAUTY&YOUTH)、ジャーナル スタンダード(JOURNAL STAMDARD)、オンタイム・ムーヴ(Ontime/move)、チックタック(TiCTAC)だ。どれも各ショップの個性をデザインで表現した出色の出来栄えだが、僕は特にビームスとオンタイム・ムーヴコラボが気に入った。
ビームスがコラボレーションを行うとき、よく見られる手法がある。素材をクリア(透明)にする、ディテールまでオールブラックで仕上げる、そして複数のマテリアルやカラーを組み込む、などだ。今回のコラボにおいて、ビームスはベゼル、ケース、ブレスそれぞれに異なる仕上げを施した。さらに、3つあるサブダイヤルのすべてに異なるパターンを落とし込んでいる。ともすればガチャついた見た目のトイウォッチになってしまいそうなところだが、カラーをモノトーンに絞ることで巧みにまとめ上げた。突飛な発想をひとつのデザインに仕上げる手腕は、数多くの別注を手がけてきたビームスならではだ。価格はブラックモデルが3万6300円で、シルバーモデルが3万3000円(ともに税込)。これだけ凝った作りをしながら価格は抑えている分、個人的にはお得な気すらしてくる。
オンタイム・ムーヴコラボは、ホーニング仕上げを施したケースの仕上げから文字盤、針、インデックスのカラーに至るまで、当時存在したアーカイブに則ってデザインされている。2022年のセイコー 5スポーツ4社コラボでも、オンタイム・ムーヴはかつて北米を中心に人気を博した“イエローボーイ”の鮮やかなダイヤルを忠実に再現していた。ブラックモデルの日に焼けたような夜光やシルバーモデルの当時らしいカラーはレトロでもあるが、ケースサイズや形状がシャープになった分、新鮮な印象も受ける。アーカイブに敬意を表しつつ現代的に仕上げるバランス感には、同社の名物バイヤーである竹内脩太氏のこだわりが垣間見える。価格はブラックモデルが3万6300円で、シルバーモデルが3万3000円(ともに税込)。
もちろん残りの3ショップも、各々の世界観を1984 クロノグラフの上で描き出している。ビューティ&ユースはブルーグレーの配色で1980年代の工業製品的な美しさを、ジャーナル スタンダードは日に焼けたようなアイボリーとポップなオレンジの組み合わせで1960年代〜80年代風のレトロさを表現。特にジャーナル スタンダードモデルのサブダイヤルにはわずかに褪色したブラックを用いるなど、芸が細かい。逆にチックタックコラボは、黒文字盤に青みがかったグリーンのインデックス、イエローの針を取り入れることで若々しくスタイリッシュな空気を演出した。価格はビューティ&ユースとジャーナル スタンダードのモデルが3万3000円で、チックタックモデルが3万6300円(ともに税込)となっている。
シンプル&スポーティなものからレトロ、スタイリッシュな1本まで、1984 クロノグラフの復刻は非常に多彩なバリエーションをもって展開された。すでにオンタイムのInstagramにも着用画像があがっているが、38mm径というサイズは手首の上での収まりがよく、パッケージとしてとても汎用性が高そうだ。遊びが効いたコラボレーションのラインナップも、着用してみると意外としっくりとくるかもしれない。また、今回のラインナップはパーツごとの仕上げの組み合わせが1本1本微妙に異なる。リリース画像だけでは伝わりにくいところもあると思うので、実際に検討する際にはその違いにも気を留めてみて欲しい。
基本情報
ブランド: シチズン(Citizen)
モデル名: シチズンコレクション レコードレーベル 1984 クロノグラフ
型番: AT2541-54A、AT2540-57E(スタンダードモデル)、AT2554-52F、AT2550-53B(ビームスモデル)、AT2556-57X(ジャーナル スタンダードモデル)、AT2551-51H(ビューティ&ユースモデル)、AT2558-51E、AT2557-54G(オンタイム・ムーヴモデル)、AT2559-59E(チックタックモデル)
直径: 38mm(設計値)
厚さ: 9.5mm(設計値)
ケース素材: ステンレススティール
文字盤色: パンダ&ブラック(スタンダードモデル)、逆パンダ&シルバー(ビームスモデル)、アイボリー(ジャーナル スタンダードモデル)、グレー(ビューティ&ユースモデル)、ブラック(オンタイム・ムーヴモデル)、ブラック(チックタックモデル)
インデックス: アプライドバー
夜光: 時・分針とインデックスに蓄光塗料
防水性能: 5気圧
ストラップ/ブレスレット: SS製ブレスレット
追加情報:エコ・ドライブムーブメント搭載(月差±15秒)
価格 & 発売時期
価格: 通常のSSケースは3万3000円(税込)、ブラックIP加工ケースは3万3600円(税込)
発売時期: 2023年10月5日(木)予定、8月31日(木)から各店で先行予約受付中。コラボレーションモデル(すべて数量限定)は各店でのみ販売
限定: コラボレーションモデルは数量限定
スタンダードモデルの詳細は、シチズン時計公式サイトをチェック。それ以外のモデルについては、以下を参照してください。
ビームスモデル:ビームス 原宿 ☎︎03-3470-3947
ジャーナル スタンダードモデル:公式Webサイト
ビューティ&ユースモデル:公式Webサイト
オンタイム・ムーヴモデル:オンタイム渋谷ロフト店 ☎︎03-5458-3076
チックタックモデル:公式Webサイト
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