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Hands-On チューダー ブラックベイ フィフティ-エイト“ネイビーブルー”を実機レビュー(編集部撮り下ろし)

温故知新。

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「冠をいただく頭は安んぜず(偉大なる者には心安まる時はない)」。ヘンリー4世の言葉にもあるように、大衆のために輝く模範とされることには多大なプレッシャーがかかる。それに応えようとする場合、たいていは大きな賭けであり、多くの人たちを喜ばせることはほとんど不可能だと考えられるかもしれない。

 新たに発表されたブラックベイ フィフティ-エイト“ネイビーブルー”は、時計業界で最も尊敬される“王家”の一つであるロレックスとチューダーというブランドに投げかけられた期待に応える時計だ。そして、何を作るべきかを正確に分かっている城主のチューダーや多くの熱狂的なファン(私も含めて)、そして、そうした意図をあまりよく知らない多くの人たちにおいても、新しい“ネイビーブルー”は何十年もの間続いてきた成功の道を辿っている。 

 2013年、チューダーはアメリカ市場に戻り(日本への再上陸は2018年)、2010年代を代表するスイスのスポーツウォッチと言っても過言ではない、ヘリテージ クロノグラフやブラックベイのダイバーズウォッチなどの注目モデルを発表した。このニューヴィンテージ・ダイバーは高い人気を博し、ブラックベイは2013年にはGPHG(ジュネーブ・ウォッチグランプリ)でリバイバル賞を授与。過去7年間にブラックベイでは、ETAを搭載した41mmのダイバーズウォッチからスポーティな3針モデル、クロノグラフ、そして多くの関心を集めて市場を席巻するブラックベイGMTなど、オリジナルデザインを何度も繰り返しながら、枝分かれしたラインナップをもつシリーズへと成長してきた。 

 ブラックベイコレクションにおいて、私たちは様々な色が効果的に用いられるのを見てきた。初期のモデルではバーガンディやダークブルーのベゼル、ブロンズ、スティール、グリーン、ブルー、ブラック、グラデーションダイヤル、ツートン、そして、もちろんGMTのレッド/ブルーパターンのベゼルもあった。

 そして2018年3月、オリジナルの41mmモデルから初めて進化を遂げた、新しいブラックベイ フィフティ-エイトが登場した。サイズは39mmとなり、かなり薄くなったフィフティ-エイトは瞬く間にヒット。ブラックダイヤル、そしてヴィンテージのサブマリーナーのようにふんだんに盛り込まれたゴールドのアクセントを備えた、現行チューダーの高まる需要を受けて、ウェイティングリストとセカンダリーマーケットが生まれた。そして2年後の今、チューダーはバーゼルワールドのない空っぽのこの世界に、新しい“ネイビーブルー”モデルを発表。この新しくも、歴史に基づいた配色は他に類を見ない。 

 賛否両論あるとは思うが、実際に見てみると、フィフティ-エイトのラインナップにこれ以上ふさわしいものはない。なお、過去を積極的に参照している製品において、いくつかの文脈を把握するのに簡単な歴史のレッスンは役立つかもしれない。

 まずは以前のブラックベイ フィフティ-エイト79030N(ブラック/ギルト)と新しい“ネイビーブルー”79030Bの間で変更された唯一のポイントである、ベゼルとダイヤルのブルーのカラーリングから始めるのがいいだろう。最初のヒントは色の名前から来ている。これはまさしくネイビーといった色合いのブルーではなく、かつての海軍で着用されていたものに似ている青の色合いなのだ。

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 どうしてこんなに気にしているのか自分でもよく分からないが、MN(マリン・ナショナル;フランス海軍の名称)チューダー サブマリーナーはご存じの方も多いと思うし、以前投稿したニューモデルの紹介記事でもその系譜に触れた。とはいえ、これらはNATOストラップがよく似合う非常にカッコいいツールダイバーズウォッチなので、過去の記事に思いふけることを許してほしい。 

 新しい79030Bのカラーリングは、70年代半ばのいわゆる“ブルースノーフレーク”と呼ばれる、チューダー サブマリーナーに見られるブルーのダイヤルとベゼルに着想を得ている。グラハム・ファウラーと彼が所有する多くのミルサブについてのビデオで、いくつかの例についての素晴らしい分析を得ることができるが、Watchistryのこのビデオでは九つの具体例を見ることができる(彼らの素晴らしい本『Marine Nationale』で紹介されたものと同じ時計)。

1975年に生産されたのチューダーの94010(左、Watchistryの本『Marine Nationale』より)と、新モデルのチューダー ブラックベイ フィフティ-エイト“ネイビーブルー”79030B。 

 チューダーサブのスノーフレークは、Marine Nationale(別名フランス海軍)とは別にも存在しているが、MNサブは非常にコレクション性の高い軍用ダイブウォッチだ。初期のブラックダイヤルバージョンは数多くある中で最も希少だが、ブルー/ブルーのバリエーションの美しさに異議を唱えるのは難しいだろう。

 初期のスノーフレークMNモデルには、Ref.7016が含まれており、ブラックとブルーの両方のバージョンがあった。また、60年代後半から70年代半ばまでにチューダーがムーブメントを、7106のETA2483から94010のETA2776に変更したものもある。このMN75の94010(上の写真、1975年にMNが生産したことからそのように呼ばれている)のような例では、フィフティ-エイ“ネイビーブルー”がどこからインスピレーションを得ているのかを見ることができる。

 オイスターケース(ラグ側面に穴が開いている!)のサイズは39mmで、ブルーのダイヤルとベゼルが今ではクラシックなスノーフレーク針、四角いマーカーと見事にマッチしている。僕の目には、これらのモデルは(MNやその他の)サブの世界の中で最も美しい進化を遂げたモデルの一つとして写り、このブルーは、チューダーやロレックスのものであっても、他のサブとは一線を画した個性を醸し出している。

 新しいブルーを見てみると、チューダーはブラックベイのデザイン言語の本質をキープすることを選択しつつも、ブラックベイの“ミッドナイトブルー”ベゼルよりも明るいグレーで、本当に素晴らしいペラゴスブルーに使用されているブルーよりもやや彩度が低い青を取り入れている。そのため、コインエッジベゼル、丸いアワーインデックス、穴なしラグ、そして鮮やかなグリーンに輝くホワイトルミノバを採用している。

 ゴールド/ギルトの兄弟モデルと全く同じく、ケース径は39mmのまま、厚さは11.2mm(サファイアクリスタルの裏蓋を含む)、ラグからラグまでの長さは47mm。防水性は200mで、非常にハイクオリティなリューズを採用し、ラグ幅はストラップ交換に適した20mmとなっている。昨年スティーブンが美しく撮影した時計と文字通り同じだが、新作はブルーで、ゴールドのアクセントがないのが特徴だ。 

 僕の目にはこれがベストのペアで、偏った表現すると、個人的にゴールドのアクセントは気に入らず、またチューダー(ましてやロレックス)の別のブラックダイヤルのダイバーズウォッチにもあまり興奮しない。僕は、当初発表されたこの時計の画像に興奮しなかったが、実物はとてつもなく素晴らしいものだった。温かいブルーだが誇張されたものではなく、ベゼルはブラックベイ ブルー(41mmバージョン)のものよりもはるかにマットだ。さらに、この独特の雰囲気がホワイトゴールドのサブを購入することができる人のため用意されていたことを考えると、チューダーの小さなSS製ダイバーズウォッチでブルー/ブルーの配色を見ることができるのは、さらに楽しく感じる。

 ブラック/ゴールドのBB58と同様、ネイビーブルーは手首にぴったりとフィットする。低くフラットに収まり、そしてラバーからNATO、レザー、またはブレスレットまで何でも最高にマッチする。僕が手にしたサンプルモデルは、見栄えがよくて感じのいい、素敵なシルバーストライプが入ったブルーのキャンバスストラップで届けられた。とはいえ、この時計にはNATOかMNスタイルの縫われた弾性パラシュートストラップのどちらかだという声が上がると思うが、心配しないで欲しい、そのようなときのために僕は両方持っているのだ。 

 ベゼルは相変わらずがズレがなく、安っぽさを感じさせない素晴らしいクリック感(ちょうど60クリック)を実現しており、業界でもトップクラスの品質を誇っている。幅広い価格帯のダイバーズウォッチを頻繁に着用している方は、ベゼルとリューズに値段の違いが表れることをご存知だろう。本機の場合、非常によくできた時計だということに疑念の余地はない。

 ネイビーブルーにはチューダー製ムーブメントのMT5402が搭載されている。COSC認証を取得し、2万8800振動/時で時を刻むこの自社製自動巻きは70時間のパワーリザーブを備えており、現在フィフティ-エイトのラインではノンデイト仕様のみが使用されている。  

 フィフティ-エイト ネイビーブルーを様々なストラップで、そして自分のソファ、シュノーケリングを楽しんだオンタリオ州の名もなき湖の冷たい水の中におよぶ全ての場所で数日間着用した後、この新しいモデルは特別だと感じると同時に道具のようだとも感じた。それは、まるでチューダーがスノーフレークの耐久性のあるダイビング対応の魅力を取り入れ、さらに私が以前紹介したホワイトゴールドのサブマリーナの魅力をほんの少し追加したかのようだった。

 スティーブンが言っていたブラック/ゴールドモデルについて、全てのことが当てはまり、僕はその時計を手首に装着して数日を過ごした(それは素敵なことだ)。表面上、フィフティ-エイトとしては退屈で予測できたバリエーションだが、間違いなくこのブルーはただの新色よりもはるかに大きな変化をもたらしている。ブルーダイヤルのスポーツウォッチは人気があり、チューダーには過去にも多くの素晴らしい前例があるが、あなたは何を期待していただろう? ブラックベイ レインボーだろうか? 

 余談だが、チューダーは去年、人々(確実にあなた方の何人かは)の感情がとても昂るP01という奇妙で楽しい特別なものを提供してくれた。今年はパワーのある、より一般的な幅広い市場向けの79030Bという時計をリリースしたのだが、まだ文句を言う人もいる。それは全て同じ人々だろうか? 僕はとても疑問に思う。

 ブラックベイがブランドのコアであることを忘れてはいけない。特にとても魅力的で、購入が困難なことが多いフィフティ-エイトに関しては。例えるなら、79030Nがフライドポテトであるのに対し、79030Bはオニオンリング。メニューにはこの両方が必要だ。ちなみに僕は、オニオンリングの方がいい。 

 フライドポテトとオニオンリングのどちらも、キャンバスストラップが付属し、新しいソフトタッチの合成ストラップが33万2000円、スティールブレスレットが36万3000円(全て税抜)だ。過去のチューダー サブマリーナーのスタイリングを手にしたい人にとっては、この価格でも、ブラックベイフィフティ-エイトに優れた価値があることに変わりはないが、フィフティ-エイトに競争相手がいないわけではない。

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 僕たちはダイバーズウォッチがホットな夏の真っ盛りにいる。新しいフィフティ-エイトは、成長を遂げている熱狂的なファンに焦点を当てた約40mmのダイバーズウォッチという製品カテゴリーに加わっているが、このカテゴリーにおいてチューダーは、価格の面では間違いなく勝者だ。予算がもっと少ない場合、20万円未満の価格帯では新しい40.5mmセイコー プロスペックスモデルが一番人気だろう。とはいうものの、特により広いマーケットの観点から見れば、セイコーはチューダーの競争相手ではない。

 私は特定の時計の競争について考えるのが好きだが、チューダーのフィフティ-エイトには、内部と外部の競争がある。内部では、優れたペラゴス(これにもブルーがある)を含む、その他多くのブラックベイがあり、現行のロレックス サブマリーナーとの競争もある。値段を気にしない人は、ロレックス サブマリーナーとフィフティ-エイトの両方の予約リストに自分の名前を記入し、最初に購入できる方を買う可能性に賭けてみよう。価値に対する価格が市場評価以上に膨らむ掛売り(売買の際に代金を後で受け取ることを前提に商品を渡す)という方法で、買い手が"取得できる要因"に優先順位をつけて様々な店からどのように時計を購入するかを考えたとき、この二つの選択肢の影響力を無視すべきではない。

 不満があるかもしれないが、私の時計がブランドから直接引き渡される前に、多くの販売代理店が新しいチューダーの注文を受けていた。一般的には「手に入らない」と考えられている時計を手に入れたい場合は、勝負に参加するか、(静かに)座って待つ必要がある。皆さん、販売代理店と仲良くなりましょう。 

 もっと視野を広くしてみると、チューダーは自社製ムーブメントを搭載した42mmのブライトリング スーパーオーシャン ヘリテージ '57(49万5000円、またはおそらく40万円のスーパーオーシャン オートマチック 42。共に税抜)、42mmのIWC アクアタイマー(58万円。税抜)、以前の(デイトが3時位置にある)41mmのオメガ シーマスターダイバー300Mコーアクシャル(4400ドル。約47万900円)、またはETAを搭載したブレモンのS300(4095ドル。約43万8300円)などと競争する必要がある。

 ここからチューダーが市場のどのポジションに収まっているかを確認したい。ジン、オリス、ドクサのような高品質なETA搭載モデルよりも価格が高いため、チューダーはスイス市場では一般的に「エントリーレベル」とされているモデルからステップアップしたように感じられる。また、ロレックスが属する75万円~160万円の価格帯を積極的に避けているいくつかのブランドよりも低い価格設定であることから、特に懐かしいブランドの日常的なダイバーズウォッチが欲しい場合、ブラックベイのラインの多くは、お買い得感を感じさせるものとなっている。 

 そして、手にしているフィフティ-エイトの小振りなケースはより多くの人が装着でき、幅広いストラップに対応。カリブ海の難破船で40分間計測するのと同じくらい、9時から5時まで楽に使うことができるダイバーズウォッチとなることは間違いないだろう。 

 新色の相対的なパワーについて個人的な話をすると、カラーリングが好みではなかったので、ブラック/ゴールドは検討したことはなかった。僕にとって、ネイビーブルーはフィフティ-エイトを僕の視野に入れてくれただけでなく、ブラックベイをウィッシュリストに加えてくれた。以前は、このリストにペラゴスブルーとヘリテージ クロノのブルーしか載っていなかったのだ。

 様々な意味で、2020年のような年にチューダーからリリースされたこのモデルをつまらないものにしてしまうかもしれない全ての要素が、この時計をフィフティ-エイトファミリーの第二の選択肢として本当に魅力的なモデルにしており、また僕が所有したいと思う時計にもしている。 

 チューダー ブラックベイフィフティ-エイト“ネイビーブルー”は39×11.2×47mmサイズ、200m防水を実現したダイバーズウォッチ。COSC認定のチューダー製Cal.MT5402を搭載した、2018年のブラック/ゴールドのブラックベイフィフティ-エイトのブルーダイヤル/ブルーベゼルバージョンだ。フィフティ-エイト“ネイビーブルー”の小売価格は33万2000円(税抜)からで、詳細はチューダーのウェブサイトで確認できる。