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VINTAGE WATCHES 1980年代製のカルティエ サントス ガルベ、1966年製のブライトリング スーパーオーシャン、1970年代製のサーチナ クロノリンピック

80年代製の“パワーウォッチ"から、ユニークな機能を備えたブライトリングのヴィンテージクロノグラフまで。今週のヴィンテージコレクションには、すべてが揃っている。

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HODINKEE Shopで販売されている現在のヴィンテージウォッチの全セレクションを見るには、ここをクリックしてください。

2月最初の水曜日、HODINKEE Shopに新たに5つのヴィンテージウォッチが入荷した。新しい年が始まったばかりにもかかわらず、ヴィンテージのカテゴリーはますます勢いを増している。マイアミビーチでオリジナル マイアミ・ビーチ・アンティークショーが開催されるやいなや、少なくともここHODINKEEのデジタルページ上ではヴィンテージカテゴリーがニュースとして取り上げられるようになったのだ。ジャガー・ルクルトが最近発表した“コレクタブル”や、アンソニー・トレイナによるブランパン フィフティ ファゾムスの徹底ガイドタグ・ホイヤーヴァルカンが発表したそれぞれのアーカイブにインスピレーションを得た作品など、時計業界においてヴィンテージが今後も存在を示し続けることは明らかだ。

 HODINKE Shopにはほかにもたくさんの腕時計があるが、5つの“新しい”ヴィンテージウォッチのうち、今回はヴィンテージチームが選んだものを紹介しよう。リッチ・フォードンにサオリ・オオムラ、ショーン・イーガンがそれぞれ、深紅の文字盤を持つ1980年代製のカルティエ サントス、ブライトリング スーパーオーシャン、そしてファンキーなサーチナ レガッタタイマーの全貌をレポートする。

ご質問はメール、またはコメントでお寄せください。中古の時計をお売りいただく際は、こちらをクリックしてください。

1980年代製 カルティエ サントス ガルベ Ref.2961
By Rich Fordon

 つい最近まで、ヴィンテージ カルティエ界隈には変わったルールがあった。古くからのコレクターにとって“真の”ヴィンテージ カルティエとは、今回紹介する80年代のサントスのようなモデルではなかったのだ。1970年代初頭以前のモデルを指し、特にカルティエ ロンドンから発売された腕時計こそが脚光を浴びていた。確かにこの時期、カルティエはロンドン、パリ、ニューヨークの3店舗で腕時計を展開していた。しかしその結果として、コレクションとしてのユニークさはそれ以前のペブル、サントレ、クラッシュよりも増したのではないかと私は考えている。

 サントスほど、カルティエにとって歴史的に重要なモデルはない(それこそ、タンクですらサントスには及ばない)。1904年に誕生したサントス-デュモンは、1911年にアルベルト・サントス=デュモン以外の顧客からも要望があったことから初めて量産、シリーズ化された腕時計として公式に認められている。その6年後か8年後か、人によって違うかもしれないが、1919年に最初のタンクが“発表”されたということになっている。サントスが作られた年にかかわらず、同モデルは歴史的な時計である。この事実は、どんなに鼻持ちならないヴィンテージコレクターでも否定できないだろう。

 カルティエ サントス ガルベ Ref.2961は名実ともに、入手困難な時計でもなければ、私にとって本当に興味深いモデルでもない。もちろん、カルティエのなかでもお買い得なモデルを探しているなら、ツートンカラーの80年代製サントスは悪くない選択だ。しかし正直なところ、私たちの耳を驚かせるようなものでもないだろう。このサントスを特別な存在としているのは、ご覧のとおりの赤い文字盤だ。確かではないが、この文字盤と針の組み合わせは1979年のサントス誕生75周年を記念して発売されたものだという記述が見られる。しかしアニバーサリーウォッチであろうとなかろうと、ラッカー仕上げの深いバーガンディカラーダイヤルはメタルケースに映える実に見事な仕上がりだ。

 ケースの堅牢さに加え、文字盤と針にいたるまで完璧な仕上げが施されており、このサントスのコンディションは本当に素晴らしい。そして何より、この時計はHODINKEEの時計職人によって完全に整備されている。HODINKEE Shopで確認して欲しい。

1966年製 ブライトリング スーパーオーシャン Ref.2005
By Saori Omura

 ブライトリングは1940年代にクロノマットシリーズで、その後1950年代には今や象徴的な存在となっているナビタイマーで空を制した。そしてナビタイマーの発表と並行し、ブライトリングはもうひとつの大きなテーマである“海”に飛び込んだのだ。1950年代にはさまざまな時計メーカーがダイバーズウォッチ市場に参入し、急激な盛り上がりを見せ始めた。もちろん、それにはロレックス サブマリーナー、オメガ シーマスター、ブランパン フィフティ ファゾムス、ジャガー・ルクルト ディープシー アラームなどのビッグネームが含まれる。また、EPSA(エルヴィン・ピケレス S.A.)社が開発した防水ケースの改良により、エニカなど多くの中小時計メーカーがその恩恵を受けるようになった。この波に乗り、ブライトリングは1957年に初のオフィシャルダイバーズウォッチ、スーパーオーシャン(クロノグラフのRef.807と時間表示のみのRef.1004)を製造した。

 スーパーオーシャンの魅力は、200m /600ft防水の本格的なダイバーズウォッチであることにとどまらない。同モデルは、当時の市場に溢れ始めたほかのダイバーズウォッチと一線を画する鋭いデザインセンスを誇っていた。クールでありながら、同時に機能的。大げさなインデックスや針などのデザインからは、どこかユーモラスさも感じられるようだ。夜光は水中での視認性を高めるだけでなく、大振りなインデックス上に配することで、黒い文字盤のなかでその存在感を際立てている。

 今日紹介するRef.2005は1964年に発表されたもので、先代のRef.807の自動巻きバージョンとなる。42mm前後のSS製ケースに収められた、大きくも大胆なモデルだ。黒と白を基調とした印象的なデザインと、クリームカラーに変色したパティーナが、遠くからも目を引く。最も興味深いのは“スローモーション"クロノグラフ針だ。パッと見ただけでは、先端に大きな四角い夜光を持つ普通のクロノグラフ針にしか思えない。しかし、ひとたびクロノグラフをスタートさせると、すぐに何かがおかしいことに気がつくだろう。実はこの針、60秒ではなく60分で1周する“スロー”クロノグラフ針なのである。これにより、ダイバーは水中での経過時間を簡単に読み取ることができる。しかし、この一見素晴らしいアイデアには注意点もあった。動きがゆっくりであるため、クロノグラフ針が動いているかどうかを判断しにくかったのだ。この問題を解決するべく、ブライトリングは6時位置に窓を追加した。黄色の丸印はクロノグラフが作動中、黄色の半丸印はクロノグラフが一時停止中、黒色の丸印はクロノグラフが解除されていることを意味する。

 この時計が水中で最高のパフォーマンスを発揮できるように設計され、何度もテストされたうえで、本格的なダイバーズウォッチとして発売されたことは間違いない。しかし、私がこの時計でいちばん気に入っているのは、頑丈なツールウォッチとされつつも、同時にエレガントで文句のつけようがない魅力を放っている点だ。探検にでも出かけるように、私たちは常に万全の準備を心がけたいもの(あるいはそうすべき)だが、そのときこの時計を巻かない理由はないだろう。このブライトリングは、ここで手に入れよう。

1970年代製 サーチナ クロノリンピック Ref.8701-504
By Sean Egan

 サーチナには長く興味深い歴史があり、私の友人で元ルームメイトのローガン・ベイカーがそのすべてをここで見事に解説してくれている。この驚愕の物語を持つブランドについてもっと知りたければ草の根を分けるように掘り下げることもできるし、それは私たちHODINKEEが、まさにしようとしていることだ。今回取り上げるのは、このブランドのクロノグラフシリーズであるクロノリンピックだ。60年代後半に初出となったクロノリンピックは手巻きキャリバーを搭載しており、70年代後半には自動巻きに電池式、そしてデジタルモジュールへと移行していった。クロノリンピック登場初期、サーチナは2回のエベレスト遠征にいくつかのモデルを同行させており、これはハンス・ウィルスドルフのやり方を模倣したようにも見えた。模倣かどうかはさておき、サーチナはクロノリンピックの提供者は間違えなかったようだ。提供者のひとり、3レジスターの逆パンダモデルを受け取った彼の名は三浦雄一郎という。この冒険家は世界一高い山に登っただけでなく、スキーで下山することを決意し、2000mを2分30秒で滑り抜けたという。彼ならもっと先まで行くことができただろうが、途中、氷の塊にぶつかって転倒してしまった。報道では彼のサーチナのは助かったということだが、私はその時計自体を見たことがない(この遠征についてもっと知りたいなら、アカデミー賞受賞のドキュメンタリー映画『エベレストを滑った男(原題:The Man Who Skied Down Everest)』を見て欲しい)。

 今日紹介する時計は世界一高い山を滑り降りた時計ほど単純ではないが、それを気にする必要はないだろう。実は、これは私がこれまで見たなかで最も好きな文字盤のひとつだ。70年代的な色使いと放射状のインデックスを見ると、ボートに乗って『Brandy(You're a Fine Girl)』が聴きたくなる。このグルーヴィーかつグーフィー(ベタベタ)な文字盤は特大のSSケースに収められており、中央にはクロノグラフの分・秒表示を備えたバルジュー Cal.728を搭載。1971年に発表されたこのモデルは、1972年のミュンヘンオリンピックに向けて作られたもののようだ。同スポーツイベントとの公式な関連はないものの、イベントを取り巻く熱気に乗じようとしたのだろうと想像される。文字盤上で5分、10分、15分を強調していることについては、レガッタレース用と考えれば適切なデザインだ。この時計にまつわる私の仮説につけ加えるならば、その年には6つの異なるヨットレースが開催されており、いずれもかなり変わったネーミングだった(少し眉唾だが、ドラゴンミックスはその一例だ)。この時計は、登山時の記録、レース前の計測、レコードを鑑賞するときなど、シーンを問わず活躍してくれる。ぜひチェックして欲しい。