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2024年の年末に、期待を込めてロレックスの2025年新作予想記事を公開した。70周年となるGMTマスターでは“コークベゼル”モデルがいよいよ登場するのではないか、そしてデイトジャストが誕生から80周年であることからアニバーサリーエディションが登場するのでは? という予想を披露したが、ロレックス以外にも2025年にアニバーサリーを迎えるブランドやモデルは数多くある。本稿では、そのなかでも特に大きな節目、気になる周年となるブランド、モデルを5つ取り上げた。いずれも個人的に注目しているものであり、多分に妄想を含んでいるが、読者のみなさんはどんなブランドやモデルに注目しているのだろうか? ぜひとも意見を聞かせて欲しい。
A.ランゲ&ゾーネ 1815/30周年
A.ランゲ&ゾーネ 1815 クロノグラフ。画像はこちらの記事から。
1815は、A.ランゲ&ゾーネ復興コレクション発表の1年後の1995年に登場したもので、2025年に30周年を迎える。読み取りやすいアラビア数字インデックスにブルースティール針、そしてベゼルに沿ってぐるりと走るレイルウェイ風ミニッツトラックなど、創業者フェルディナント・アドルフ・ランゲ(F.A.ランゲ)時代の懐中時計に採用されていた伝統的要素が多数盛り込まれたダイヤルが1815の特徴だ。さらに1815コレクションは手巻きモデルのみのラインナップであるということも特徴だ。自動巻き時計への関心が高まったのは20世紀に入ってからであり、手巻きモデルのみというのもやはりF.A.ランゲ時代の懐中時計へのオマージュゆえだ。
そもそも1815コレクションの名は、創業者のF.A.ランゲの誕生年にちなんでつけられたものであるが、F.A.ランゲがドレスデン郊外のエルツ山地にある小さな町で時計工房を開業したのは1845年のこと。そう、2025年は(一時期失われていた時期があるにせよ)創業から180周年のアニバーサリーイヤーでもあるのだ。2024年にA.ランゲ&ゾーネは復興の年に誕生したランゲ1の30周年記念を祝う限定モデルをリリースしている。1815は登場から30周年、そして創業180周年というダブルアニバーサリーである2025年に限って、何の周年モデルを発表しないということはないだろう。
ブランドの詳細は、A.ランゲ&ゾーネ公式サイトへ
オメガ METAS認定モデル/10周年
オメガとスイス連邦計量・認定局(METAS)が共同で制定した新しい精度認定制度「マスター クロノメーター」が2025年でスタートから10年となる。2015年当初、マスター クロノメーター認定モデルはグローブマスターのみだったが、毎年拡大を続け、いまやオメガのほぼすべてのラインナップがマスター クロノメーター認定を受けるに至った。また、METASのテストはオメガ以外の時計メーカーも受け入れており、2021年にはチューダーが初のマスター クロノメーターモデルをリリース。そのライナップは拡大し、新たな品質基準として認知を広げつつある。オメガはこの10年、マスター クロノメーター認定モデルの拡大に努めたが、それを記念するような限定モデルなどはリリースしていない。精度に並々ならぬこだわりを見せるオメガ。10年の節目に特別なモデルが登場しても不思議ではない。
マスター クロノメーター10周年ということもあるのだが、2025年はオメガから“高精度”に関する何らかのモデルが登場するのではないかという期待がある。というのも、オメガは2023年に、特許取得の新しいスピレート™技術を開発。±0.1秒の微調整を可能とし、日差0〜+2秒の圧倒的な精度を実現させた(詳細は記事「In-Depth オメガの新しい精度調整機構、スピレート™システムの仕組みを徹底解説!」を読んでいただきたい)。そして2024年にラボラトワール・ドゥ・プレシジョン(LdP=Laboratoire de Précision)を設立し、新たなクロノメーター検査制度の導入を発表したのだ。LdPはオメガによって設立されたが、完全中立の独立機関として運営され、オメガに限らず、 すべてのブランドやムーブメントメーカーにクロノメーターテストの機会を提供するという(LdPの詳細は、こちらの記事をチェックして欲しい)。LdP設立のニュースを発表以降、特に目立った動きもないため、個人的には今年は新しい動きがあるのではないかと思っている。
ブランドの詳細は、オメガ公式サイトへ
シャネル J12/25周年
シャネル マドモアゼル J12 ラ パウザ。J12の特徴的なスタイルでありながらも生粋の時計メーカーとは一線を画す斬新なクリエイティブを発揮している。
プルミエールや、ボーイフレンドなどシャネルにはさまざまなスタイルのアイコンウォッチがラインナップされているが、時計愛好家にもよく知られるコレクションといえば、やはりJ12をおいてほかにはない。デビューは2000年。当時シャネルのアーティスティックディレクターを務めたジャック・エリュによって生み出されたJ12は、その後幾度かのマイナーチェンジを重ねた。一方、2カウンタークロノグラフのJ12 スーパーレッジェーラ(2005年)、ポインター式のデイトとムーンフェイズ表示を備えたJ12 ファーズ ドゥ リュヌ(2013年)などの派生モデルも生まれたが、2019年に現シャネル ウォッチメイキング クリエイション スタジオ ディレクターであるアルノー・シャスタン氏の手によってJ12は大きなモデルチェンジを受けてさらなる進化を遂げた。
登場以降、J12はシャネルのウォッチメイキングにおけるユニークなクリエイティブキャンバスとしてあり続けた。このところは、毎年異なるテーマで展開されるカプセルコレクションを通じてJ12をベースにした独創的かつメゾンらしいさまざまなモデルをリリースしている。今ではハイエンドな自社製の機械式ムーブメントをも手がけるようになったシャネルなら、四半世紀、25周年を迎えるにふさわしいアニバーサリーモデルで楽しませてくれるのではないかと個人的には大きな期待を寄せている。
ブランドの詳細は、シャネル公式サイトへ
ジラール・ペルゴ ロレアート/50周年
ジラール・ペルゴ ローレアート 42mm グリーンダイヤル。画像はこちらの記事から。
ジラール・ペルゴにおける一体型ブレスレットウォッチ、いわゆるラグジュアリースポーツウォッチとしてコレクションの一角を担うロレアートは、ラグジュアリースポーツウォッチの元祖たるオーデマ ピゲのロイヤル オークが発表されてから3年後の1975年に誕生した。ジェラルド・ジェンタデザインによるパテック フィリップのノーチラスに、IWCのインヂュニア SLは1976年、ヴァシュロン・コンスタンタンの222は1977年にリリースされているが、ロレアートは、そうした当時のデザイントレンドの影響を受けて生まれたフォロワーのひとつだ。
いまや定番となり、一時期の過剰ともいえるラグジュアリースポーツウォッチの熱狂は落ち着いているが、50周年のアニバーサリーを迎えるロレアートを盛り上げるまたとない好機であるのは間違いなく、何らかの周年モデルが発表されることは想像に難くない。問題はその中身だ。オリジナルへと回帰するようなモデルとなるか、それとも現行のロレアートのスタイルに準ずるものとなるか。どんなものとなるか、そもそも周年モデルが発表されるかも定かではないが、チーフ プロダクト& マーケティング オフィサー(CPO&CMO)としてクレマンス・デュボア(Clemence Dubois)氏が製品開発、マーケティング、コミュニケーションを担う現在のジラール・ペルゴならきっとユーザーファーストな選択をしてくれるに違いない(その理由はインタビュー記事「ジラール・ペルゴ クレマンス・デュボア氏が語る、ブランドが大切に守り続けるコアバリュー」を読めばわかっていただけると思う)。
ブランドの詳細は、ジラール・ペルゴ公式サイトへ
ヴァシュロン・コンスタンタン 創業270周年
ヴァシュロン・コンスタンタン レ・キャビノティエ・ザ・バークレー・グランドコンプリケーション。画像はこちらの記事から。
Ref.57260で打ち立てた記録を自ら更新し、2024年にに発表した18Kホワイトゴールド製のビスポーク懐中時計“レ・キャビノティエ・ザ・バークレー・グランドコンプリケーション”を持って、世界で最も複雑な時計を製造するメゾンという称号を守り続けたヴァシュロン・コンスタンタン。US編集部メンバーの多くが“2024年の注目すべきコンプリケーションウォッチ”としてその名を挙げるほど、印象深い時計のひとつになったようだ。そんな同ブランドの創業は1755年、2025年は創業から270年というアニバーサリーイヤーとなる。これまでヴァシュロンは創業の周年にジュビリーコレクションとして記念モデルをリリースしており、今年も何らかの記念モデルが発表される可能性が高い。その時どきで旬のコレクションがアニバーサリーモデルのベースとなることが多く、一体どんなコレクションが選ばれるのかは想像しにくいのだが、どんなモデルで楽しませてくれるのかを想像するのもまた楽しい。
ヴァシュロン・コンスタンタンに限らず、2025年に創業のアニバーサリーイヤーを迎えるブランドは数多い。以下は、各ブランドが創業から何周年となるのかを書き出したもの(すべてのブランドではなく一部だ)だが、これらのブランドでも何らかの記念モデルが登場する可能性が高いため、注目しておいたほうがいいだろう。
ブランドの詳細は、ヴァシュロン・コンスタンタン公式サイトへ
【2025年にアニバーサリーイヤーを迎えるブランド】
- A.ランゲ&ゾーネ 180周年(1845年創業)
- オーデマ ピゲ 150周年(1875年創業)
- ブランパン 290周年(1735年創業)
- ブレゲ 250周年(1775年創業)
- シャネル 115周年(1910年創業)
- ショーメ 245周年(1780年創業)
- ショパール 165周年(1860年創業)
- グラスヒュッテ・オリジナル 180周年(1845年創業)
- ウブロ 45周年(1980年創業)
- パネライ 165周年(1860年創業)
- ロジェ・デュブイ 30周年(1995年創業)
- ロレックス 120周年(1905年創業)
- ゼニス 160周年(1865年創業)
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