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Watching Movies 『エイリアン』の劇中、シガニー・ウィーバーはカシオ F-100をダブルで装着してゼノモーフと抗戦する

今週の時計に関する映画、1979年までさかのぼる。当時の未来では、(当然ながら)2本のデジタルウォッチが必要だった。


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まるで無限大の宇宙を飛んでいるかのようなカメラワーク。観測される外惑星の表面らしきものをカメラが後方に引き、卵の形が明らかになる。画面はデイヴィッド・リンチ(David Lynch)風の熱狂的な夢へと変化する。卵が切り裂かれ、宇宙冒険ホラーのクリップがスクリーンに現れると、感覚的な過剰負荷が起こる。そのあいだ、タイトルがゆっくりと形作られていき、最終的に“エイリアン”という言葉が表れ、“宇宙では、あなたの悲鳴は誰にも聞こえない”というシンプルなキャッチフレーズが添えられる。

 今説明したのは、リドリー・スコット(Ridley Scott)監督による『エイリアン(原題:Alien)』(1979年)の予告だ。これはSFスラッシャー映画であり、それほど評価されることなく映画界を完全に変えてしまった。スコットがジョージ・ルーカスの小さな宇宙冒険譚、『スター・ウォーズ(原題:Star Wars)』(1977年)に影響を受けたと言っていたドキュメンタリーを思い出す。ストーリーやトーンは必ずしもそうではないが、製作デザインに触発されたと述べていた。生々しく、使い込まれ、内臓を刺激するような、砂塵で覆われたファンタスティックな宇宙のアイデアは、若い監督を魅了した。スコットはまた、1977年に初めての大作映画『デュエリスト/決闘者(原題:The Duelists)』を公開しているが、成功を収めたのは『エイリアン』である。実際、彼はその後『エイリアン』と『ブレードランナー(原題:Blade Runner)』(1982年)というSF映画史上最高の傑作を世に送り出すことになる。

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『エイリアン』にて、シガニー・ウィーバー(Sigourney Weaver)演じるリプリー(Ripley)と彼女の2本のカシオ F-100、右にはヤフェット・コットー(Yaphet Kotto)演じるパーカー(Parker)。Image: 20th Century Studios/Disney

 『エイリアン』はさまざまな意味で、最初の真の現代ジャンル映画を象徴した。『スター・ウォーズ』のような陳腐な見せかけはなく(これはSW大ファンからの意見だ)、『2001年宇宙の旅(原題:2001: A Space Odyssey)』(1968年)やヒッチコック(Hitchcock)からのインスピレーションを巧みに取り入れている。映画製作の腕前はさておき、多くの映画が恐れていたことを成し遂げた。それはリプリー役のシガニー・ウィーバーが演じる女性ヒーローを中心に据えたことだ。彼女は自身の存在感と身体能力で映画を引っ張り、この作品を名作へと押し上げた。アイコニックなエイリアンと肩を並べながら、手首に1本ではなく、2本のカシオの時計を身につけている…そんな感じだ。


注目する理由

 いくつかの映画は、見るのに理由はいらないと思うものがある。エイリアンは確かにそのうちのひとつだが、私が今週この映画をビデオデッキに入れた完璧な理由がいくつかある。1979年に公開されたこの映画は、今年で45周年を迎え、それは祝うべきことだと思うから。それに加えて、『エイリアン:ロムルス(原題:Alien: Romulus)』の最初の予告編が今週公開された。さらに理由が必要ならば、今週発売されたスヌーピーのムーンスウォッチは、私を宇宙旅行の気分にさせてくれたし、サイトに掲載したばかりの緑色に輝くカシオ G-SHOCK、“Hidden Glow”の記事は、その気分をさらに盛り上げてくれた。

 この映画はノストロモ号という商船のクルーを追っている。この船はジョゼフ・コンラッド(Joseph Conrad)の小説にちなんで名付けられているが、1979年は偶然にもフランシス・フォード・コッポラ(Francis Ford Coppola)の『地獄の黙示録(原題:Apocalypse Now)』が公開された年でもあり、それ自体がコンラッドの小説『闇の奥(原題:Heart of Darkness)』に基づいている。話がそれた。ウィーバー演じるリプリー准尉を含む船の乗組員は、深い眠りから目覚め、近くにある月につながる救難信号に直面する。その月で、彼らは死んだ地球外生命体のパイロットと放棄された船に遭遇するが、それだけではない。彼らはすぐに卵でいっぱいの部屋に到着し、そのうちのひとつが孵化してクルーのケインを攻撃する。この卵はこれで見納めではないと言っておこう。胸部が爆発し、現在ではゼノモーフ(H・R・ギーガーのネクロノムIVの絵にインスパイアされた)と呼ばれるエイリアンが船内で暴れまわり、クルーを全滅させ、リプリーがひとりでエイリアンと戦うことになる。

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『エイリアン』に登場する有名な猫とリプリー(ウィーバー)、そしてカシオのF-100。Image: 20th Century Studios/Disney

 この映画は、登場人物の手首についている時計など、細かい部分に注意を払うのが難しいほど、サスペンス(と美しいカメラワーク)で観客の注意を引くタイプの映画だ。しかし、この時計はあまりにもクールで個性的で見逃せない。私が気に入っているのは、深宇宙での時計の使い方と、プロップメイキングや映画の魔法が融合している点だ。というのもエイリアンの小道具チームが、1979年に地球で通常生産されたカシオ F-100を、この架空の宇宙にふさわしいとしてデュアルウォッチモデルに作り変えたのだ。

Casio F-100

エイリアンに登場するカシオ F-100を“Your Props”で再現したプロップ。Image: Your Props/Hodinkee composite

 そう、リプリーの手首、そしてトム・スケリット(Tom Skerrit)演じるダラス(Dallas)船長の手首を見ると、カシオのF-100をふたつ組み合わせたモデルを着用しており、それには赤い縁取りが施された標準的なラバーストラップと思われるものに取り付けられている。スコットと同じように、F-100はカシオトロンの未来に続く後継機として1977年にデビューした(カシオトロンはちょうど50周年を迎え、忠実に復刻されたばかり)。F-100の大きな特徴は、樹脂で作られた最初の時計のひとつであり、金属製の時計よりもはるかに軽量であることだ。F-100の“フェイス”は、大きなボタンと青と赤のカラーコードを配した、ダースベイダーの胸当てをほうふつとさせるものだ。これらのボタンは、デジタル表示を読み取るための大きな長方形ディスプレイの下にある。

Casio A-100

F-100にオマージュを捧げた、現代のカシオA-100。

 スコットとプロップマスターがスタンダードなF-100を見て、“ああ、これは我々の宇宙に合っている”と思ったのは至極当然のことだった。しかし、この時計は当時としては未来的な外観をしていたが、エイリアンにとっては十分に未来的ではなかったようだ。そこで、このふたつの時計を含む特注のプロップバリエーションが生まれたのだ。F-100はすでに生産されていないが、カシオはオリジナルのビジュアル的な要素を多く取り入れ、現行のA-100によってこの時計を復活させた。私の意見では、ブランドはまだ論理的な飛躍として、寸分たがわぬエイリアンのF-100を製作するには至っていない。50周年を待つしかないのかもしれない。

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『エイリアン』にてリプリー(ウィーバー)とノストロモ号のクルー。Image: Getty images/20th Century Studios/Disney

 映画の話に戻るが、この時計は入念に作り込まれたエイリアンの世界に違和感なく溶け込み、ノストロモ号のクルーのスタンダードな制服一式の一部のように見える。リプリーにとって、この時計は劇中での出番が非常に長く、その赤い装飾は見逃すことができない。クルーが朝食を取る平凡なシーンでも、船の廊下で武器を手にエイリアンと抗戦を交わすシーンでも、彼女がこれを身につけているのがわかる。『エイリアン2(原題:Alien2)』に登場する、“リプリー”の愛称で親しまれたセイコー については、初期のWatching Movies記事でも取り上げたが、このカシオの創造性と想像力が、時計と銀幕のよりよいパートナーシップを象徴していると思う。

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見るべきシーン

 ノストロモ号が救難信号と思われるものを信じて救助しようと決定すると、クルーの一部がこの近くの月に向けて出発をする。リプリーは船に残り、無線で乗組員と交信する。彼女が、自分たちが受信した信号(のちに救難信号ではなく警告であると判明する)の内容をさらに詳しく調査するように船の仲間に頼むシーンでは、彼女がカシオ F-100を視界に入れながら立ってコーヒーを飲んでいる姿が見える。

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Image: 20th Century Studios/Disney

 映画の後半、最も象徴的なワンシーンであるが、ケインはエイリアンの卵の攻撃による意識不明から目を覚まし、クルーと再会して食事をとる。しかし彼はすぐに不快感や苦痛の兆候を示し、チームはテーブルを片付けて彼をその上に寝かせ、回復を試みる。チームが彼を押さえ込もうとしているあいだ、リプリーの手首にあるカシオ F-100が見える。その直後、彼の胸部からエイリアンが(衝撃的な方法で)爆発して出現し、すぐに船のどこかに消えてしまう。そして、『エイリアン』の真のアクションが始まるのだ。

Image: Getty images/20th Century Studios/Disney

『エイリアン』(シガニー・ウィーバー主演)はリドリー・スコット監督、小道具はデイブ・ジョーダン(Dave Jordan)担当。Huluでストリーミング、AppleやAmazonではレンタルまたは購入することができます。

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