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Introducing オーデマ ピゲ CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ フライング トゥールビヨン クロノグラフ

進化を続けるCODE 11.59。今作は同コレクションの中で最も複雑なモデルの1つである。

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オーデマ ピゲが、2019年にCODE 11.59コレクションを発表したとき、時刻表示と日付、自動巻きクロノグラフ、永久カレンダー、フライングトゥールビヨン、オープンワークのフライングトゥールビヨン、そしてミニッツリピーター(後者は、2015年にロイヤル オーク コンセプト#RD1で初めて公開され、その翌年にロイヤル オーク コンセプト スーパーソヌリとして発表された)の6つのカテゴリに計13モデルがラインナップされていた。2つのフライングトゥールビヨンは、同社の腕時計用トゥールビヨン開発の非常に長い歴史の一部であり、その起源は同社で初めてシリーズ生産された自動巻きトゥールビヨンウォッチに搭載されていたCal.2870まで遡る。1986年に発表されたそのモデルは、ケースバック自体をムーブメントプレートとして使用したり、非常に繊細なチタン製のトゥールビヨンケージを採用したりと、数々の技術革新が施されている。初代CODE 11.59トゥールビヨンは手巻きだったが、オーデマ ピゲは今日、手巻きCal.2950の自動巻きバージョンであるCal.2952を発表した。

 トゥールビヨン クロノグラフのアイデアは、もちろんオーデマ ピゲにとって新しいものではない。実際、同社初のトゥールビヨンクロノグラフは、2013年に発表されたロイヤル オーク クロノグラフ トゥールビヨン Ref.25977(Cal.2889: 28石、2万1600振動/時)だ。興味深いことに、このRef.25977は2870のような極薄モデルではないが、先代モデルと共通しているのは、やや珍しいV字型のアッパー・トゥールビヨンブリッジだ(ただし、このモデルは44mm x 12.9mmとかなり大型のモデルだった)。

新モデル深堀り:AP初のトゥールビヨンクロノグラフであるRef.25977(2003年)。

 それ以来、トゥールビヨンクロノグラフは、ほとんどがオフショアケースをもった手巻き腕時計としてAPのコレクションに登場しているようだ。2014年にベン・クライマーは、同社が「モンスター」の異名をもつプラチナケースに、プラチナブレスレットを組み合わせた10日間パワーリザーブのロイヤル オーク オフショア トゥールビヨン クロノグラフを発表したとレポート。次の年には、チタン製で手巻きCal.2936を搭載したオフショア トゥールビヨン クロノグラフがリリースされた。このモデルの基本的なレイアウトは、新型のCODE 11.59 トゥールビヨンクロノグラフの美学にも影響を与えた。Cal.2952 は、基本的な点においてCal.2936との関連性があることは明らかだが、それ以外の点では全く新しいデザインとなっている。トゥールビヨンに加えて、2952はフライバッククロノグラフでもあることを考えれば、これは驚くべきことではない。

CODE 11.59 トゥールビヨンクロノグラフのローターを取り外した様子。

フライング トゥールビヨン: ケージのアーム部分は面取りと鏡面仕上げが施されている。テンプはフリースプラングで4つのゴールド製調整用ネジが付いている。

 Cal.2952 は当然のことながら、32.6mm x 9.13mm と比較的大型のムーブメントで、479個の部品で構成される。パワーリザーブは65時間、40石で2万1600振動/時で作動する。オーデマ ピゲのハイエンドモデルでは、ムーブメントの仕上げも他のどのモデルにも負けないものになっている。トゥールビヨンクロノグラフは、技術的にも興味深いものだが(私が知っている中では同社のモデルはどれも他ブランドのものとは大きく異なる)、本モデルの価値はブラック(鏡面)ポリッシュ、面取り、ペルラージュといった古典的な研磨技術が採用されいている点にも注目である。

研磨の最終段階では、スイスのジュラ地方に自生するリンドウから採取したジャンシャンを使用。その柔らかさが鏡面仕上げに適した弾力性を与える。

 今日、オープンワークムーブメントには基本的に2つのアプローチがある。1つは既存のキャリバーを使用し、ニードルやノコギリ(またはより正確でコンポーネントを物理的に歪めずに加工可能なワイヤ放電加工機)を使用して、ムーブメントの機能と剛性を大幅に損なうことなく、できるだけ多くの金属を取り除くやり方だ。このアプローチは稀ではあるが、特定のムーブメントのために一部の会社ではまだ使用されている(ジャガー・ルクルトのCal.849などは美しい例だ)。

 そしてもう1つのアプローチは、現代の時計製造の特徴である、最初からオープンワークまたはスケルトン化されたムーブメントを製作することだ。どちらの用語も、標準的なムーブメントに物理的な変更を加えることを意味しているため、文法的にも技術的にも正しいとは言えない。しかし、文法や構文の問題はさておき、スケルトンムーブメントをイチからデザインすることは、既存のムーブメントに穴を開けるよりも多くの利点がある。1つには、ムーブメントの美学をコントロールすることがはるかに容易で、もう1つには、物理的な安定性と信頼性をはるかに高めたムーブメントを作ることが可能だ。
 このアプローチとその利点を示す個人的なお気に入りの例は、カルティエの「サントス ドゥ カルティエ スケルトン ADLC ノクタンブール」である。一見すると文字盤に見える夜光の数字が、ムーブメントのプレートの役割も担っている。

 CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ フライング トゥールビヨン クロノグラフは、私の知る限りでは、この2つめのカテゴリーに当てはまるのだが、これはある意味では、より創造的な課題を生み出している。既存ムーブメントを使用しない場合は、見た目に美しく、機械的にも信頼性が高く、デザイン的にも従来のオープンワークとは異なり、高度な時計製造のアーキテクチャとして独自の強みを発揮できるようなものを最初からデザインしなければならない。

 この時計の最後のポイントは、ロイヤル オークとオフショアライン以外では、高級ムーブメントに見られるハイウォッチメイキングの仕上げ技術をケースにも取り入れた同社初の時計の1つであるということだ。ジェラルド・ジェンタがロイヤル オークのために考案したオリジナルデザインは、その発売以前はムーブメントの部品に限定されていたステンレススティールの手仕上げをケースにも施したものだった。しかし、「CODE」のケースは、実際には遥かに複雑で精巧に作られており、私の知る限りでは、高級時計のムーブメントの仕上げをケースの一部だけでなく、ムーブメントの一部にも取り入れようとする、他に類を見ない試みだ(そして、実際にそれがムーブメントで行われているものに匹敵する)。

 これは、CODE 11.59コレクションの発売以来、同社が主張してきたポイントである。ムーブメントに適用されているのと同じように、CODE 11.59のケースに手が込んだ仕上げが施されているのを見たことがあり、同社を疑うわけではないが、現在の状況下では実際に見に行くこともできないため、飛行機の予約が取れるようになるまでは言い切ることはできない。近いうちに、来年にでも見られることを願っている。それまでの間に、CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ フライング トゥールビヨン クロノグラフの美しさは、自分の目で見ることができる幸運な人だけが目にできる、高級時計における芸術的で稀有な作品だ。

CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ フライング トゥールビヨン クロノグラフ: ホワイトゴールド製ケース、30m防水、ムーブメント Cal.2952、32.6mm x 9.13mmの自動巻き、フライバッククロノグラフ付きのフライングトゥールビヨンで2万1600振動/時、40石、60時間パワーリザーブ。価格は要問い合わせ、世界限定50本。本モデルをベースに18KPGのバイカラーモデルが世界限定50本で日本先行発売。こちらは2680万円(税抜)。

詳細はオーデマ ピゲ公式サイトへ。