Introducing ブランパン　フィフティ ファゾムス トゥールビヨン 8デイズ（編集部撮り下ろし）

　1953年にブランパンは、“モダンダイバーズウォッチの祖”として知られるフィフティ ファゾムスを発表しました。その3年後には、よりデイリーユースに適したフィフティ ファゾムス バチスカーフをリリース。クォーツショックの影響を受け、コレクションの歴史は数十年ものあいだ途絶えていましたが、2003年に復活。最近では、伝説的なミルスペックモデルを復刻したフィフティ ファゾムス ノー ラディエーションやグレード23チタンを採用したバチスカーフがリリースされるなど、現在もさまざまなバリエーションとともにコレクションを拡大し続けています。

　そんなブランパンのフィフティ ファゾムスは、ほかブランドのダイバーズウォッチと比較して、ユニークな点があります。それはコレクション内に複雑機構を搭載したモデルを多くラインナップしていること。日付を大きく見せるグランドデイトやフライバッククロノグラフ、機械式水深計を備えたモデル、そして、曜日、月、日付に加えムーンフェイズを表示するコンプリートカレンダー搭載モデルも存在します。なかでも最も複雑な機構を搭載したモデルが、今回ご紹介する“フィフティ ファゾムス トゥールビヨン 8デイズ”。そう、トゥールビヨン搭載のダイバーズウォッチです。

　本作は、基本的には2007年に発表された同名モデルのアップデート版です。ケース径45mm、厚さ14.80mm（2007年版は14.75mm）、防水性能300mとスペックシート上の数字はほとんど共通ですが、ケース素材やデザインが異なります。

　本作のケース素材は、18Kレッドゴールドとグレード23チタンが用意されました。先代モデルではレッドゴールドとホワイトゴールドのラインナップでした。グレード23チタンは、フィフティ ファゾムス バチスカーフやエアコマンドなど昨年から積極的に取り入れるようになったチタン素材です。軽く、優れた耐衝撃性や耐圧性、耐食性を備えながら、グレード5のチタンよりも抗アレルギーレベルが高いのが特徴です。

　また、ケースの仕上げも先代とは異なり、全体にサテン仕上げが施されたことで、よりスポーティな印象になりました。

　サファイア製の丸みを帯びたベゼルや3、6、9時のアラビア数字インデックスを配した文字盤など、フィフティ ファゾムスを確立するデザイン要素はそのまま。基調カラーは、ブラックからブルーへと変更されました。

　文字盤は美しいサンバースト仕上げ。2007年モデルでは6時位置にパワーリザーブインジケーターが配されていたのに対して、今作ではそれが取り払われ、ブランパンとフィフティ ファゾムスのロゴ、防水性能表示などを配置。全体的にクリーンな印象を与えます。

　トゥールビヨンキャリッジは、60個の部品で構成されています。ブリッジのないフライングトゥールビヨンのため、機構と動きがより見やすいのが特徴です。

　ケースを裏返すとトランスパレントバックを通して、内部のCal. 25Cを鑑賞できます。先代モデルのCal. 25Aとの主な違いはパワーリザーブインジケーターの有無です。サテン仕上げが施された18Kゴールド製ローターにはオープンワークが施されているため、輪列や丁寧に装飾されたコート・ド・ジュネーブやサーキュラーグレイン仕上げも楽しむことができます。

　チタン製のフィフティ ファゾムス トゥールビヨン 8デイズは、同素材のブレスレットのほかにブルーのNATOストラップ、セイルキャンバスストラップがあり、18KレッドゴールドケースはNATOストラップかセイルキャンバスストラップを選択できます。

　繊細な複雑機構であるトゥールビヨンを水中アクティビティのために作られたタフなダイバーズウォッチに搭載するというのは、かなり奇妙な組み合わせのように感じます。では一体なぜフィフティ ファゾムス トゥールビヨン 8デイズが作られたのでしょうか。

　それはブランパンが技術力をアピールする目的以外に思いつきません。しかし、約70年にもおよぶ同社のダイバーズウォッチの歴史とクォーツショックによる休眠からの復活のキーとなった機構のひとつであるトゥールビヨンを組み合わせたことは、たしかに理にかなっているようにも感じます。

　実際、今回実機を手に取ってみて、改めてブランパンの外装への質感のこだわりを感じる部分がありました。それはチタンブレスレットです。

　このチタンブレスレットは、横方向のピンで結合され、また通常は各リンクの横にあるピンを後ろ側に配置した特許取得済みのシステムによって構成されています。これは、2020年に登場したものと同じ構造ですが（ブランパン　フィフティファゾムスにチタン製ブレスレットモデルが追加 2020年新作）、本機の素材には一般的なグレード5の高純度バージョンであるグレード23チタンを採用。ベースとなるチタンの純度が高いため、耐衝撃性や耐圧性、耐食性に優れ、かつアレルギーのレベルも高く医療用としても活用される魅力的な素材です。

　また、チタンという加工難易度の高い素材にも関わらず、ラグとブレスレットの隙間がないよう非常に精密に作られていることからも高い製造技術力も伺えます。

　直径45mm、厚さ14.8mmとボールドでタフな印象ですが、軽量なチタン製ケースとしなやかなブレスレットが快適なつけ心地をもたらします。

　文字盤に目を落とすと、パワーリザーブインジケーターがなくなったことで、よりフライングトゥールビヨンに視線がいくようになっていました。ツールウォッチであるフィフティ ファゾムスのケース全体をサテン仕上げにすることでスポーティさを強調しながら、視線を集めるフライングトゥールビヨンも強調することで洗練されたラグジュアリー感を演出し絶妙なバランスを実現しているのです。

ブランド： ブランパン（Blancpain）
モデル名： フィフティ ファゾムス トゥールビヨン 8デイズ（Fifty Fathoms Tourbillon 8 Jours）
型番： 5025-12B40-O52A（チタンケース、セイルキャンバスストラップ）、5025-12B40-NAOA（チタンケース、NATOストラップ）、5025-12B40-98S（チタンケース、ブレスレット）、5025-36B40-O52A（18Kレッドゴールドケース、セイルキャンバスストラップ）、5025-36B40-NAOA（18KRGケース、NATOストラップ）

直径： 45mm
厚さ： 14.80mm
ケース素材： グレード23チタン、または18KRG
文字盤色： ブルーのサンバースト
インデックス： アプライド
夜光： あり、針、インデックス、ベゼル
防水性能： 30気圧
ストラップ/ブレスレット：セイルキャンバスストラップまたはNATOストラップ（チタンモデルはブレスレットのオプションあり）

キャリバー： Cal.25C
機構： 時、分、トゥールビヨン
直径： 26.20mm
厚さ： 4.85mm
パワーリザーブ： 192時間（8日間）
巻き上げ方式： 自動巻き
振動数： 3Hz
石数： 29石
クロノメーター認定： なし
追加情報： 総部品数197個

価格： チタンケース × セイルキャンバスストラップ 1369万5000円 / チタンケース×NATOストラップ 1369万5000円 / チタンケース×ブレスレット 1394万8000円 / 18KRGケース × セイルキャンバスストラップ 1555万4000円 / 18KRGケース× NATOストラップ 1555万4000円（すべて税込）
発売時期： チタンケース（発売中）、18Kレッドゴールドケース（4月発売予定）
限定：なし

詳細は、ブランパン公式サイトへ。