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Staff Picks 2万5000ドルで行うコレクションリセットチャレンジ

かなりの予算を握ってやり直すとしたら...

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ほとんどの人にとって、時計のコレクションは時間とともに進化していく。コレクションの幅を広げる人もいれば、奥深さを追求する人もいて、またさまざまな種類の腕時計が提供してくれる新鮮さを体験して楽しむ人もある。あなたの時計収集の道に関係なく、ほとんどの人はある時点で心機一転、つまりいままでコレクションしたものをリセットするというアイデアを思い描いたことがあると思う。

 そこでHODINKEEのスタッフ数人に、2万5000ドルという仮の予算で、コレクションをリセットする方法を想像してもらった。わずか数本の時計で新たなスタートを切ることを目標に、それぞれの現在の趣味や経験をどのように活用するかと考えたら、心(と財布)を刺激的な境地に迷わせるのに十分な金額である。以下で紹介するおすすめを見てみて欲しい。 そしてもし同じ(まるっきり架空の)予算が与えられたら何を選ぶか、ぜひコメントに寄せて欲しい。


ランゲ・トゥ・ザ・ムーン – ベン・クライマー

 2万5000ドルの資金を持ってやり直すのであれば、コンテンポラリーを目指し、挑戦的なブランドにチャンレンジするだろう。私の“素晴らしい”腕時計として、それはランゲでしかありえない。あらゆる部分にハイエンドなウォッチメイキング技術を詰め込む彼らの能力は他の追随を許さない。また2014年にも述べたように、すべての高級時計ブランドが同じことができるわけではない。サクソニア(中古で1万5000ドル以上)は、自社製、手巻き、ヴィンテージのサイズ感と、私のような時計マニアが求めるすべての条件に合っている。あぁ、それと1994年に発表されたオリジナルのランゲのひとつだったかな? 現在の希望小売価格は2万3000ドル前後だが、ホワイトゴールドでももう少し安く手に入る。今の基準からすればお買い得なアイテムなのだ。

スピードマスターとサクソニア

 毎日使うものであれば、ヘサライトクリスタルのスピーディプロ(7000ドル)が最適だろう。黒いダイヤルに3レジスターのクロノグラフ、最高級のスティール製ブレスレットに加えて、輝かしい歴史もある。オメガとランゲ、そして特にこれらの時計の素晴らしい点は、知る人ぞ知る存在であり、誰かに何かを証明しようとせずに、世界中から愛されているということ。“ハイプウォッチ”の時代にある今、このふたつの時計は私の目にますます素敵に映るのだ。

–ベン・クライマー(Ben Clymer)、創業者


私にベニュワールを与えよ、さもなくば死を – マライカ・クロフォード

 いったん自分の持ち物を奪われたら、内観してその経験を振り返り、完璧なデザインを表していると思うものに焦点を当てる。

 カルティエは今も昔もデザインに積極的だ。カルティエ ベニュワール(~1万1000ドル)の滑らかな楕円ケースは、調和のとれた完璧な音を奏でた、私が求めてやまないものだ。時計デザインではめったに見つけることができない。さりげなく、それでいて見た目の珍しさが印象に残るからこそ完璧なのだ。とても小さくてカルティエらしい。ダイヤルはそこにあるが、従来の用途で使うようにと要求しているわけではない。そっと優しく、“必要なら時刻を見てもいいが、私の美しさには感心したほうがいい”と囁くのだ。

カルティエ ベニュワールとロレックス デイトジャスト

 このバングルのデザインは、カルティエが主にジュエラーであることと関係している。これは時計が半分、もう半分がブレスレットという完璧なバランスを維持している。ジュエリーウォッチのハイブリッドだが、宝石で覆われていない。これは言葉で表現できないほど私に語りかけてくる。まるでカルティエの誰かが、私の脳内を覗いてじっくりと観察して、何をすると私がクラクラしてしまうか見つけ出してくれたかのように。

 ベニュワールのバングルは小振りながらも完璧なフォルムをしている。すでに完璧な時計の、さらに完璧なリニューアル版だ。しかも大好きなイエローゴールドをまとっている! また、オールパヴェのダイヤモンドバージョンをいつかコレクションに加えられるように、将来の配当金が大きくなることを密かに祈っているかもしれない。しかし、HODINKEEの架空の予算が4万ドルに膨れ上がるまでは、プレーンなYGで十分なのだ。

 次はSS製のロレックス デイトジャスト 16030(5500ドル以上)だ 。本当はエクスプローラーを選びたかったのだが、すでにエクスプローラーの114270を所有している。それにHODINKEEのフリーマネーマルチバース空間上で、あまり予測どおりだと思われたくない。それではおもしろくないからだ。

 デイトジャストはそれなり予測できるかもしれないが、ただうまくいくとわかっているものに傾倒することがすべてであるため、クラシックを嫌う理由はない。この課題は、素晴らしい黒のパンツや完璧な白Tシャツの時計版のように、絶対に何にでも合う土台を構築することなのだ。もし私が美学をフルスロットルで追及していて、YGやストーンダイヤルでは物足りないと思うのであれば、伝統的なデイトジャストをジュビリーブレスと合わせたものを選ぶのはどうだろう? 私はこの時計をルーズに、そして誇りを持って身につけるだろう。そしてこの時計は私の人生の相棒となるに違いない。そして問答無用でシルバーダイヤルだ。

 たとえこれが偽札であったとしても、脅されて支払いの判断を下したくないので、残りの(架空の)現金はYGのダブルツイストのセルペンティのために貯金しておこう。それは私の偽札なのだから好きなようにする。

–マライカ・クロフォード、スタイル・エディター


ホワイトにロレックスをサンドウィッチ – トニー・トライナ

 少し前、ネオヴィンテージのブランパンの価値について記事を執筆したが、今こそ自分の(想像上の)お金をつぎ込むのに最適な機会だと感じた。1万ドルでブランパンのパーペチュアルカレンダーを手に入れようではないかと。時刻表示のみのカラトラバやタンクも考えてはいたが、少し退屈で、また予想ができてしまう気がしたので違うものを選んでみた。ひとつわかったことがあるとすれば、時計コレクションは時刻表示のみの時計にストラップがついたものから始まり、それで終了するということ。しかしもうひとつ学んだことがあるとすれば、どうしてもパーペチュアルカレンダーが欲しいということだ。敬愛するカルティエ タンクには申し訳ないが、今はQP(パーペチュアルカレンダー)の時期であり、ブランパンのQPが持つ価値以上のものはない。そこで私は90年代製のRef.5395 スティール製(~1万ドル)を手に取ろう。

ロレックス GMTマスターとブランパン パーペチュアルカレンダー

ブランパンのイメージ提供: Christies.com.

 スポーツウォッチやデイリーユースの時計としては、80年代の過渡期のロレックス、つまりヴィンテージの雰囲気と現代的なつくり、両方の長所を併せ持ったものを選びたい。ということで私にとってマットダイヤルを持つGMTマスター Ref.16750(~1万5000ドル)は80年代初期のなかでも最高のロレックスだ。マットダイヤルにトリチウム、プラスチック風防など、ヴィンテージウォッチであることに変わりはないが、毎日身につけられるだけの十分な機能を備えている(防水性がある程度確保されているかどうかはメーカーに確認が必要だ)。またクイックセット(日付を単独で調整できる機能)の日付、しっかりとしたブレスレットリンク、そして多くの70年代製の時計よりも充実したつくりとなっている。ところで、ディーラーは今すぐ5桁のロレックスの在庫を処分したがっているようなので、いくつかのお得な情報をお知らせしよう。

 80年代や90年代の多くの時計には相対的な価値があり、ヴィンテージや現代の時計が持つリスクや落とし穴などがないと私は考えている。つまりヴィンテージウォッチほど変な商売はないし、(現行品と比べて)ウェイティングリストもゲームもない。もちろん、2万5000ドルあれば2本といわずもっとたくさんの腕時計を買うこともできるのだが、これはあくまでも“リセット”であり、またこの数年のあいだに起こった出来事のひとつは、自身のコレクションを減らして、今あるものをただ身につけたいという感情になったということだ。1本のドレスウォッチと1本のスポーツウォッチ。これだけあれば選択のパラドックスは起きないし、どの場面でどの時計をつけていくかという疑問も発生しない。

 確かに、SKXなどを買えるだけのお金は残っているかもしれないが、もうひとつ学んだことがあるとすれば(これを学んだと言えるかどうかわからないが)、セイコーをもう1本買うだけのお金は常にあるということだ。だからとりあえずは、この2本だけにしておこう。

–トニー・トライナ、エディター


コーラ vs. ペプシ(ただしダイバーズに限る) – ダニー・ミルトン

 自分のコレクションをリセットするのは難しい課題だ。個人的なものを一掃し、ゼロから始めるというのはあまり深く考えたくはないが、しかしここではそれが求められている。もう1度やり直そうとしている別世界のなか、2万5000ドルという健全な予算を持っている私は、“モノ”にも縛られず知識にも恵まれているため、何かを構築することはできると思う。そして10万ドルの4分の1の予算を手にした今こそ、あの夢のようなヴィンテージロレックス、“赤サブ” Ref.1680を手に入れるときなのだと思う。この時計の市場規模は過去5年ほどで急激に上昇し、5万ドルを優に超える高値に達した。ただ状況が少し軟化したため(不景気だからだろうか?)、新しい予算での見通しはよさそうだ。じっくりと探せば2万2000ドルから2万5000ドルの範囲でいくつかの例を見つけることができる。場合によっては私の夢を犠牲にしてブレスレットではない個体を選ぶ必要があるかもしれないが、おおよそ(ブレスレットがついて)2万2500ドルで見つけることができると言っておこう。そこは我慢しよう。

 しかし私の手には2500ドルが残っている。このまま普通預金口座に入れて、この夢の時計だけを楽しむとするのか。でもそんなことはしない!

ロレックスとオメガ

 ここは夢の世界であり、その夢の世界では別の時計を買おうではないか。さて、赤サブは何年も前から私の長年の夢だった。これは私の大好きな映画、『大統領の陰謀(原題:All The President's Men)』に登場する時計で、1970年代にロバート・レッドフォード(Robert Redford)がスクリーンのなかで着用して見せて、この時計を有名にした。赤と白の文字盤が混在する究極のムービーウォッチであり、そして最強のヴィンテージサブマリーナーである。しかし画面に向かって“ジェームズ・ボンドはどうしたんだ?”と騒いでいる人たちのために、2本目の時計でカバーしよう。私の第2希望はオメガ シーマスター ダイバー300M ブルー、Ref.SU 196.1503だ。通称ボンド・シーマスター、クォーツのシーマスターである。

 これで2本の“ムービーウォッチ”コレクションは完成だ。微妙なウェーブダイヤル、パティーナのマーカー、そして90年代的な魅力を持つボンド・シーマスターがどれだけ過小評価されているかは言うまでもないが、ネオヴィンテージダイバーという観点からは特にクォーツ式ではこのモデルが最高だと思う。しかも今なら2500ドル前後で手に入る。古い赤サブだと旅行はちょっときついかもしれないと思った日は、シーマスターを手に取って同じように満足することにしている。

–ダニー・ミルトン、マネージングエディター


カラトラバに合うものは? – マーク・カウズラリッチ

 ふたつの時計のコレクションというアイデアが好きだ。なぜならそれに対するあなたの率直な反応が、あなた自身にをいろいろと教えてくれるからだ。私にとってこれはとても簡単なことである。

 時計について目覚めたときから私はGMTマスターのファンだ。オイスターブレスレットに装着された新しいGMTマスター IIを手に入れるのに4年も待ったし、もし必要であればもう4年待てる。ヴィンテージのRef.1675もお気に入りだが、この時計は一生身につけると思っていたし、なにより新品時計が持つような高い耐久性と、傷がつくたびに感じる痛みと思い出が欲しかった。1万700ドルとして税金として切り上げよう。残りは13だ。

ロレックス GMTマスターとパテック フィリップ

パテックのイメージ提供: Christies.com.

 私はクラシカルなカラトラバが大好きで、理想を言えばドフィーヌ針と6時位置のスモールセコンドのものがいい。私は大柄な体格だが、小さな時計をつけるのにまったく抵抗がないので、直感的にパテック Ref.96を選んだ。最大でも32mmのものしかないが、いつの時代も変わらないクラシカルさがいい。おそらく1万3000ドルで見つかると思うが、コンディションはベストとは言えないかもしれない。そこで私はRef.3923を選ぼうと思った。私のお気に入りはSS製の日本限定モデルだが、予算をはるかに超えてしまうためYG(~1万2000ドル以上)にする。この時計はほとんどが同じプロポーションで、最近(1999年)までに作られたものなので、オリジナリティに関して心配する必要は少ない。

 これが私のツールウォッチとドレスウォッチだ。バッチリだろう。

–マーク・カウズラリッチ、エディター


1本で終わってしまう – エリン・ウィルボーン

 この挑戦のために、私は無骨な機能性についての考えを窓から投げ捨て、常に眺めていたいだけのものを選んだ。私にとってそれは間違いなくヴィンテージでありYGであり、またできればパテックがいい。具体的にはエリプスだ。

パテック エリプス

イメージ提供: Sothebys.com

 画家のイヴ・クライン(Yves Klein)が描くブルーは私の好みの色で、時代の流れに逆らうようなこのミッドナイトブルーのダイヤルは、間違いなくそのかゆいところに手が届く。これにブラックレザーストラップが付いていたらうれしいのだが、私の好みはゴールドのブレスレットに偏っていて、市場では少し値が張るが予算内に収まっているものも少なくない。特に私はこの70年代のリファレンスにかなり心引かれているが、90年代半ばのものにも同じくらいの熱意を持っている自分がいることに気づく。

 確かにエリプス(1万8000ドル以上)は堅苦しく、時代遅れだなどと主張する人がおそらくいるだろうことは認識している。ただこれは私の想像上のお金なので、私は好きなように使うよ。どうもありがとう! この美しさを手首にさりげなく身につけながら、気軽にブランチできるような女の子になりたいものだ。

「あぁ、この古いやつ? 本当におもしろいよね」

–エリン・ウィルボーン、コピーライター


ありえない課題 – リッチ・フォードン

 これらの指示に対する率直な反応は、通常、ジェームズが与えてくれた予算を使って少ない数の時計を買うことだ。今のところ、より安くよりよいものを買うというのが私の収集方法である。しかし最近、旅行中にGMTを紛失してしまい(実際は持っていないが)、もう少しだけ時計が欲しい気持ちになった。だから私はここに来て少しだけコレクションの幅を広げようと思ったのだ。

several watches

 セイコーのSBEJ009(海外版はSPB381)は1500ドルという予算で、目を引くグリーントーンのセラミック製ベゼルインサートを備えたダイバーズGMTであり多くの要素をカバーしている。ここでヴィンテージのロレックスやチューダーに1万ドルから1万5000ドルを割いてもよかったが、SBEJ009ははるかに安い値段で多くのことを実現してくれて、また単に1675よりもこっちのほうが好きだしもっとつけたいと思った。

 インポッシブルウォッチ(Impossible Watch Co.)はアラスカ州、タルキートナに拠点を置いたブランドで、数カ月前から私のInstagramフィードにちょくちょく表れている。現在は創業者がひとえいで経営しており、2年前に工房を建ててから年産約100から200本の腕時計を手作業で組み立てている。“IMP”はアラスカで組み立てを行った最初の時計ブランドだと、彼は誇らしげに語ってくれた。IMPのダイヤルは本当に私の目を奪った。ストーンなどエキゾチックなオプションが目立つのは言うまでもないが、このブランドはプリントの文字盤でさえよくデザインされており、その重量よりもはるかにパンチ力がある。(たった)725ドル払い、IMP タイムオンリー マラカイトダイヤルでリセットできるのはうれしい。

 上の最初の2本は、どちらかといとデイリーユース用のものなので、汎用性の高いドレスピースをいくつか用意する必要がある。ひとつはトリローブ ニュイ・ファンタスティック(1万600ドル)だ。ランゲ1の価格の3分の1であり、代替品としてとても気に入っている。まあ仕上げはランゲに及ばないかもしれないし、それはそれでいいのだが(私の次のチョイスも見て欲しい)、どんなシーンでもランゲ1を着用したいと思うし、それと同じようにニュイ・ファンタスティックをつけても満足できる。

 最後に高品質なヴィンテージウォッチがないとコレクションを締めくくれない。オークションに出品される、時刻表示のみのミッドセンチュリーなパテックは好調を維持しているが(参照: 56534172526)、“そのほかの”リファレンスはかなり過小評価されていると思う。私の価値論に賭けて、フランソワ・ボーゲル(François Borgel)のケースを持つRef.2508Ref.2509を手に入れてみたいが、この予算でそれはできない。そんななか残りの1万2000ドルで素晴らしいRef.3410を見つけることができた。ハードエナメルのサインが浮き出た1960年代のパテックであり、34mmのYG製ケース、キャリバーはAmagnetic(耐磁性を確保していたムーブメント)である。なぜ私は最初から選ばなかったのだろうか?

–リッチ・フォードン、クライアント・アドバイザー


ブランドン・リーがブルース・リーと出会う – ブランドン・メナンシオ

 僕は当初、この2万5000ドルという空想の予算で、ふたつの時計コレクションを考えていました(結論から言うと、僕が考えていたローズゴールドのA.ランゲ&ゾーネ 1815とブラックダイヤルのエクスプローラー II 16570は数千ドルほど高すぎました。空想上のローンは許されなかったでしょうか?)。とはいえ自分のことはわかっているつもりですし、2本の時計だけでは飽きてしまうのは確実でした。いずれは時間と経験がそのコレクションを解決にしてくるとも思いましたが、もし今すぐ、時計を選ばざるを得ないのであれば僕は次の4つを選びます。

ロレックス、グランドセイコー、JLC レベルソ

 ひとつは間違いなく、ブラックダイヤルのセイコー スピードタイマー 6139-6010、通称“トゥルー・ブルース・リー(Bruce Lee)”(~2500ドル)がコレクションに入っているでしょう。というのも、僕の父はブルース・リーの大ファンで、ブルース・リー本人にちなんで僕の名前をつけたようなものだったからです。もちろん彼はリーのアクション満載の映画を見るのが好きでしたが、ブルース・リーがアジア人男性をタフでヤバかったことを証明するのに貢献したことにも感心していました。当時、アジア人男性はその正反対と見られることのほうが多かったのです(父がフィリピン人だったことは言っておいたほうがいいかもしれないですね)。

 僕が生まれたとき、父はもともと僕にブルースという名前を付けたがっていましたが、母がそれを許さなかったので、彼らはなぜか代わりにリーというミドルネームを付けてくれました。偶然にもブルース・リーの一人息子と同じ、ブランドンというファーストネームも与えてくれました(当時はそのことを意識していなかったと思います)。時計に対して普段センチメンタルでもなければ、それほどロマンチックさも求めていないですが、それは僕の大きな趣味のひとつであり(そしてプロになった)、ブルース・リーがセイコー スピードタイマーを実際に身につけていた事実はあるので、僕もそれを身につけるのは当然だと思います。父は11年ほど前にがんで亡くなりました。父を偲ぶための馬鹿げた時計は必要ありませんが、僕はこれを父のために買いました。彼の代わりに身につけているのです。

 2本目の時計は、同じくセイコーファミリーである、グランドセイコー SBGA413、通称“春分”(6600ドル)を選びました。“雪白”ファンには申し訳ありませんが、僕にとって春分はグランドセイコーの真骨頂だと思っています。クォーツレベルの精度を誇るグランドセイコーのスプリングドライブムーブメントを搭載し、スムーズに動くスイープ運針の針が、桜の花びらを散りばめたような絶妙な質感を持つ薄いピンクダイヤルの上を滑るのです。革新的なムーブメント、自然にインスパイアされた華やか文字盤、さらに軽量なザラツ研磨のチタンケースなど、これ以上のグランドセイコーはありません。これが僕のデイリーウォッチになるでしょう。

 この仮説上のコレクション、3つ目を飾るピースは、ブラックダイヤルを持つロレックス エクスプローラー II 16570(~8500ドル)です。5桁の数字を恋しく思うのは僕にとってロレックスが真のツールウォッチだと感じられた最後のリファレンスだったからです。確かに、最近のモデルはムーブメントやケース、ブレスレット、クラスプなどが改善されてより頑丈になっていますが、僕の好みからすると彼らは立派すぎるのです。まさに不毛の境地です。あのジャラジャラとしたブレスレットにはいつも魅力を感じていたし、出張の多い僕にはGMTという追加の機能は大変ありがたかった。また立派なコレクターであるためには、コレクションにロレックスが含まれていなければなりませんよね?(間違っているとは思いますが個人的には欲しいです)。これが私のトラベルウォッチです。

 そして最後にヴィンテージのカルティエ サントスやYGのタンクにしようかとも思って、何度かつけてみたのですが、なぜかしっくりきません(手首が大きすぎるかも?)。38mmのトリローブ ニュイ・ファンタスティック デューンダイヤル(1万600ドル)で独自の路線を突き詰めようかと考えたときもありましたが、残念ながら予算を数千ドルオーバーしてしまいました。最終的には古典的なジャガー・ルクルトのSS製レベルソ・クラシック・スモールセコンド(6475ドル)に決めました。僕はいつも、時計に素敵なエングレービングを施したいと思っていました。レベルソの真っ白な面はそのための完璧なキャンバスですよね。どのようにエングレービングしようか、まだ決めていませんが、何か楽しめることや意味のあるものを施したいと思います。またレベルソは私の手首には信じられないほどよく似合います。これは私のためのドレスウォッチであり、予算も使い切れました。

–ブランドン・メナンシオ、エディター


2本の特別な限定モデル – ジェームズ・ステイシー

 僕は今持っているコレクションから何本か選び、それを聖杯と組み合わせようと2万5000ドルを持って出発した。そして旅先で幸運をつかんだ。最近ブランパン フィフティ ファゾムスの魅力が増してきていたので、さっそく自分の手首に大きすぎないモデルを探してみた。心のどこかでは2017本限定のミルスペック トリビュートを期待していたのだが、2020年後半に250本の限定版としてリリースされた、HODINKEEとのフィフティ ファゾムス ミルスペックのアクティブリストに遭遇し、さらにいい結果を得たのだ。

ブランパンとミドー

 40.3mmでオールサテン仕上げのSSケース、デイトなしの仕上がり、マットダイヤル、ストラップにブランド名の表記はなし、そしてフィフティ ファゾムスの美意識をクラシカルにアレンジしたという、まさに僕にとって聖杯と言えるダイバーズウォッチだ。当初の希望小売価格が1万4400ドルで、とても手が出なかった。有難いことに、今は仮想だが潤沢な資金があるので、このクールな時計の希望小売価格が2万3000ドルであったとしても気にならない。今回の予算が2万3000ドルに限られていたら、何も考えずにこのFF(フィフティ ファゾムス)を現金で買ってしまっただろう。しかし、たまたま数ドル残っていたためトラベル用の時計も手に入れようと思った。

 このリセットチャレンジ、2番目にして最後の候補は昨年登場したお気に入りの時計のひとつである、ミドー オーシャンスター GMT×HODINKEE 限定エディション(1390ドル)だ。エレガントなスタイリングに、旅行に適したモダンなムーブメント、そして旅行先でも着用しやすいサイズ感を備えた美しいフライヤー型GMTである。

 ブランパンが僕の予算を食いつぶしたにもかかわらず、ミドーは私の残りの2000ドルを大きく下回り、現在もHODINKEE Shopで販売されている。999本限定で直径は40.5mm、NATOストラップのほか同梱されているもの(SSメッシュ、ブラウンレザー、NATO)から最適なストラップを選べる。ミドーはこの価格帯では珍しいサイズ、トラベルコンプリケーション、そして魅力を兼ね備えている。僕はこれをとても気に入っているし、限りなくクールなミルスペックを十分に引き立てていると思うのだ。

 リセットが目的なら、このペアは私を長く楽しませてくれると思う。

–ジェームズ・ステイシー、リード・エディター

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