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ティソ PRXは、マイナスポイントがないという数少ない時計のひとつだ。楽しくて、デザインに優れていて、手頃な価格の時計であり、最近では品薄に感じることもある。
ただひとつだけ注意しなければいけないことがある。オリジナルのティソ PRX パワーマティック80は40mm径、ラグからラグまでが51mmと、一部の人たち(私の手首も入る)にとって大きすぎたのだ。ただ35mm径の小振りなバージョンが登場したことで、ほぼすべての人がPRXを楽しめるようになった。
ゴールドカラーをまとうPRX 35mm。
ティソは6月、パワーマティック 80ムーブメントを、35mmのPRXに搭載すると発表した。以前から展開していた小型のPRXはクォーツ式ムーブメントおよびスムースダイヤルのみで、ティソは(業界的に見れば)中型のPRXに好待遇を与えていたのだ。
現代のティソ PRXは、1970年代に誕生したブレスレット一体型スポーツウォッチ、ティソ シースターのクールな雰囲気を取り入れ、インスピレーションを受けている。最新のPRXも同様で、ほかの一体型ブレスレットウォッチに代わる手頃な価格を提供している。
“アイスブルー”ダイヤル。
PRX パワーマティック 35mmのスペックから見ていこう。厚さは10.9mm、ラグからラグまでは39mmだが、最初のブレスレットリンクが固定されているため、44mmのようにも見える。ケースの仕上げは大型のPRXでもおなじみのもので、ほとんどがサテン仕上げだが、ベゼル、ケース斜面、ブレスレット内側のサイドなど、コントラストをつけるためにポリッシュ仕上げもふんだんに使われている。
ブレスレットはバタフライクラスプに向かって綺麗にテーパーがついている。クラスプは少々プラスチックっぽい感じで、高価なブレスレットのような満足感のある“カチッ”という音はしないが、2023年でそのような納得のいくものは700ドル以上すると思う。マイクロアジャストはないがブレスレットリンクは比較的短く、問題なくフィットした。
スタンダードなスティールケースには、アイスブルー、グリーン、ブラック、ブルー(いずれも税込10万7800円) 、35mm専用の新しいホワイトマザー・オブ・パール(税込11万3300円)、計5つのダイヤルオプションがあるほか、ゴールドトーンのシャンパンダイヤル(税込12万5400円)も展開している。今回のHands-Onはアイスブルー、マザー・オブ・パール、ゴールドの3本を用意した。それぞれ文字盤には、ワッフルパターンが刻印されている。比較的光量は少ないものの、針とアプライドインデックスにはスーパールミノバを使用し、十分機能していた。
マザー・オブ・パールは35mmのPRX専用となる新しいモデルだ。プレス画像や静止画でさえ真っ白に見えることがあるので、わかりやすい動画をこちらからどうぞ。
控えめだがとても美しく、この輝きを手に入れるには追加で5500円かかる。
ダニーがA Week On The Wrist記事で、オリジナルのPRX 41mmとともに過ごしたとき、彼はティソの12時位置に標準的なワードマークではなく、レトロな雰囲気のロゴを使用してほしいと語っていた。これは今でも有効な批評だ。ただ6時位置にある“PRX”ロゴのクールなこと!
ETA社製CO7.111をベースにした、既存モデルと同様の“パワーマティック80”ムーブメントが、PRX 35mmの内部で時を刻み、サファイア製シースルーバックからその動きを鑑賞できる。パワーリザーブは約80時間で、標準的なETA 2824を、よりロービート化した2万1600振動/時にしている。このムーブメントは修理が不可能なことから、“プラスチック”部品が使われているという誤解がある。実際はアンクルとガンギ車に、パワーマティック80ムーブメントのエントリーバージョンで見られる合成素材が使われている。
時計師の@thatguyが、PRX 40mmをレビューしたA Week On The Wrist記事のコメントで残したように、この複合素材には次のような特徴がある。“脱進機の衝撃およびロックフェーズの段階で、摩擦と衝撃が少なくなる。これはレバー脱進機上の通常のスティール製とルビー製の石の摩擦を軽減して、頻繁に注油する必要性や、アンクルとガンギ車の歯が摩耗するのを防ぐことができる「シリシウム脱進機」システムでも同様である”。
同氏はさらに、これらのC07ムーブメントは“非常に実用性が高い”と述べた。ティソのサービス料金は非常にリーズナブルな傾向にあり、ブランドはそれについて透明性を保っている。これらの料金表の一部は公式ウェブサイトから見ることが可能だ。修理に出されたムーブメントは、単に納期を短縮するために交換されることもあるが、その場合古いムーブメントはスイスにあるティソ本社に送られ、完全な修理を受けてから再利用される。
サイズは私の16cmの手首にちょうどよかった。ひと回り小さいが、40mmよりも快適で着用しやすく、36mm径のラウンドウォッチにほぼ匹敵する。ティソはおそらく37mmのPRXを展開すれば、すべての人を満足させることができるだろう(ロイヤル オークで効果があればの話だが)。特にゴールドトーンは、リタイア後のコミュニティ内にいる最もクールなおじいちゃんのような感じで、否定できない魅力があった。PRXはモダンな時計としても十分に機能するが、ゴールドカラーで表現されると、まぎれもなくレトロな雰囲気に変わる。特にアイスブルーはクールでモダンな印象で、トレンドを取り入れつつも今の気まぐれに完全に迎合することはない。マザー・オブ・パールダイヤルは、35mm用PRXに新たに追加された素晴らしいモデルだ。もちろん、より多くの女性にティソやPRXの興味を持ってもらえるよう設計されたものだが、頑張りすぎていない。男の人だってMOPをつけられる。
2枚の写真で見る、MOPダイヤルのルックス。
実際、ティソがPRXを男性と女性の両方に向けて販売したのは素晴らしいことだ(見方によってはどちらに対しても)。マライカがこの記事で伝えた、ときには時計のデザインに性別がないのもいいという表現が好きだ。また意図的に女性向けにデザインしたという点も理にかなっている。特に35mmのPRXは明らかにユニセックスだ。冒頭でもお伝えしたとおり、この時計は楽しくて、デザインに優れていて、手頃な価格の時計なのだ。
はっきり言っておきたいのは、たとえそれがほんの少し(本当にほんの少し!)小さいものであっても、私は40mmよりも35mmを毎日選ぶということだ。そしておそらく、その光り輝くMOPダイヤルのために5500円余分に払うことを正当化するべく、次に頼むブリトーでは(アボカドをベースにしたサルサの)ワカモレを抜くつもりだ。
価格設定と競合
ミドルサイズで1000ドル(日本円で約15万円)以下の一体型ブレスレットの分野では、今のところあまり競争相手がいない。クリストファー・ウォードのThe 12が最も適当な比較対象であり、これも最近36mmへと小型化した。ニバダ グレンヒェンのF77のサイズは37mmで、これも近い比較となるだろう(クリストファー・ウォードが最近小型化したのを思い出させてくれた、コメント欄のOllyWに感謝する)。しかしどちらも1200ドル(日本円で約18万円)以上であり、PRXの2倍近くの価格だ。ブリューウォッチ オートマティック(セイコー製ムーブメントを使用した限定モデル)のようなものは、マイクロブランドの堅実な代替品である。しかし、いずれもNBAのショットクロックのスポンサー(ティソ)になるほどのブランドの名声はない。
70年代風のスポーツウォッチかつ一体型ブレスレットのルックスを望むのなら、35mmのティソ パワーマティック80がずば抜けている。私はオーデマ ピゲやヴァシュロン・コンスタンタンのようなハイエンドブランドがこのカテゴリを拡張するのを見るのが大好きだ。そしてこの価格帯で、同じようなものがもっと出てくることを願っている。巨大な市場機会があることは間違いない。PRXは文字どおりどこでも見かけるが、幅広い魅力と熱狂的な支持を併せ持つ希有な時計である。
新しい35mmサイズで、PRXの福音がより多くの人に届くのは素晴らしいことだ。そしてパワーマティック 80に37mmモデルを求めるの無理な話だろうか?
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