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Editors' Picks HODINKEE Japan編集部がホリデーシーズンにつけたい夢のような時計を(空想上で)手にする

画面越しでしか楽しめない時計が、もし手に入るとしたら...

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我々時計エディターのもとには、ほぼ毎日、いろんな時計の情報が入ってくる。時事問題のようなニュースもあるが(2023年に起きた、時計にまつわるニュースをこちらの記事でまとめている)、基本的には新作情報が多い。そしてその魅力的な新モデルを取材や撮影で目にした際、“これは欲しい”と思うときがあるのだ。そこで個人消費が膨らむホリデーシーズンを前に、1年頑張った自分へのご褒美、もしくは簡単には手に入らないけれど夢にまで見るような時計を、HODINKEE Japan編集部がチョイス。1年で1番楽しいホリデーシーズンは、高い金額やアクセシビリティの悪さについて目をつぶろう。


松本 由紀、アシスタント エディター

ショパール アルパイン イーグル サミット ジナルブルーダイヤル

ショパール アルパイン イーグル サミット ジナルブルーダイヤル

 本テーマでは普段一番気にしているサイズ感を無視した。というのも細腕な私は、最大33mm径の時計しか腕に合わないので、つけられる時計というのを念頭に置くと、本当に選択肢がなくなってしまう。デザインを気に入っても、サイズの問題で断念することが多いのだ。
 ホリデーウォッチとして選んだショパール アルパイン イーグル サミット ジナルブルーダイヤルも、値段はさることながら41mmというサイズも普段なら絶対につけられない...でもこういう機会だからこそ、夢を見たっていいよね!

ショパール アルパイン イーグル サミット ジナルブルーダイヤル

©Patrick Csajko

 10万円以下のプレゼントに最適な腕時計記事でも、ブレスレット一体型のSS製ウォッチをおすすめに挙げている。無意識のうちに選んでいるので、心のどこかでこのカテゴリーが気になっているんだろう。来年、このジャンルの時計を手に入れているかもしれない(残念ながらこのモデルではないけれど)。
 
 最初にこのモデルを見たとき、その文字盤の美しさに引き込まれた。2023年の新作で、一番キレイな文字盤だと思う。そのあとケース素材とベゼルにセットされたサファイアが目に入り、一瞬で現実に引き戻された。
 この文字盤は見る角度によってブルーからバイオレットへと色味を変えていくというもので、長いホリデーシーズンをともに過ごす相棒として、いつまでも眺めていられるだろう。また普段宝石にはあまり引かれないが、これはグラデーションの様相が移り変わる文字盤と呼応してて素敵だと思う。いつか、このジナルブルーダイヤルがSSケース(もし可能であれば小振りなサイズで)に収められることを願う。

ショパール アルパイン イーグル サミット ジナルブルーダイヤル Ref.295363-1007、1250万7000円(税込)。ショパールブティック限定販売


佐藤 杏輔、エディター

アトリエ・デ・クロノメトリ AdC31

アトリエ・デ・クロノメトリ AdC31

 このお題は本当に悩ましかった。生々しい話をすると、実際に自分で買うならパテック フィリップやロレックス、チューダーなど、手放すときに後悔しなくてよさそうなブランドの時計たちに今は関心を寄せている。でも、今回は純粋につけたいと思える時計を考えてみた。筆者がブレることなくずっと大好きな時計。それはクロノメーターウォッチだ。特に愛してやまないのは、ヴィンテージの、ロービートで大きなテンプを持ち、丁寧に調整された古典的なクロノメーターウォッチ。オメガのCal.30 T2 RG(262)、ゼニスのCal.135、ロンジンの天文台クロノメーター Cal.360などは、昔から憧れの時計である。とはいえヴィンテージを普段使いする勇気はなく、個人的に今最も心引かれているのは、古典的なクロノメーターウォッチへのオマージュが感じられる現代の時計だ。

アトリエ・デ・クロノメトリ AdC31

 レジェップ・レジェピのクロノメーター コンテンポランクリスチャン・ラスの30CPなどは、ヴィンテージのクロノメーターウォッチをほうふつとさせるスタイルを持った心が躍る時計たちだ。特に今年見た時計のなかで最も筆者の心に刺さったのは、アトリエ・デ・クロノメトリのAdC31だった。この時計は銀座の老舗アンティークウォッチショップ、シェルマンの50周年を記念して特別に製作されたモデル。ディープブラックのグラン・フーエナメル文字盤に18Kイエローゴールドのバトンインデックスを配し、針には太いドーフィン針を合わせている。ちなみに通常エナメルダイヤルは銅のベースメタルプレートで作られる場合がほとんどだが、こちらはそのベースメタルプレートにも18KYGを使用するこだわりぶりで、37mmの段差付きのラグを持つ18KYG製ケースはハンドメイド。往年のパテック フィリップのカラトラバを思わせるスタイルだ。そしてなんといってもムーブメントである。搭載する自社製キャリバーのM284は、ブランド曰く、ジュネーブ天文台クロノメーターのような、1940年代のヴィンテージキャリバーのスタイルにインスパイアされたものだという。まさに筆者の好みのど真ん中だ。あぁ、もしこの時計が今自分の腕の上にあったら、もうほかの時計は要らないかも?

アトリエ・デ・クロノメトリ AdC31、1650万円(税込予価)


牟田神 佑介、エディター

ルイ・ヴィトン タンブール オトマティック

ルイ・ヴィトン タンブール オトマティック

 改めて卓上横にあるトレイを見てみると、見事にツール感の強い無骨な時計ばかりが並んでいる。仕事で時計を扱うようになってからしばらく経つが、自分で気になるのは一貫してスペックやタフネスを強調したスポーツウォッチで、2023年も新生インヂュニアやオリスのプロパイロットX、ロンジンのフライバッククロノなどが(消化される気配のない)私的なウィッシュリストに追加されていった。時計は飽きが来ず、丈夫で、実用的であればあるほどいい。それが少し前までの時計に対する好みだった。

 だが今年は、そんな心境に少し変化があった。先日発売されたHODINKEE Magazine Japan Edition Vol.7の撮影で滋賀を訪れた際、そこでいくつかのファッションメゾンの時計を撮影した時のことだ。焼杉板の壁が並び、石造りの水路が流れる古い街並みを、クラシックな装いに身を包んだモデルがひとり行く。その震えるほどの旅情のなか、手首にはルイ・ヴィトン タンブール(この時は、PG製のモデルだった)が巻かれていた。新生タンブールに関する情報はすでに記事で知っていたものの、実物が放つメゾンならではのエレガンスに僕の目は釘付けになっていた。

ルイ・ヴィトン タンブール オトマティック

 ファッションメゾンが高級時計を手がける意味については、アンソニーが今年の初めに記事にした。ときに既存のマニュファクチュールを買収し、ときにノウハウを持つグループと提携しながら、各社ファッションメゾンらしい発想を伝統的な時計製造技術をベースに形にし続けている。新生タンブールも、そんな伝統とセンスのハイブリッド感を味わえる時計だ。既存タンブールのデザインコードを薄いブレスレット一体型のパッケージにまとめ上げつつ、内部には著名なムーブメントメーカー、ル・セルクル・デ・オルロジェとの共同開発による自社製Cal.LFT023を搭載した本格的な高級機である。だが結局のところ、僕がヤラれたのはそんな蘊蓄ではなく、着用する人物のスタイルをも演出してくれるメゾンの格式にあるように思う。できるなら、長いホリデーの相棒に、このタンブールを連れて旅に出たい。あの時の写真のように……、とはいかないだろうが、少しは僕の佇まいもしゃんとして見えるはずだ。

ルイ・ヴィトン タンブール オトマティック Ref.W1ST10、261万8000円(税込)


和田 将治、Webプロデューサー/エディター

サイモン・ブレット クロノメーター アルティザン

Photographs by Mark Kauzlarich

サイモン・ブレット クロノメーター アルティザン

 これまでの僕の時計コレクションはロレックスのサブマリーナーに始まり、カルティエのタンクやオメガのスピードマスター、A.ランゲ&ゾーネのランゲ1など、ブランドのアイコンと呼べるような王道の時計を中心に構成してきました。どれも素晴らしい時計でとても満足していますが、僕の興味に変化が出てきました。

 そのきっかけは、今年Watches & Wondersのために初めてスイスを訪問したことです。ビッグブランドの新作の数々を見たあと、スイスでの滞在を1周間ほど延長して、レジェップ・レジェピやカリ・ヴティライネン、デビット・カンドーの工房を訪問したことで、より小規模で時計を生産する独立時計師やインディペンデントブランドに強く引かれました。なかでも僕が今とても好きなのがサイモン・ブレット(フランス語読みだとシモン・ブレット)です。

サイモン・ブレット クロノメーター アルティザン
サイモン・ブレット クロノメーター アルティザン

 コンプリケーションとイノベーションのムーブメントメーカー、クロノード社の創設者ジャン・フランソワ・モジョン氏のもとで働き、前衛的なMCTウォッチやMB&Fのプロジェクトマネージャーであるサイモン氏が立ち上げたブランドのデビュー作は非常に独創的です。直径39mm、高さ10mmのチタン製ケースにトレンブラージュ仕上げが施された印象的なデザインのダイヤルが配され、“天文台”針からインスピレーションを得た時針や先端を丁寧に曲げた針などのディテールは見事です。特に仕上げの質の高さには目を見張るものがあり、手間をとことん追求することができるインディペンデントメーカーならではの良さがあります。1年めにしてすでにブランドのデザイン言語を形成できているのは素晴らしいポイントで、GPHG2023でのレヴェレイション賞の受賞は当然のようにも感じました。

 普段よりもずっとゆっくりと時間を過ごせるホリデーにこの時計をじっくりと堪能できたなら、どんなに素晴らしいかと想像しますが、すでに長いウェイティングリストがあると聞いているので、せめて夢で見るしかなさそうです。

サイモン・ブレット クロノメーター アルティザン、6万スイスフラン


関口 優、HODINKEE Japan編集長

ロレックス オイスター パーペチュアル 36 “セレブレーションモチーフダイヤル”

Photographs by James Stacey

 個人的に2023年の新作ウォッチで最も心躍ったのがこのモデルだ。ここ数年、多くのブランドがラグスポブームに遅れを取るまいと、同じようなデザイン言語を用いたブレスレットウォッチを多くリリースしてきた。そんななか、業界で最も保守的で知られるザ・クラウンからの“セレブレーションモチーフ”には、ほぼすべての時計ファンが意表をつかれただろう。誰も予期しなかったダイヤルデザインであるとともに、ロレックスが2020年に発表してから瞬く間にコスモグラフ デイトナと並ぶほど希少な時計と化した、ビビットカラーのラッカーダイヤルシリーズの集大成を体現していたからだ。

ロレックス オイスター パーペチュアル 36 “セレブレーションモチーフダイヤル”

 正直に言って、この時計には一目惚れをした。もちろんロレックスの2023年の新作は60周年を迎えたデイトナをはじめ、秀作が並び立っていた。だが、この時計が最も楽しさを与えてくれるもので、世界がリスタートしたこの1年を盛大に祝しているようだった。このセレブレーションモチーフダイヤルは見た目のポップさと裏腹に、通常のラッカーダイヤルよりも高度な技術で作られている。細かいドット同士を同じ色調に揃えるだけでも途方もないものだが、すべてが見た目のユニークさに集約されているのだ。おまけに、どの色のオイスター パーペチュアルが欲しいかという悩みをコレ1つで解決してくれるというのは、コレクターにとっても夢がある。できることならこの時計をホリデーに間に合わせて、バブルの数だけ2024年の抱負を用意してみたい。

ロレックス オイスター パーペチュアル 36 “セレブレーションモチーフダイヤル” Ref.126000、79万6400円(税込)