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Just Because オメガ シーマスター 300 3種類の金無垢モデル

3つ合わせて2ポンド近い重さの、最も高価なシーマスター。


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「金こそが貨幣。それ以外のすべては

信用でしかない」

– -J.P.モルガン

彼がこの言葉を口にしたとき、時計については考えていなかったと重々承知しているけれど、この思想には良い時計、価値ある時計とは何かについての歴史的な考察と共鳴する部分がある。エコノミークラスの席に向かう途中でファーストクラスで輝かしく洒落た紳士の横を通り過ぎるとき、忠実に勤め上げた老後を楽しむ男性の腕に光る金時計、あるいは祖父の成功の証である家宝を譲り受ける場面において、ステンレススティールはいつも王様にはなれないのだ。多くの人にとって、いまだに王様が身に着けるのは金なのである。

 僕が金時計にたどり着くまでには、メッキのものや、派手な時計、トラベラーズ・ウォッチ、その他いろいろな時計を経験したが、SS製が伝統のスポーツモデルのゴールドバージョンが、僕の心を最も捉えた金時計である。ロイヤル オーク(そのオリジナルデザインによって、時代錯誤ともいえそうなゴールド)あるいはより古いGMTマスターなんかを思い浮かべてみて欲しい。これらはよく知られたモデルをベースとしながら、何か趣向の違ったものを作り出そうと、ゴールドの楽しみと威光を利かせている。そして、多くの読者の皆さんはこういった例を知っているはずで、オメガもそうであるし、その影響力はとても大きいといえる。

 オメガは2019年、とびきりクールなアポロ11号の50周年記念限定エディションとして、純金のスピードマスターを発表して話題をさらったが、これは貴金属のみを使った唯一のオメガ製スポーツウォッチというわけではないことをご存じだったろうか。バーゼルワールド2014で初めて発表されてから、多くの方は古いモデルにインスパイアされたオメガ  シーマスター 300に惹かれ、中でもおなじみのSS製モデル(もしくは12時間表示ベゼルが付いたジェームズ・ボンドの"スペクター" 限定エディション)を手に入れたいと思ったことだろう。
 この記事を書くにあたって、僕はこの時計を見ることを切望した。いま僕の手元には発売中の、3種類全ての貴金属製シーマスター 300(同素材のブレスレット付き)がある。プラチナ、イエローゴールド、セドナゴールドだ。モルガン氏も、大いに羨むはずである。

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 今回の記事のために、ほとんどこのためだけに僕は、オメガから3つの時計を借り受けた。最近の全てのシーマスター 300と同じで、最も華やかなこれらの時計も、幅41mm、厚さ15mm、縦の長さは48mmだ。おなじみのSS(あるいはチタン)製のものとは違って、この3本については、まずはじめにその信じられないほどの重さに驚くことになる。僕たちの持っている情報によると、写真にある3本は、どれも手首周り約19cmのサイズに調整されている(つまり重さが減っている)が。それでもなお、僕が想像していたよりずっと重い。

 厳密な計測による比較ではないが、3つのうち最も軽いのは244 gのセドナゴールドで、その次が254 gの18KYG、そしてプラチナモデルは大きく差をあけて312 gだ。PTのシーマスター 300はほとんど0.7ポンドに近いということになる。3つ全てを腕に着けてみると、大体、1.7ポンドのダイバーズウォッチだ。きっと今度のダイビングでは潜水用のウエイトはボートの上に置いたままで大丈夫だろう。オーケー、もちろん分かってる。300mの防水性能があるといっても、このシーマスターをして海に潜ったりはしないだろう。でも、夢見ることは自由なはずだ。

 僕が重さのことをこんなに詳しく紹介したのは、それが腕に着けた時にとても印象的だったからで、もしもあなたが、たまに金時計を借りることに慣れていても(あるいは所有していても)、この重さには驚くことだろう。ケースは十分に大きくスポーティだが、その重さが同素材のブレスレットと大きめのバックル(ここに薄手のウェットスーツやちょっとした夏太りにも対応できるプッシュボタン式エクステンション機能が付いている)にずしりとかかってくる。そんなわけで、この3本は使われている金属は違っても、どれも非常に重く、腕に確かな存在感を感じる。PTモデルを着けていたら、そちらの腕だけちょっとたくましくなるんじゃないかと思えるほどの重さだ。僕の筋肉が貧弱過ぎるのかな。というのは冗談だけれど、PTの時計でなくてもジムには行った方が良さそうだ。

 よりカジュアルなSSモデルと、それよりは高価だが確実に実用的なチタンモデルがある中で、どうしてオメガはこのやたら重く、より値の張る時計をわざわざ作ったんだろうと疑問に思うのも無理のないことだ。この疑問に対する答えが、黄金の文字で堂々とつづられているのが、僕にははっきりと想像できる。『なぜならそれができるから』。

  価格に関していえば、シーマスター 300 マスター コーアクシャル 41mmの18KYGと18Kセドナゴールドは共に347万円(税抜)で、PTケースにPTブレスレットのもの(Ref 233.90.41.21.03.002)が最も高く、660万円(税抜)だ。3モデルともベゼルはセラミック製で、そこにセドナゴールド製(ゴールドモデルの場合)もしくはプラチナ850 リキッドメタル製のスケールがついている。2つのゴールドモデルにはマットブラックの文字盤、そしてPTモデルにはよく合うマットブルーの文字盤で、357本の限定生産のうちの何本目かを示すナンバーも記されている。お忘れの方のためにつけ足しておくと、セドナゴールドはオメガが特許を取得しているローズゴールドの合金で、独自の配合でゴールド、銅、パラジウムを組み合わせることで、その色と輝きを高めている。

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 3モデルとも日付表示がなく、オメガのマスター コーアクシャル 8401 自動巻きムーブメントによって時を刻んでいる。1万5000ガウスの耐磁性をもち、2万5200振動/時の8401には、オメガのコーアクシャル脱進機が使われており、パワーリザーブは60時間。シースルーバック越しに見ることができる。

 ドレスウォッチやスポーツウォッチといった時計がある中で、その中間に位置し、特別で時代錯誤で(いい意味で)かなりやり過ぎなスポーツウォッチを欲する限られた人々のための、このようにニッチな時計も存在している。ランドローバーやメルセデスのGクラスが、ある意味で「オフロードに適さない」のと同じで、このような時計はダイビングには適していない。性能の問題ではなく、こういったものを手に入れることができる人々の大多数の用途の問題だ。僕はGクラスが好きだし、超個性的な金メッキのドクサも好きで、もし僕がある程度の防水性能を持った金時計を手に入れる幸運にあずかれるならば、間違いなくそれを実際に使うことだろう。そうはいっても、多くの人にとっては、実際のダイビング云々は理論上の関心でしかないし、オメガの純金製ダイバーズウォッチが欲しい人にとってはなおさらだろう。

 僕としては、この時計がでたらめに高いとも、デザイン重視で実用性に劣るとも思ってはいない。ついつい出してしまう僕の例え話や暗喩に飽きあきしている読者の方もいるかもしれないが、純金製ダイバーズウォッチというものは、タバコ、あるいは電子タバコを葉巻に変えるようなものだ。つまり、同じようで、全く違うということ。

 どの金属で作られていても、オメガ シーマスター 300が素晴らしい時計であることに変わりはなく、この3つの貴金属製モデルは、よりストイックで高性能なものを、心躍るエキサイティングな形で表現したものだといえる。1900年代半ばのシーマスター300のデザイン様式として有効であった、過ぎ去りし時代のゴールド崇拝の時計づくりだ。そして、最後になったが言わせてもらえば、それは金(またはプラチナ)というだけで他の説明はいらない。
 結局のところ、それ以外の全ては信用でしかないのだから。

シーマスター300の全ラインナップについてはオメガ公式サイトへ。