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Auctions フィリップスのレーシング・パルス オークションに関する不完全で完全に主観的な分析

眉をひそめた8つのロットについて、HODINKEEの創業者であるベンが、議論の両側を提示する。

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何年も前のこと―そう、本サイトでそれを見つけることすらできない何年も前―私は常々好きだった時計オークションについての分析を書いた。私がしたのは、いくつか興味深いロットを調べて、その時計がなぜその価格に見合う価値があるのか、賛否両論の議論を自分自身に課すことだった。というのも、フィリップスのレーシング・パルス オークションは、表向きはニューヨークを拠点としているものの、ロンドンからオークションを開催しており、ヴィンテージ時計愛好家にとっては、2020年の最も興味深い日となったのだ。物事は少しクレイジーになった。そして、それは高級時計、HODINKEE、パブリックオークションといった認知されたクレイジーな世界の中でもクレイジーなものだった。

 時計の面白さは、その不条理さにある。我々がいつも最初に言っているように、これはどれも意味が無いのだ。しかし、同時に、非常に限られたコンテキストの中では、多くのお金を費やすことは(それをする余裕がある場合)、非常に意味のあるものとなる。いくつかのセールスと、なぜそれらが意味をなすのか、そしてなぜそれらはそうではなかったのかを検証してみよう。なぜなら両方ともほぼ常に同じように真実であるためだ。


1. ロレックス Ref. 5517 ミルサブが56万7000ドル(約5899万円)で落札

このフルスペック5517は、フィリップスが販売した最初で唯一のものだ。

 なぜこれが理にかなっているのか: このサブマリーナーは、英国軍のオーダーによって製造された軍用時計で、常にコレクターからの高い人気を誇る。いくつかの理由からロレックスの最もクールなモデルの一つだ。これらは常に通常のマットダイヤルのサブマリーナーよりもかなり高額な値札が付けられてきた―そして、先日の土曜日に金額は一気に飛び跳ねた。
 このミルサブは、私が今まで見てきた中でも最も説得力のあるモデルの一つだ。それはもちろんフルスペックの時計であるということだが、それを超えて5517は固有なリファレンスであり、かなり珍しいバリエーションなのだ。最も古くよく見かけるのは、リファレンス5513で、次にラグとラグの間に5513、ラグの下に5517と刻印されているデュアルリファレンス5513/5517がある。そして最後に完全なリファレンス5517だ。私は気づかなかったのだが、フィリップスはこれまでに5517のフルモデルを販売したことがなかったため、それがこの価格を押し上げる要因になっていたのかもしれない。それ以上に、この時計は非常に完全な状態のケースをもち、とてもきれいだった。さらにこの時計の信ぴょう性をロンドンのRolex Bexleyのドキュメントが証明していた。ロレックスは何年も前にこれらのドキュメントの発行を停止したため、それらを含む個体にはしばしば、とてつもなく高いプレミアムが伴うものだ。しかし、これは極端なプレミアムなのだろうか?

 なぜこれが理にかなっていないのか: ミルサブは、素晴らしいものだ。私が自分のために購入した最初の大物時計だったのだが、欲しい個体が見つかったときには絶対に買うことができない金額だったため、分割払いで購入することにしたものだ。しかし、多くの点で、COMEXと並んでこれらの時計は、エントリークラスのメガロレックスの時計といえる。決して一般的なものではないが、超レアなものでもない。これは間違いなく素晴らしいものだったが、最近の質の高いミルサブの市場は、この価格の半分ほどだった。フィリップス自身、2018年に2本の5513ミルサブをそれぞれ17万5000ドルで販売した。そして、ちょうど1年前の2019年12月のセールでは、非常にクールなオリジナルオーナズキット付きのデュアルリファレンスの個体を21万8750ドルで販売した。5517にプレミアムを付けたとして、20万ドル半ばになる。この時計の価格を2倍にするだろうか? かなり強気な感じもする。しかし、我々が知っているように、それが必要なのは、地球上で2人の人物で、どちらも本当に時計オークションの世界をクレイジーにさせる何かを欲しがっている。私は、彼らがそうするのが間違っているとは言わないが、これは既に市場の変化の兆候などではなく、異常な結果として見られている。 

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2. スティーブ・マックイーンから贈られたホイヤー モナコが220万8000ドル(約2億2945万円)で落札

これは確実に6つあるマックイーンのモナコの中で最高のものだが、6つもあったということに私は言及していただろうか?

 なぜこれが理にかなっているのか: マックイーン、モナコ、ル・マン、みんなご存知のものだ。これは絶対に象徴的な時計であり、最高のものに匹敵するストーリーをもつキラーウォッチだ。またこの場合のモータースポーツとのつながりは、実にリアルで、車好きの人は夢中になってしまうだろう。また、この時計は6つある時計の中でも最も正直な時計のひとつでもある。そして、その所有者が全てのストーリーを間近で目撃していたという単純な事実は、非常に長い道のりを歩むことになった。その先にあったのが2020年であり、そしてフィリップスなのだ! 他の全てのマックイーンのモナコたちは、何年も前に販売され、ベンダーやマクロレベルの時計市場に同じような熱量はほとんど生まれなかった。私は2009年に、アンティコルムが8万ドルでモナコを1本販売したときにその部屋にいたが、そこにいた皆が非常識なことだと感じた。2012年には、別の個体が79万9500ドルで販売され、我々は非常識だと言った。今回のモナコは? もちろん時計に200万ドルを払うのは非常識だが、今回は全く驚きではなかった。ヴィンテージホイヤーの市場の再活性化に拍車をかけるのだろうか? それはまた別の話だ。

 なぜこれが理にかなっていないのか: マックイーン・モナコは6つある。6つだ。そのうちどれが本当に撮影に使われたのか、あるいはスティーブ・マックイーンが実際に身に着けていたのかは、定かではない。この時計はマックイーンから委託者に贈られたものであり、それについては疑いの余地がない。またしても6つの中で最も純粋な時計である可能性はあるだろう。それでもだ。時計自体の品質は素晴らしいものだが、これはヴィンテージホイヤーの結果としてはあまりにも異常だ。この時計は確かに時計愛好家ではなく、映画やクルマ愛好家によって購入されたに違いない。ニューマンのRef.6263については、後ほどご紹介するが、同じことは言えないのだ。

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3. パテック フィリップ 5170Pが10万7100ドル(約1114万円)で落札

5170Pはパテックのサイトから消えてしまった。

 なぜこれが理にかなっているのか: 私はこのリファレンスの大ファンだ(1本所有している)。このオークションよりも安い価格で正規店で購入した。私はこの記事のためにこの時計を選んだとき、パテック フィリップのサイトへのリンクを掲載し、まだ現行コレクションにラインナップされており、オークション結果よりも安い価格であることを示そうとした。しかし、5170Pは既にパテックのサイトには掲載されておらず、コレクションから外されてしまっていたのだ。したがって、実際には、この結果は理にかなっている可能性がある。世界で最も権威のある時計職人たちによるプラチナ製39mmで手巻きクロノグラフだ。市場の5711Rと同じ価格? ああそうとも、理にかなっている。

 なぜこれが理にかなっていないのか: 5170Pは、私の知る限りでは、世界中の正規ディーラーでまだ入手可能だ。つまり、この人がオークションで支払ったのと同じ価格で、あなたの名前が入った新品を手に入れることができ、パテックの正規ディーラーとの関係値を築くことができる。おそらくあなたが正規店で他の入手困難なものを提供してもらえるポジションに向けて働きかけることができたのだ。なぜこの人は、フィリップスを介してそれを購入することを選んだのか、私は確信がもてない。その後、再びなぜ誰かがオークションで現行のペプシGMTを購入するのだろうか? 誰もが推測しているところだろう。

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4. ポール・ニューマンのロレックス 6263 “ビッグレッド”が547万5000ドル(約5.7億円)で落札

ポール・ニューマン デイトナの3本目が出てくるのはいつになるのだろうか、そしてその価値は?

 なぜこれが理にかなっているのか: ああ、もう一つのポール・ニューマン デイトナ―世界中のカジュアルな時計好きたちを困惑させる時計だ。「待って、ビッグレッドはポール・ニューマンじゃないんじゃなかったっけ?」「いや、いや、君の言う通り。これは実際にポール・ニューマンが所有したデイトナだ。それがたまたまビッグレッドだったというわけ」「でもポール・ニューマン デイトナは数年前に10億ドルくらいで売れたと思ってたよ」「ああ、1800万ドルくらいだったね。でもこれは別物なんだ」「なるほどそうか。彼は2つデイトナを持っていたんだね」「うーんと、実際は、彼はもっと持っていたんだよ...」
 お分かりいただけただろう。これはニューマン自身が所有していた時計で娘のクレア氏に贈られたものだ。裏蓋には今となっては有名な「Drive Slowly Joanne」の文字が刻まれている。非常にクールで、時計自体の魅力と同様に出自も明白だ。ビッグレッドは初心者にも分かりやすいデイトナで、裏蓋の刻印がこの時計を絶対的なものにしている。これがなければ、この時計の人気はほとんどないのではないかと思う。だからメガ・ロレックスコレクター、おそらく6239PNを持っている人物にとっても、これは必需品なのだ。そして、オリジナルのポール・ニューマンを手に入れたばかりの人にとっては、これは素晴らしいトロフィピースになるだろう。

 なぜこれが理にかなっていないのか: このビッグレッド デイトナが500万ドル以上だ。ロレックスの時計に支払われた金額の中でも3番目に高い金額だ。考えてみて欲しい。もう一つのポール・ニューマン(6239)は、カテゴリーを定義する、いやカテゴリーを創造した時計だった。しかもその時計がなければ、HODINKEEと呼ばれるWebサイトが存在していたかも分からないし、それのおかげでこのサイトの創設者が気まぐれで熱狂的な意見をぶちまけることができたのだ。だから、その時計とその結果は、多くの人にとって完全に保証されたものだった。この時計、6263は、実際にはより長く、時にはより公の前で着用していたニューマン自身にとって、より意味のあるものだったのかもしれないが、何かを生み出した時計ではない。ただ純粋に彼の時計だったのだ。ニューマンはこれ以外にも少なくとも3つのデイトナを所有していたが、その全てがより現代的なものだった。単なる近接性が価値を左右するだろうか? 先述の他の時計が表面化したとき、我々はほぼ確実にそれを知ることになるだろう。

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5. シルベスター・スタローン氏のパネライが21万4200ドル(約2230万ドル)で落札

スタローン氏は1996年の映画『デイライト』でこの時計を着用し、ブランドの認知度を高めたと言われている。

 なぜこれが理にかなっているのか: このリストの中で唯一、私が予想していた以上の値段がついたのは、この時計だけだ。21万4200ドルはとてもシンプルなパネライにしては破格の金額なのだが、私にとっては、この時計こそがブランドを築いた時計なのだ。パネライの世界ではポール・ニューマンの「6239」に近いと言っても過言ではないだろう。1996年の映画『デイライト』でスタローン氏が着用していたことで、多くの意味でブランドがメインストリームにのしあがった。それ以来、パネライの時計に何百万ドルも費やされていること、そしてそれが続いていることを考えると、その多くはまさにこの時計に引き寄せられる。パネライの世界にとって重要であるという理由だけで、これがさらに高くなっていたとしても、ショックを受けなかっただろう。

 なぜこれが理にかなっていないのか: これは非常にシンプルなキャリバー(ETA 6497-1)を特徴とするシンプルな時計であり、たしかに "プレ・ヴァンドーム "の時計ではあるが、十分な時間とお金があれば同様の時計を手に入れることは可能だ。さらに、シルベスター・スタローン氏はハリウッドのアイコンであり、パネライのアイコンでもあるが、ポール・ニューマンのように大きな時計の世界を構築してはいない。ただ、まぁ一旦忘れて欲しい。こう思っている。この時計はもっと高値で売られるべきだったと。

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6. パテック フィリップ 3448が52万9200ドル(約5500万円)で落札

この時計は世界のどこにいても、イエローゴールド製3448の記録的な価格を打ち立てていたことは間違いない。

 なぜこれが理にかなっているのか: この時計を追い求めていた者として、これを書くのは苦痛だ。入札をしたが、どうやっても勝てそうにはなかった。残念だ。しかし、この時計は今回のセールの私にとってのハイライトだった。3448のファーストシリーズで、元の所有者からの証明書と未研磨のケースをもった個体だ。この3448は壮観で、適切な状態であれば、時計から神々しさを感じるほどである。私は数週間前に、信じられないほど良い状態のホワイトゴールド製の3448について執筆したが、それもまた記録的な価格を打ち立てた。我々が見ているのは、最高品質の時計が良い時計、あるいは素晴らしい時計よりもはるかに高いプライスを叩き出すということだ。この結果は、リファレンスの全体的な重要性、その美しいデザイン、およびこの特定の個体の状態を考えれば理にかなっている。それはまた、黄金時代のパテック フィリップであることもあり、大物が狙っている時計であるということは、確かにここでの結果に関与していたと思う。直接知っているわけではないが、Talking Watchesに登場した人物たちの中には、この時計を追い求めていた人たちがいたはずだ。そして彼らが関与しているとき、それはつまり何が起きても不思議ではないということだ。

 なぜこれが理にかなっていないのか: 勘弁してくれ。イエローゴールドの3448で50万ドル以上? この時計は市場でもオークションでも珍しい時計ではない。フィリップスは何本も販売したことがあるが、ほとんどのイエローゴールドの時計は20万ドル以上にはならなかった。1つ似た例はあった(2018年に30万ドルで販売された例だ)。彼らは近年、ほんのひと握りのホワイトゴールド3448をイエローゴールドよりもより安く販売してきた。あぁ、それとフィリップス自身が別の例、より後世代の時計を販売してきたが、文字通り2週間前にフルセットで半分以下の価格(〜27万6000ドル)で販売した。この時計は、品質と収集価値においてまさに嵐のようなものだった。そして私の推測では、この価格は、どんな金額になろうとも、単にベスト・オブ・ベストを所有しようとする2人のメガコレクターによって動かされていた。繰り返しになるが、特定のリファレンスの基準から大きくハズレている場合、標準偏差内の市場ほど影響を与えないことがよくある。これは、ミルサブのような市場の変化ではなく、私には異常値のように感じられる。それでも、これは信じられないような時計の信じられないような結果であり、私は落札者となった人に脱帽する。

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7. オメガ 英国海軍のために製造されたシーマスター 300が25万8300ドル(約2689万円)で落札

イギリス海軍向けのシーマスター300 プレ・デイト(日付なし)は、ミルサブと同じオークションに登場した。

 なぜこれが理にかなっているのか: イギリス海軍のために製造されたシーマスター 300はまさに見た目の通りだ。オメガもイギリス国防省と契約を結び、前述のロレックスRef.5517と同じ流れで時計を納入していた。全ての目盛りがついたベゼル、剣針、サークルT、そしてパリス管(はめ殺し式バネ棒)に気づくだろう。しかしこのシーマスターは1970年に製造されたものだ。つまり、これらはミルサブ以前のものなのである。私の目の前にデータはないが、市場ではシーマスター300よりも多くのミルサブが販売されているのを目にする。この個体の時計は良い例で、このような時計のための最高のものの一つだ。また、今回のセールではミルサブの半額で販売されており、比較的お買い得感がある。

 なぜこれが理にかなっていないのか: 私が「比較的お買い得」と言う時、先日土曜日のレーシング・パルス オークションの単純に驚くべき結果の文脈として言っている。シーマスター300が、25万ドル近くの価格で売られたという前例は全くない。繰り返しになるが、フィリップスは2週間前に非常によく似た状態の別の時計を文字通りの端数(〜8万9000ドル)で販売した。このセールでこのような高額な価格を正当化する唯一の理由は(これが起こるのを何度も見てきたが)誰かがその日の早い段階でミルサブのクレイジーな結果を見て、「OK、半額か、お得な気がするぞ!」と思ったということだ。オークションとは狂気であり、そうでなければ現実的で知的な人々の感情と衝動が大騒ぎになるだろう。この時計のエスティメートが3万ドルから6万ドルであったこと、それが25万ドル以上で落札されたことを覚えておこう。詳細なデータについては、これまでにフィリップスで販売された全ての軍用シーマスターについてはこちらをご覧いただきたい。12月12日(土)より前に9万ドルを超えたものがなかったことにお気づきになるだろう。私の見解は、これは完全にミルサブの結果に引きずられたものということだ。オーレル・バックス氏が壇上に上がり、一世代で最も奇妙な年の終わりにストレスを発散しようとする熱心で空腹なコレクターでいっぱいの部屋で、ブルーチップ(有料)オークションの魔法を再現することができると考えている、シーマスター300のオーナーたちには、最高の幸運を祈る。

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8. A.ランゲ&ゾーネ オデュッセウスが8万1900ドル(約852万円)で落札

公のオークションに登場した最初のオデュッセウスは、小売価格の倍以上の値段がついた。

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 なぜこれが理にかなっているのか: ちょっと聞いて欲しい。コレクション全体に占める割合としては、パテックよりも多くのA.ランゲ&ゾーネが小売価格以上で取引されている。我々は皆、ノーチラスとアクアノートの世界がどれほどクレイジーなのかを知っているが、他の全てについてはどうだろうか? パテックはモデルの幅が広く、スポーツウォッチと同じリセールバリューの恩恵を受けているモデルはほとんどない。その一方で、正規ディーラーから素晴らしいランゲ手に入れることは非常に困難を極める。ダトグラフ・ルーメンや最近発売された1815ラトラパントを見て欲しい。何人もの友人や同僚たちが、このモデルを手に入れたいと言ってきた(ヒント:私は誰のためにも何も手に入れることができていない)。先週登場したサクソニア・フラッハ ブラックゴールドストーンダイヤル? もう完売している。だからA.ランゲ&ゾーネの最初のスティールスポーツウォッチが大差でリストの上に行くことは驚きではない(リストでは2万8800ドル)。私の尊敬する数人の同僚たちがこの時計を最初に購入したのを見てきた(時計メディアQuill&Padのゲイリー・G氏、フランソワ・グザビエ・オーバーステーク氏はその一例)。そして、今回がオデュッセウスの最初のオークションでの出品だと思われる。そのため、これまでで最も身に着けやすいランゲに対し、それを手に入れようとしている人々の長いウェイティングリストがあることは理にかなっている。 しかも実機で見ると、とんでもなく素敵な時計なのだ(「A.ランゲ&ゾーネ オデュッセウスを1週間レビュー(動画解説付き)」参照)。

 なぜこれが理にかなっていないのか: 私は、上記のリストで現在生産されている時計に関しては、正規販売店以外からは絶対に買わないような人物の一人だ。オデュッセウスを手に入れるには数年かかると思うが、長年の顧客でなければ手にいられないということではない。そして私は正規ディーラーやブランドとの長期的な関係を信じている。また、ブランド自身が価格を公表し、それが時計の価値だと考えていることを伝えているのに、それ以上の金額を支払うことを内部的に正当化するのは難しいものだ。開発に大枚を費やしたランゲの人々が、310万円(税抜)の価値があるというのであれば、私はそれがその時計に支払うべき価値だと感じている。それ以上の価値はない(もちろん、お金を持っている人の中には、「今すぐ欲しいんだ」と言う人もいるだろうし、それも理解できる)。また、ランゲは、販売店との関係が非常に良好であり、この時計を販売した人物にはドイツの誰かから電話がかかってきてしまうのではないかと想像してしまう。ブランドは、手に入りにくい時計が、その時計を愛していない人の手に渡りってしまうのを好まないからだ。

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最終的な考え

 土曜日に開催されたレーシング・パルスのセールは、見ていてとても楽しかった。それは我々に多くのことを伝え、コミュニティとして考える機会を与えてくれる。いくつかの時計の価格は驚くべきものだった。それらは保証されているのだろうか? 買った人には、もちろん。それ以外の人には? それは問題ではない。あなたが知っているように #instagramversusreality (ハッシュタグ “インスタvs現実”)があるように、 #auctionversusreality (ハッシュタグ“オークションvs現実”)であるケースがしばしばある。公のオークションが教えてくれるのは、どんな時計であっても価値があるものではないということ。それは単に一人の人が、その日のその瞬間に、その時計のために、そのフォーマットでいくら支払うことを望んでいたかということ。だからこれらの結果や私の考えを鵜呑みにしないで欲しい。結局のところ、それは単に時計であるなのだから。