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Interview センセーショナルな存在がクラシックになる。ロイヤル オークに重ねたシェフとしての自分-「レストランKEI」オーナーシェフ 小林 圭

センセーショナルな存在がクラシックになる。ロイヤル オークが体現し、CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲが目指す様に触発され、自身もそんな存在になりたいと語る小林 圭シェフ。文字通り常に一緒に過ごす時計たちは、彼にとってどんな存在なのか?

※オーデマ ピゲ ロイヤル オークは、その製造工程により生産本数が大幅に増えるような性質のマスプロダクトではない。2022年も続く人気・需要の過熱ぶりにより、残念ながらブティックに問い合わせたからといってチャンスが巡ってくることはないと思われるが、その素晴らしい時計自体の魅力と50年間にわたる豊かな歴史や背景を知り(この記事がオススメだ「オーデマ ピゲ ロイヤル オークの起源について、あなたが知らない8つのこと」)、まずオーデマ ピゲ(AP)を知ることから始めよう。なお、時計の入荷状況は各国ごと、日本でも地域ごとに差があり、現時点で未定とのことだ。

 料理人に時計好きは多い。以前その理由を訊ねたところ、シンプルなコックコートで唯一自分らしさや気分を表現できるアイテムだからと聞いたことがある。さらに顧客に自分を印象づけたり、時には鼓舞したりするようなものだとも。

 小林圭さんは、フレンチの総本山であるフランス・パリの「レストランKEI」オーナーシェフであり、2020年の仏版ミシュランガイドで、アジア日本人初となる3つ星を獲得。その後も2020年から3年連続で3つ星を獲っている小林さんにとって、時計は“顧客に自分を印象づけたり、時には鼓舞したりするようなもの”以上の存在なのかもしれない。その腕に輝くのはオーデマ ピゲだ。熱狂的な時計愛好家である小林さんが、時計を意識したのは十代の修行時代だった。

 「当時のシェフがしていたロレックスのデイトナに憧れて。でも自動巻きっていう機構も知らなかったし、クロノグラフだって当然わかりませんでした。でも時間そのものには関心があり、その象徴である時計は気になりましたね」

 21歳で渡仏、そのときにはタグ・ホイヤーの機械式クロノグラフを手にしていた。だが時計からは次第に離れていった。それだけ彼の地での修業は厳しく、気持ちに余裕のない料理だけの日々だったと振り返る。ようやく生活も落ち着いた頃、世界三大ブランドと呼ばれる時計があることを知り、再び魅力にのめり込んでいく。

 「歴史や技術、それも複雑機構やマニュファクチュールなどその奥深さにハマッていきました。好きになったら徹底的に調べるんですよ。建築や空間デザイン、家具、クルマやファッションもそうです」

 その興味は、ライフスタイルにまつわるあらゆるジャンルに注がれる。まさに料理が生活全般を彩る根幹であるように。

 「もちろん調理道具も。包丁が大好きで、どんな鋼材がいいとか、自分に1番合ったオーダーメイドの包丁について考えているうちにどんどん増えてしまいました。でも結局3本か4本で、それ以上はほぼ使いません」

 時計もそうですよね、と笑う。

 「でもそれで自分のモチベーションが上がるんだったらいいかなって思います」

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 考えてみれば、レストランでは調理のプロセスを始め、提供するタイミングなど客は知る由もない厳格な時間コントロールがあるように思う。料理人にとって時間とはどういうものなのだろう?

 「その時間そのものを作ってくれるのは、じつはお客様なんですね。お客様がいるから時間というものが生まれ、動き出します。仕込みの準備から始まり、お客様が来店し席に着かれ、最高のタイミングで料理をサーブする。レストランにその時間をもたらしてくれるのがお客様であり、よく劇場の体験に似ているといわれるのもそのためでしょう。ブラボーとはけっして言わないけど、そこで頷くのか、笑顔が出るのか、あるいはスタッフと言葉を交わすのか。それによってその空間に本当に血が通う。それが時間だと思います」

 それだけ豊かな時間を与えてくれる感謝があるからこそ、店内ではお客様に最高の時間を味わっていただきたいという。それは逆説だが、時間そのものを忘れることでもある。

 「僕が時計の好きなところは、1秒毎に確実に進むことです。その1秒毎によい出会いを求めて、1秒毎に自分たちが進化することが重要だと思います。料理を始めてから今年で30年になるんですが、このあいだのどこを刻んでも、1週間欠けても自分の今はないと思います。時間は絶対ワープしません。とにかく今を大切に使って、いい時間を過ごしたいですね」

小林 圭:こばやし けい。1977年、長野県生まれ。パリのフランス料理店「レストランKEI」オーナーシェフ。2020年、フランス版ミシュランガイドでアジア人として初の3つ星を獲り、2021年、2022年も連続して獲得。今年からオーデマ ピゲのグローバルでのアンバサダーに就任。

 2020年1月、小林さんは日本人としてだけでなく、アジア人としても初の栄光に輝いた。これを機に、オーナーを務める「レストランKEI」をさらに盛り上げようとした矢先、パンデミックが襲った。一転して店は閉鎖へ。しかしこの逆境において、時の針を止めることなく、むしろ前へ進ませたのである。

 レストランを全面改装し、再開へのさらなる地盤を固めた。多大な資金を調達し、オーナーとして責任を背負う。そのプレッシャーは、格付けの星へのチャレンジ以上に大きいはずだ。それでも小林さんはオーナーシェフの道を選んだのだ。

 「オーナーシェフにそんな興味はなかったんですが、よかったって思えるのは、どんな大企業の社長にも全然引けを取らず、対等でいられるということです。もし僕が雇われシェフで相手にへつらったら、スタッフにも同じことをさせているのと一緒になってしまう。それは絶対にやっちゃいけない。どんな立場でもプロとして他の人と同じ目線に立つことを教えたいと思います」

 「アガリ時計ってないじゃないですか」と小林さん。

 「それと同じように、自分の料理ももっと満足のいく一流になりたいんですよね。だから毎日やっているんです」とさらりと言うのだった。

 所有するオーデマ ピゲのコレクションのなかでも今回来日に帯同したのは、最近手にすることの多い3本だ。そのうちの1本がロイヤル オーク“ジャンボ”エクストラ シンの50周年記念。PGケースとブレスレットが周年を華やかに祝す。

 「時計界においてセンセーショナルな存在から始まってクラシックになったという、ロイヤル オークのストーリーが好きなんです。1972年に生まれてから、みんなに支えられて50歳を迎えた。自分もそういう料理やレストランを作りたい。そんな思いがあって欲しくなりました」

 感動したのはそれだけでない。実用機能が確実に向上していることだ。

 「40周年記念のエクストラ シンも持っているんですけど、初代と同じCal.2121を搭載しているから、カレンダー機構は時針を回し続けなければ日送りできないんです。リューズは小さいし、角が立っているから指先も痛くなるし。それが早送りできるようになった。いまでは普通のことですけど。あとはパワーリザーブも約40時間から約55時間に伸び、週末の2日間もまたげるようになりました。これは重要です」

 熟成とも言える進化を実感することで、さらに愛着が深まる。

オーデマ ピゲ ロイヤル オーク “ジャンボ”エクストラ シン Ref.16202OR.OO.1240OR.01 880万円(税込)

オリジナルのデザイン・コードを生かしながら、PGケースとスモークグレーのプチタペストリー文字盤が組み合わされた。39mm径のケースは8.1mm厚。50m防水。 

 厨房でももっともつける機会が多いというのが、ロイヤル オーク ダブル バランスホイール オープンワークだ。ふたつのテンプを積層したユニークな機構を採用し、ブラックセラミックのケースで包む。


「料理はいつでもクリエイションであり、僕自身もクリエイターでありたいと思っています。それが味わう人の心の薬になればいいなと願って。でもそれを生み出す腕の時計が傷だらけだったらマズい。その点これなら傷つきにくく、衛生的にも全然問題ありません。それに白いシェフジャケットにも目立たず、ドレッシーなフォーマルスタイルを感じさせるのも気に入ってます。控えめでも時計好きにはひと目でそれとわかり、話のきっかけになることも」


 ダブル バランスホイールは、仕事に対する気持ちのあり方とも通じ合うそうだ。


「一般的なふたつのテンプは、横に並べて精度を上げていくじゃないですか。でもこれは重ねています。考えてみるとレストランもこれに似ていて、光はシェフに当たりやすいけれども、それ以上にたくさんの人達がいて、たとえ見えなくてもみんなが一体となって仕事をするからこそ調和した空間が生まれるわけです」


 先進のケース素材と共振という独創的な技術を備えたロイヤル
オークは、まさにその腕に似合う。

オーデマ ピゲ ロイヤル オーク ダブル バランスホイール オープンワーク Ref.15416CE.OO.1225CE.01 価格 要問い合わせ 垂直にテンプを重ねた独自のダブル バランスホイールと、それを支えるスケルトンブリッジが唯一無二。同社が得意とするオープンワークに加え、究極の仕上げが味わえるセラミックケースの質感は特筆。41mm径、9.7mm厚。50m防水。

 最後に挙げたのは、CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ オートマティックだ。

 「デビューのときは衝撃を受けましたが、これがどこまでクラシックな存在になれるかという興味と期待がありますね。それは、今の自分がどこまでクラシックになれるかというのにも似ているように感じます。しかも登場した時期も、自分が三つ星を取ってそこからやっと自分の世界観を定め、スタートラインに立てた頃にほぼ重なるんです」

 そんな親近感もあって、日常生活でも愛用している。

 「共存というか、挑戦であり、競争ですね。実際に使ってみると、本当によくできています。これだけの作り込みやムーブメントの内容にしても、ロイヤル オークに次ぐアイコンを作るという意気込みを感じますし、人気のある理由がわかります。まだ生まれてから3年程度なのに、すでに独自のポジションを作ったし、もう僕は完全に負けてます(笑)」

 さり気ないスタイルは、治安の悪い街中でつけていても不安感はなく、30m防水に加えてラバーストラップなので多少の水に濡れても気にすることはない。「仕事中、水周りでもガチガチやっちゃいます」と信頼を寄せる。

CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ オートマティック Ref.15210BC.OO.A500KB.01 407万円(税込) 八角形のミドルケースと肉抜きされたラグが特徴的な、ブランドの新たなアイコン。サンバースト仕上げが施されたバーガンディカラーは、開発陣の女性がつけていたネイルカラーからインスパイアされたもの。18KWGケース 41mm径、10.7mm厚。30m防水。

オーデマ ピゲの最新情報については公式サイトへ。

2021年1月に老舗和菓子店「とらや」とのコラボレーションで、御殿場に誕生したレストラン「Maison KEI」について詳細はこちら