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Introducing セイコー プロスペックス ダイバースキューバ 植村直己生誕80周年記念限定モデル SBDX045 & 1970 メカニカルダイバーズ 現代デザイン SBDX047 2021年新作(編集部撮り下ろし)

「岩の上で、私はとても幸せを感じています」 –  植村直己

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クイック解説

 ついに、セイコーは、近代日本の偉大なる冒険家の一人である植村直己のレガシーを称える時計を作り上げた。

 今日に至るまで、植村氏の失踪は謎に包まれたままである。彼との最後のコンタクトとなったのは1984年2月13日のことだった。彼はデナリ(北米大陸の最高峰)に登頂したばかりで、下山の最初の段階におり、観測用飛行機に乗った2人の日本人カメラマンが無線で彼と交信していた。

 そして、それが彼からの最後の連絡となった。

 植村氏は信じられないほどのレガシーを残している。彼はアマゾン川を単独で下り、単独で北極に到達し、そして今までに一度だけデナリへの単独登頂を成功させた。また、彼はエベレスト登頂に成功した最初の日本人チームの一人でもあった。

 彼が選んだ時計とは何だったのか? 答えはセイコーだ。もっとはっきり言えば、Ref.6105だった。彼は1976年にグリーンランドからアラスカまでの1万2000kmに及ぶ単独犬ぞり紀行で6105を着用し、コレクターたちは彼が78年の北極探検でもこの時計を着用していたと推測している。ニューヨーク・タイムズ紙は、植村が直面した挑戦を年代記として紹介している:

 旅を始めてから3日後の3月6日、植村氏が寝ていたテントにホッキョクグマが侵入してテントを破壊し、補給品のドッグフードのほとんどを食べてしまった。翌朝、ホッキョクグマが戻ってきたとき、彼は犬の吠え声で目を覚まし、クマを75ヤード(約70m)の距離で射殺。その後、犬たちはその死骸を食べ、新しいテントとドッグフードが上村氏のもとに空中投下された。

植村氏は厳しい冬で知られる兵庫県の但馬地方で育ったため、彼は寒さに慣れていた。画像はウィキペディアから。

 植村氏の極地探検の間、彼の進行状況、あるいは荒天の日には進行状況の欠如がなかったかどうか、108分ごとに極地上空を通過する気象衛星「ニンバス」によって追跡された。ソリに取り付けられた無線送信機からの信号は衛星によって受信、マサチューセッツ州グリーンベルトのゴダード宇宙飛行センターに中継され、そこで植村氏の位置が1日に数回ピンポイントで特定された。

 植村氏の名誉を称えて、セイコーは今、植村氏が着用していたブルーのベゼルとテクスチャードソフトブルーのダイヤルをもつ時計を現代的に再解釈した限定版のSBDX045と、テクスチャードグレーダイヤルとブラックベゼルをもつレギュラーモデルを作り上げた。それがSBDX047だ。どちらも東日本にあるセイコーの雫石時計工房で生産された8L35ムーブメントを搭載。また、ケースにはセイコーの“ダイヤシールド”が施されている。

ファースト・インプレッション

 植村氏と6105のレガシーは、映画『地獄の黙示録(Apocalypse Now)』に時計が登場したことが大きく影を落としていると私は長い間考えていたが、映画で俳優のマーティン・シーンの手首に着けたプロップマスターのおかげで、6105は“ウィラード(Willard)”というニックネームが付けられた。以前にも、このニックネームが使われたことがあることを「セイコー SBDC109、SBDC111 “キャプテン・ウィラード” プロスペックス ダイバースキューバ 1970」の紹介記事の中で書いた。非常に欧米的な視点で、セイコーが自分たちの歴史に寄り添い、植村氏のことを広めてくれることをずっと待っていた。この時計が発売される前は、多くの人が、6105を植村直己よりも“キャプテン・ウィラード”と関連付けていたのではないかと思う。一人は象徴的な映画の架空の人物であり、もう一人は実在の20世紀の冒険家であり、その業績は驚くべきものにほかならない。

 セイコーが植村氏の歴史を紹介しているのをこれまでに2回見たことがある。最初はバーゼルワールド2019で、当時の新しいSBDX031と植村氏を関連付ける小さなプラカードが掲げられていた。私は植村氏とのつながりが発表会全体の焦点になっていないのはおかしいと考えていた。だが、SBDX045とSBDX047が発表されたことで、その理由が分かった。2回めにセイコーが植村氏とのつながりを紹介したのは、昨年、銀座のセイコー プロスペックス ブティックで小さく植村氏の遺品を展示したときだった。

 セイコーが植村氏のレガシーをこのように公に、そして適切な方法で受け入れているのを見ること、そして植村氏が今年80歳になったことは、とても刺激的なことだ。

 セイコーの6105は、ここ数年、この時計をイメージして作られた現代的なモデルを数多く生み出してきた。何が植村トリビュートウォッチの違いを理解するために、他の時計について簡単に見てみたい。

6105-8110

 オリジナルは6105-8110だ。これが植村氏が数々の遠征で着用していたモデルである。映画『地獄の黙示録』の役柄から、別名“ウィラード”としても知られている。また、Talking Watchesで語られているように、デビッド・ウィリアムズ博士と一緒に宇宙に行ったことも特筆すべきだろう。サイズは44mm径、厚さは12.5mm。搭載しているのはCal.6105Bだ。

SBDX031

 オリジナルの6105を正確に再現することを意図したものではないが、SBDX031はそれに非常に近いものとなっている。8L35ムーブメントやザラツ研磨のベゼルなど、現代的で最高級の要素を取り入れている。サイズはオリジナルの44mmから45mmに拡大。“ワッフルストラップ”を採用し、価格は45万円(税抜)。発売後すぐに完売した。

SBDC109 & SBDC111

 上の画像はSBDC111だが、SBDC109はブラックのダイヤルとベゼルが特徴の同じ時計である。この時計が発表されたとき、SBDX031はある市場に対応し、SBDC109/SBDC111はそれとは別の市場に向けられているとと紹介記事の中で書いた。SBDC109とSBDC111の価格は全て税抜で、それぞれ14万円と12万円だ。ブレスレットはSBDC109の追加費用として反映されている。この時計は、針、インデックス、および“ストップライト”秒針の形状をわずかに変更されていることから、6105のデザイン言語から逸脱している。また、この時計は主力の6R35キャリバーを使用している。


新しいSBDX045 & SBDX047

 SBDX045とSBDX047は、デザイン的にはSBDX031とSBDC109、そしてSBDC111の間のどこかに位置している。ケースは44mmだが、SBDX031に近い形状だ。針や“ストップライト”秒針はSBDC109やSBDC111と似ているが、ダイヤルのインデックスは全くテーパーがかかっていない。そして、もちろん、デイトウィンドウが4時半の位置に移動していることに気づいたかもしれない。セイコーは、この変更を暗闇での視認性を最大化するためだと言っている。8L35は、SBDX031に代表されるように、伝統的に3時位置に日付が表示されていたが、今回の変更で、4時30分位置に日付が表示されるようになった。HODINKEEのオフィス周辺では、ISO規格の更新に伴い、全12ポジションでの夜光インデックスが求められるようになったため、日付を移動したという説がある。

 近年のセイコーによく見られるように、本機にも自然界との結びつきがある。1200本限定のSBDX045は、スレートブルーのダイヤルに岩山の肌のようなテクスチャを施し、ベゼルのカラーリングは、植村氏が地球の大気圏上層で多くの時間を過ごし、空がこのようなブルーの色合いであったことを示唆している。標準モデル(SBDX047)もこのテーマ性から完全に離れたわけではなく、ダイヤルには岩山のような質感が与えられている。

 付属するブレスレットは、スティール製の5列デザインのモダンなものだが、カラーとマッチしたシリコン製の“トレイントラック”ストラップも付属する。44mmのケースサイドはポリッシュ仕上げ、ケースのフロント部分はサーキュラーサテン仕上げだ。

 この植村ウォッチのテーマ別デザイン要素は、多くの場合、極めて限られたセイコーのコレクターや愛好家にアピールする可能性が高いが、探検や冒険に関して、セイコーが自身の本物の歴史を広く入れていることに興奮している。多くの時計メーカーは自ら歴史を作らなければならないが、セイコーは、極めて多くの歴史があるものの、そのことを控えめに語りがちである。もう少し身を乗り出してみてはどうだろう? 願わくば、セイコーの歴史の中で重要な人物をさらに称えるために、ウエムラウォッチが新たな意欲を示していると良いのだが。おそらく、次はポーグ大佐だろうか?

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基本情報

ブランド: セイコー プロスペックス(Seiko Prospex)
モデル名: ダイバースキューバ 植村直己生誕80周年記念限定モデル & 1970 メカニカルダイバーズ 現代デザイン(The Naomi Uemura 80th Anniversary Limited Edition and the 1970s Diver's Modern Re-Interpretation)
型番: SBDX045 & SBDX047

直径: 44mm
厚さ: 13mm
ケース素材: ステンレススティール(ダイヤシールド加工)
文字盤色: ブルー(SBDX045) & グレー(SBDX047)
インデックス: 12個全てルミブライト
夜光: セイコー ルミブライト
防水性能: 200m(空気潜水仕様)
ストラップ/ブレスレット: ステンレススティール(ダイヤシールド)ブレスレット、付け替え用の強化シリコンストラップが付属(SBDX045のみ)

ケースバックには“Naomi Uemura 80th Anniversary Limited Edition”と共に、リミテッドエディションナンバーが刻印される(SBDX045のみ)。


ムーブメント情報

キャリバー: 8L35
機能: 時・分表示、センターセコンド、4時半位置にデイト表示
パワーリザーブ: 50時間
巻き上げ方式: 自動巻き
振動数: 2万8800振動/時
石数: 26


価格・発売時期

価格: 32万円(SBDX045)、30万円(SBDX047) 全て税抜
販売時期: 2021年7月9日(金)発売予定
限定: SBDX045は世界限定1200本、SBDX047は限定ではないレギュラーモデル

詳細は、セイコー プロスペックス 1970 メカニカルダイバーズ 現代デザイン 特設ページをクリック。