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Culture Of Time 90年代を代表する時計広告の数々

紙媒体最後の大時代、腕時計の広告は輝いていた。

90年代ウィークへようこそ。この特集ではその10年間で最も魅力的な(そして最も過小評価されている)時計と、20世紀末を特徴付けたトレンドとイノベーションを再考していく。ダイヤルアップ接続を行い、クリスタルペプシ(無色透明のコーラ)を手に取って欲しい。

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時計の印刷広告と言うと、それを研究し、保存し、販売することを仕事にしている人物がいる。ニコラス・フェデロビッチ(Nicholas Federowicz)という人物で、コレクタブルな時計のヴィンテージ広告を額装して販売するニッチなビジネス、アド・パティーナ(Ad Patina)を経営している。90年代の広告を見るなら(私が夢中になっていること)、ニックに聞けばいいと思った。

 90年代は、印刷メディアにとって最後の偉大な時代だった。今日、印刷広告はデジタル広告に取って代わられたが、それはそれでいい。しかし90年代の広告には、ブランドが何をしていたかだけでなく、時計を買う人たちが何を考えていたかを教えてくれる、素晴らしいものがたくさん残っているのだ。

 今回は、当時の時計界の時代性を捉えた広告を5つ選んでみた。メーカーが推奨する価格で、実際に時計を買うことができた時代だ。90年代は時計のデザインにとって忘れられた10年だったと言われるが、私はその言葉を否定する。これらの広告を見ればいい。時計と時計を身につけるライフスタイルを素晴らしく見せてくれる。それこそが彼らの役割でもあるのだ。

ロレックス「チャック・イェーガー」、1995年
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 これは、私が時計に夢中になるきっかけとなった時計の広告だ。私の初恋はずっと飛行機だったが、私のヒーローであるチャック・イェーガー(Chuck Yeager)氏がGMTマスターをつけているのを見た瞬間、これこそ私が欲しい時計だと思った。フェデロビッチ氏は何千ものロレックスの広告を見てきたが、特に「1990年代の広告にはアーティスト、冒険家、アスリート、そのほかの優れた人物が登場する」ことを高く評価している。「おそらく、プロフェッショナルや伝説的な人物の証言をこれほどうまく使って、人々をブランドの虜にしたブランドはないでしょう」

 しかし、それは常にこのブランドの得意とするところだった。ブレンダン・カニンガム(Brendan Cunningham)博士は、著書『Selling the Crown: The Secret History of Marketing Rolex』で、ロレックスと広告会社JWTが、第二次大戦直後、英国の情報機関から優秀な人材を集め、ブランドの広告活動に参加させたことを詳しく述べている。彼らが考え出した秘密戦略は、どんなものであれ、うまくいっている。ロレックスは、フォーブス誌の「世界で最も価値あるブランド」のひとつに常に挙げられている。

オメガ「ゴールデンアイ」、1994年
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 私はこの時計が好きだ。この時計は、私が時計に熱中していた初期の頃を決定づけるものであり、その時期とは実際にこの時計を所有するまでのことだった。先日のThree On Threeで、なぜこの時計が90年代の時計の王者なのかを説明したが、この広告がそれを裏付けている。ピアーズ・ブロスナン(Pierce Brosnan)のボンドは上手に年を取っていないかもしれないが、私にとっては彼こそがジェームズ・ボンドなのだ。N64で何時間も『007/ゴールデンアイ』をプレイしたおかげで、私はこの時計とブロスナンのボンドの、何とも言えない洗練が大好きになった。

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ランゲとヴェンペのパートナーシップ、1997年
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 90年代に生まれ変わったランゲが、その後どれほどのリスペクト影響力を獲得してきたかは否定できない。私は幼少期にランゲの広告を見た記憶がないが、フェデロビッチ氏によれば「1996年にさかのぼる最古のランゲ広告は、ブランドの最初の正規販売店であった小売店であるヴェンペ(Wempe)とチェリーニ(Cellini)が出したもののようです。これらの初期の広告は、ランゲ1などのクラシックなランゲを紹介するだけでなく、ブランドのストーリーも伝えているのです」。 90年代、ランゲは実験的な存在であり、それはやがて実を結ぶことになる。ヴェンペやチェリーニなど、ランゲを扱っていた小売店は、コレクターがこのブランドに目を向けるきっかけとなったメディアでもあるのだ。

パネライとイタリアのフロッグマン、1998年
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 90年代の時計文化は、パネライの影響力抜きには語れない。90年代、パネライは「時計好き」にも「時計に興味がある」人にも絶大な人気を誇っていた。シルベスター・スタローンが『デイライト』(Daylight)で着用し、1996年のアクション映画『イレイザー』(Eraser)ではアーノルド・シュワルツェネッガーが着用するなど、銀幕での存在感がその多くを占めている。この広告のコピーは、「かつての軍事機密。ついに選ばれし者だけが手に入れることができる」。これは、パネライと昔のイタリアのフロッグマン(潜水工作隊員)とのつながりを表しており、このブランドは今日までその伝統的領域にかなり注力しているのだ。

パテック フィリップ「あなたは決して本当にパテック フィリップを所有することはありません」、1999年
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 フェデロビッチ氏は「パテックのジェネレーションズ・キャンペーンは、どの時計ブランドでも行われている最も有名なマーケティングと言えるかもしれませんね。1996年頃に始まり現在も続いています」と語る。まさにその通りだ。メッセージはこのブランドに完璧にぴったりで、だからこそキャンペーンはこれほど長く続いているのだ。金融資産のひとつであり、家宝のような価値ある時計であることをさりげなくアピールしている。これこそ、優れた広告の魔法だ。たった一文で、必要なことがすべてわかるのだから。スティーブン・プルビレント(Stevey P.)は、数年前、この広告がどのように生まれたかの背景を取材しており、読む価値があるのは間違いない