私は最近、ゼニスの最新作であるルパン三世コレクションの3作目となる時計を見たあと、インターネット上の最大かつオープンな情報源であるウィキペディアを見るべきだと感じた。ファイナルエディションと呼ばれるこのモデルは、非常に魅力的だ。クラシックなエル・プリメロA384スタイルのケースに、ヴィンテージ感のある梯子状のラダーブレスレット、そして斜めに分割されたバイカラー(2色)のダイヤルが印象的だる(もっとも、ダイヤルには2色以上使われているが、意図は汲み取っていただけるだろう)。
さて、何から解説しよう? 申し訳ないことに、私は“ルパン三世”(ウィキでは「ルパンⅢ世」となっていた)を知らなかった。ルパン三世は、日本の人気漫画であり、アニメ番組であり、映画シリーズであり、 .... 腕時計であることがわかった。1967年に出版されたこの作品は、20世紀初頭のフランスの連続テレビ小説の主人公である大泥棒、アルセーヌ・ルパンの孫、アルセーヌ・ルパン3世の活躍を描いている。
ウィキペディアよ、貴重な情報に感謝する。
ゼニスはこれまでに、主人公であるルパンの孫にインスパイアされた3本の時計を製作した(正確には相棒の次元大介のもの)。本作は、文字通り最初の2本を掛け合わせたような最新作であり、細かく見てみようと思う。私はすっかりゼニスの復刻ケースデザインの虜になってしまった。37mmのトノーケースは、腕にしっくりくる。過去にはリバイバルシャドーとリバイバルリバティの両方を手にしたことがあるが、それぞれに魅力を感じた。
ルパン三世シリーズは、リバイバル A384のモチーフをよりヴィンテージ感溢れた時計に仕上がっていて、ダイヤルにはギルトアクセントのフェイクパティーナ加工が施されている。シャドーやリバティとは異なり、このモデルにはゼニスの有名なラダーブレスレットが装着されており、これもまたヴィンテージ感を演出している。
この時計のプレス画像を見て、どうしても実物を見たいと思った。250本限定モデルで、完売後には忘れ去られてしまうだろうこの時計を読者の皆さんにもとくとご覧いただきたいと思ったのだ。
最新にして完結編のゼニス ルパンシリーズの新作は、とにかく遊び心に溢れている。日本の漫画が原作で、トランスパレントケースバックには登場人物のイラストが描かれ、ダイヤルデザインも非常に奇抜だ。さらに言えば、この時計には、裏話がある。これを聞いて初めて時計に興味を持つ人もいるかもしれない。
カシア・ミルトンの腕に巻かれたゼニス クロノマスター リバイバル ルパン三世 ファイナルエディション。
デザイン面の見地では、この時計がすべてを物語っていると思う。ゼニスを知っている人なら、ダイヤルと裏蓋の議論しかしないだろう。前者については、言うまでもなく非常に魅力的だ。このモデルは2本の時計をミックスしたような、ふたつのダイヤルを備えている。片方(上半分)はブラックで、グレー基調のサブダイヤルがある。基本的にすべてのテキストがダイヤル上のこの部分にあり、金色の文字でプリントされる。また、ミニッツトラックも同様だ。インナーベゼル(見方によってはアウターダイヤル)は、サブダイヤルと同様のグレートーンで仕上げられている。
下半分(正直、対角線上に上下が存在するかどうかは自信がないが)は、オフホワイトで仕上げられている。プリントされたトラック部分は、ブラックダイヤル側の金色とは対照的なブラックで統一。面白いのは、インナーベゼルの数字がホワイトダイヤル側は白地に黒文字、ブラックダイヤル側はグレー地に黒文字でプリントされていることだ。こうやって書いてみると、バイカラーの時計について言葉で説明するのは難しい。
印象的なのは、ホワイトダイヤル側の4時半位置に配されたデイト表示が非常に強調されている点だ。むしろ、個人的には色を反転させた方がよかったと思う。そうすれば、デイト表示を隠すことができ、ダイヤルをシンメトリーに保つことができたからだ。とはいえ、4時半位置のデイト表示はゼニスのヴィンテージデザインの特徴でもあるので、それを強調したかったのかもしれないが。
針とマーカーは、ロジウムメッキまたはゴールドメッキにベージュのスーパールミノバが塗布されている。ダイヤル全体は実に素晴らしい仕上がりだ。2面のダイヤルを接着剤でくっつけただけの安直なものでは決してない。ゼニスによると:
“まずダイヤル全体を右半分と同じ銀白色に仕上げ、次に黒のクロノグラフ用サブダイヤルを削り、残りの部分を無色透明のラッカーで保護します。ダイヤルの残り半分はブラックに塗装しなければならないので、銀白色部分には保護層を施します。保護層が正しく塗布されていないと、色が滲み出てダイヤルが台無しになってしまうからです。さらに、サブダイヤルには第3の色となるグレーを塗布するという難関も待ち構えています”
これを250本も作るのは大変なことだ。しかも、チタン製のケースとブレスレットである。センターリンクがないことを考えると、当然ながらこの時計は極めて軽い。あまり知られていないが、私が特に感心したのは、クラスプにもこだわりが見られることだ。ダブルロック機構を備えたクラスプは、まるでヴィンテージウォッチからそのまま取り外してきたような印象で、フライス加工ではなく打ち抜き加工が採用される。これにより、全体的な軽さに加え、魅力を増している。
ケースの内部には、ゼニスのエル・プリメロ400自動巻きクロノグラフムーブメントが収められている。私は通常、金属ケースバックの方が好きなのだが、ゼニスの場合は例外で、ルパンに登場するキャラクター次元がプリントされたイラストによってムーブメントが見えにくくなっている。プリントの入ったサファイア製のトランパレントケースバックは、シースルーがゆえにプリントが入ると少し気が散ってしまうものだが、これはいいアクセントになっていると感じた。
ルパン三世ファイナルエディションは、そのルックスに引かれ、原作のコミックにも興味を持った。私がこの時計を所有する望みはかなり薄いが、漫画を愛する250人が羨ましい。これは間違いなくいい時計だからだ。さて、そろそろウィキペディアから離れて、アルセーヌ・ルパン三世の物語に没頭するとしよう。
ゼニス クロノマスター リバイバル A384 ルパン三世 ファイナルエディション Ref. 95.L384.400/50.M384。37mmチタン製ケース。5Hzのゼニス エル・プリメロCal.400自動巻きクロノグラフムーブメントを搭載。時、分、スモールセコンド、12時間積算計クロノグラフ、デイト表示。チタン製ラダーブレスレット、ダブルフォールディングクラスプ。価格:116万6000円(税込)
その他、詳細はゼニス公式サイトへ。
photos,カシア・ミルトン
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