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In-Depth ロレックス デイトナの系譜をヴィンテージウォッチマニアが徹底解剖 Part.3/3

この3部編の最後を飾るのは、今現在購入できるデイトナの徹底解剖である。

本記事は2012年8月に執筆された本国版の翻訳です

今回を持ってポール・ブトロスは、ロレックス デイトナの徹底的な(いや、壮大な!)考察を終える。Part.1では、この歴史的なクロノグラフが、ポンプ式プッシャー、防水性のないケース、バルジュー社ベースのムーブメントから始まったことを紹介した。さらに、ゼニス エル・プリメロを大幅に改良した、最初の自動巻きデイトナについて説明した。Part.2では、ロレックスの自社製Cal.4130が、ゼニスの自動巻きデイトナよりも所有すべき時計である理由を紹介し、最後に今回、現代のロレックス デイトナ Ref.116520を、つけ心地、操作性、魅力などを考慮し、時計全体としてじっくりとレビューしてくれている。近い将来、どのブランドであれクロノグラフを購入しようと考えている読者は必読だ。

いよいよデイトナを装着する
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 1週間、Ref.116520 ロレックス デイトナを身につける楽しみを得た。2000年以降に製造されたモダンロレックスを長時間着用するのは初めてだったため、大きすぎたり、重すぎたり、派手すぎたりしないか、少し心配だった。

 私が腕時計を楽しむ上で重要だと考えているのが、つけ心地だ。デイトナの大きさや重さについて、最初に抱いていた不安はすぐに解消された。急なカーブを描き長いラグを持つケースは、グローブのように腕にフィットする。同様に、オイスターブレスレットも、張りがありながらしなやかなスティール無垢リンクを持ち、同様に快適だった。私が慣れ親しんだロレックスのヴィンテージブレスレットに比べ、クラフトマンシップ、機能性、品質が大きく向上しており、本当に感心させられた。革新的な “オイスターロック”クラスプのロックと解除のプロセスはとても楽しく、その正確でスムーズな操作を体験するために、毎日何度も時計をつけたり外したりしている自分に気がついた。それほどまでに、このブレスレットはよくできている。

 携帯精度は、7日間を通して非常に優れていた。日差+1〜+3秒の精度を実現したのだ。最も印象的だったのは、この精度が、クロノグラフの起動、停止、リセットを1日中頻繁に操作しても達成されたことだ。工場出荷時の新品であることも、この性能の要因のひとつであることは間違いない。しかしその最大の理由は、この時計における計時の心臓部となる高品質な脱進機である。ロレックスはこの脱進機を、大型のテンプとロレックス製の最新式パラクロム製ヒゲゼンマイによって、最高の精度を実現するように設計しているのだ。期待に違わず、クロノグラフを作動させたとき、どの時計の針もブレがまったく見られないのは、垂直クラッチの恩恵である。実に素晴らしい。

 クロノグラフの操作感については、各プッシャーを操作したときの触感が鮮明で確実、かつ適度な緊張感があった。よくできた機械であることがすぐにわかるだろう。より価格の高いクロノグラフと比較しても、そのフィードバックは遜色ないほどだ。ただ、ひとつだけ気になる点がある。ねじ込み式プッシャーは、かなり不便だ。見た目は美しい(ねじ込んでさえいれば)が、使用する前にいちいちねじを外さなければならないのが面倒でならない。水中で使用しないのであれば、ねじ込まないままでもいいのだが、それだと少なくとも私の目には魅力的に映らない。もしかしたら、ねじ込み式プッシャーの廃止は、デイトナの次の進化系になるかもしれない? そうであってほしいものだ。

 光沢のあるブラックダイヤルと、対照的なシルバーリングが施されたメタリックなインダイヤル、そして徹底的にポリッシュされたラグ、ベゼル、ブレスレットのセンターリンクが、この時計を非常に目立たせている。さらに輝きを加えるのが、反射率の高いフラットなサファイアクリスタル風防だが、ロレックスがかつて使用していたアクリル風防のようにドーム型であればよかったと感じた。

 また、各インダイヤルを囲む幅広のメタリックリングが安っぽさを与えており、ダイヤルのなかで最も魅力に欠けたデザインだと個人的に感じた。ヴィンテージの手巻きデイトナと比較すると、Ref.116520の美学は、より厳格で控えめなRef.6263よりも、ステータスシンボル寄りとなっている。しかし、全体的に派手さは控えめで、私のようなヴィンテージウォッチファンにも魅力的な時計だった。

 では、このモダンデイトナを購入するかというと……、7日間ともに過ごした2日目には、もう決まっていた。フォルタネに購入の申し入れをした。彼らの返事は予想どおりだった。“申し訳ありませんが、キャンセル待ちです”、 “値引きはできません”。

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長所

+ 卓越したムーブメント。業界最高の自動巻きクロノグラフのひとつであること。

+ 素晴らしい、高品質なブレスレットとクラスプ

+ 高精度。クロノグラフの作動に影響されない

+ クロノグラフを作動させた状態でも高いパワーリザーブ

短所

− プッシュボタンがねじ込み式で、クロノグラフ機能へのアクセスが制限される

− インダイヤル内のメタリックなリングは、安っぽく見える

− サファイヤクリスタル風防がフラットで盛り上がっている

 以上、3回にわたりお届けしたロレックス デイトナの徹底解剖だが、いかがだっただろうか? 今回、ロレックス デイトナ Ref.116520を貸し出してくれたカリフォルニア州カーメルのフォルタネ・ジュエラーズ(Fortane Jewelers)と、その歴史的な画像の一部を使用させていただいたアンティコルム(Antiquorum Auction House)に、この場をかりて感謝したい。このシリーズのPart.1はこちら、Part.2はこちらをご覧いただきたい。