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Year In Review リバイバル・オブ・ザ・イヤー: 金色に輝く70年代のファンキーな復刻スポーツウォッチ

オリジナルのインスピレーションを忠実に再現し、他の追随を許さないリバイバル・オブ・ザ・イヤーを勝ち取った時計。

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100年、200年の歴史を誇るブランドがリバイバルウォッチを作る場合、いくつかのアプローチがある。例えば、オメガのスピードマスター“エド・ホワイト”では、オリジナルのCal.321をスキャンし、伝説的なクロノグラフ・ムーブメントを内蔵することも可能とした。あるいは、例えばチューダーのブラックベイのように、古いカタログからインスピレーションを引き出し、チーズの束を鍋に放り込んでフォンデュを作るように、特定のリファレンスに忠実であり続けることもできる。

 ひとつの戦略が他より優れているわけではなく、その中間に幅広い選択肢があることは確かだ。伝統、遺産、ノスタルジアを売り物にしているこの業界では、リバイバルウォッチは必然であり、これからも続いていく。

Vacheron Constantin Historiques 222

 1990年代初頭に発表されたヴァシュロン・コンスタンタンのヒストリークコレクションは、ブランドの歴史に残るモデルを「現代的に再解釈」したものだ。ヒストリークコレクションの戦略は、先に紹介したひとつめの戦略に重きを置いている。ヒストリークモデルは、伝統的なインスピレーションにほぼ忠実でありながら、現代的な装飾やアップグレードが加えられているのが特徴である。長年にわたりコルヌ・ドゥ・ヴァッシュ、ヒストリーク アメリカン 1921、極薄のヒストリーク 1955などのモデルがこうした再解釈の対象になってきた。しかし今年、ヴァシュロンは1977年に発表されたジャンボ 222という、より野心的なモデルをモチーフに、イエローゴールドのヴァシュロン・コンスタンタン ヒストリーク222を発表した。

 確かに、遠くから見ると、新型222は旧型222とよく似ている。だがじっくり見ると、この新しいバージョンの222は、1970年代のコピーではなく、美的・技術的に多くの改良が施されていることが分かる(そして、感じることができる)。この熟考されたリファインと222の歴史的重要性が相まって、私たちのリバイバル・オブ・ザ・イヤーに選出された。

ゴールドのタッチが与えられたスポーツウォッチ
Vacheron 222 gold

 ヴァシュロン・コンスタンタンが3月のWatches & Wondersでヒストリーク 222を発表したとき、このような見本市に参加する業界関係者から即座に、そしてほとんどすべての人から賞賛を浴びた。ほとんどの時計は、そこで賞賛の声が止むことはない。しかし、すぐに222への賞賛の声が世間に漏れ出した。俳優のマイケル・B・ジョーダン、フーパーのクレイ・トンプソンとクリス・ポール、コメディアンのアンドリュー・シュルツなど、著名人が「222」を身につけているのが目撃されるようになったのである。しかし、この時計は、たまたま身につけた数人のセレブリティで決まるようなリリースではなかった。

 1970年代、高級時計メーカーの御三家に数えられるブランドが発表した222は、ブレスレット一体型スポーツウォッチの3番手として登場し、38年ぶりに凱旋。もちろん長年愛され続けているオーヴァーシーズもあるが、1977年にヨルグ・イゼックがデザインした222には、レトロで正統な感覚をある。

 この10年間に起こったスティール製スポーツウォッチのムーブメントの後発である222は、他とは違うものである必要があった。222は、ジェンタがデザインした他のスポーツウォッチのような八角形や航海をイメージしたデザインではない。その代わり、トノー型、中央にギザギザのついた円形ベゼル、右下のラグにマルタ十字のエングレーブが施されていたのだ。この十字架は「ピリオド」を意味する。こう書いてある。「(ラグスポの)パーティーに遅れたのではない、まさに狙った時間に到着したのだ」と。

Vacheron Constantin 222 gold

 2022年に222を再リリースするのも、同じようなステートメントだ。確かに、ブレスレット一体型のスポーツウォッチは今やどこにでもあり、あらゆるブランドがこの市場の狂騒に参入しているように見える。しかし、ヴァシュロンはすでに大衆向けのスポーツウォッチ、オーヴァーシーズを90年代から展開しており、それは非常に優れたものだ。オーデマ ピゲやパテック フィリップの製品ではありえないもの、つまりオリジナルに忠実な全体の美しさ、サイズ、雰囲気を持つ真のリバイバルとなるために、ヒストリーク 222は解放された。ヴァシュロンは他の人気スポーツウォッチとは異なり、80年代に222を製造中止とし、デザインをタイムカプセルに封じ込め、過去30年間、時代やトレンドの気まぐれに邪魔されることなく、この時計を残している。

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 もしあなたが大きな野心を持つビッグブランドで、30年以上も棚に眠らせていたモデルを復活させると決めたのなら、正しく復活させなければならないだろう。ヴァシュロンはそれを実現したのだ。確かに今はスポーツウォッチが人気だが、もしヴァシュロンが本当にその波に乗りたかったのなら、この時計(1977年に作られた時計のイエローゴールド、37mmのレプリカ)は発表しなかっただろう。その代わりに、サイズを数mm大きくし、ブルーダイヤルに交換し、そして最も重要なことは、ゴールドをステンレススティールに変更したと思う。しかし、彼らはそのようなことはしなかった。もちろん、トレンドには乗っているのだが、多くの新しいスポーツウォッチのように、それほど明白ではない。

 そして今年に入り、ヴィンテージ222へのコレクターが増え、Hodinkee Shopがスティール製のジャンボ222を2万7500ドルで販売した2020年初頭のような時代は終わったが、この時計は過去数年間に他の多くの時計が経験した放物線のような成長を見せてはいなかったのである。

Vacheron Constantin 222 Steel

オリジナルのスティール製のヴァシュロン・コンスタンタン 222。

 5月のオークションでは、スティール、イエローゴールド、ツートンカラーの3種類のオリジナル222が相次いで落札され、いずれも1000万円以上の値がついた。222は、70年代のモデルよりも希少性が高く、700本ほどしか製造されなかったが、オークション市場ではあまり気にされてこなかった。しかし、時代遅れと言われたデザインが、突然、レトロでクールなものに感じられたのである。

古きアイコンを磨き上げる
Vacheron Constantin 222

 ヴァシュロンがヒストリーク 222を製作した目的はただひとつ、オリジナルの222と同じ外観で、フィット感、仕上げ、構造においてより優れた時計を作ることだった。よく見てみると、ヴァシュロンはオリジナルの222と同じ外観でありながら、ブレスレットやケース、文字盤に至るまで微妙な改良を加えたモダンな腕時計を製造していたのだ。

 ブレスレットは、六角形の中ゴマが特徴的で、オリジナルよりも柔軟で快適な構造になっている。また、ケースも改良され、特にベゼルの面取りやエッジに磨きがかかり、よりエレガントな仕上がりになった。さらに、文字盤のマーカーや針を大型化し、日付窓をミニッツトラックから文字盤の中央に移動させている。

vacheron constantin historiques 222 movement

 確かに、ヴァシュロンはオリジナルのCal.1120(パテックやオーデマ ピゲも使用している定評あるジャガー・ルクルト製Cal.920がベース)を自社Cal.2455に交換し、そのオリジナルのJLCキャリバーを維持すれば、組み立てや調整に手間がかかるとしても、伝統に対する優れた時計メーカーのささやかなアピールになったはずだ。すべてはトレードオフであり、もしヴァシュロンが自社製の最新ムーブメントを使うことで価格が下がる、あるいは単にヒストリーク222をより多く生産できるのであれば、Cal.2455を使うことはより多くのコレクターにとって純然たる勝利となるかもしれないのだ。

 どう考えても、我々はリバイバルウォッチ後の世界に生きている。今年もたくさんの時計を見て、気に入った。チューダーのレンジャー、カルティエのペブル、ドクサのアーミーなど、数え上げればきりがないほどだ。しかし、ヴァシュロンのようなブランドが、2022年という一年に222のような時計を再リリースするということは、別スケールの野心を持っていることを物語っている。ノーチラス、ロイヤル オークに続いて、筋金入りのコレクターが「美しい、よくできた時計だ」と絶賛し、ドレイクの次のシングルにも登場するかもしれない「ザ・ウォッチ」になるはずだったのだ。そして、これまでのところ、それはあらゆる期待を凌駕している。