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Weekend Edition 時計は単なる機械ではない。ときには高度なキネティックアートである

時計は時計でしかないが、ときにはそれ以上の存在になる。


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時計は、それぞれの人にとって、さまざまな意味を持つものだ。あるときは道具であり、あるときはおもちゃであり、またあるときは……生殖能力を示す明確なシグナルとでも言うべきでだろうか。そしてときには、何百年にもわたって蓄積された時計学の知識を結集した、機械的複雑さの奇跡とも言うべきものなのだ。

Audemars Piguet Star Wheel

 しかし、5世紀前に初の携帯用時計が作られて以来、時計は装飾芸術のミニチュア作品でもある。機械時代の初期には機械も高度な装飾をされたことがあったが、今日、時計は機械と美学の交差点として、ほかのどこにも見られない存在となっている。

Patek Philippe Neptune

 ジュネーブのパテック フィリップ美術館をはじめ、ロンドン科学博物館や大英博物館、パリの工芸博物館など、時計のコレクションが充実している美術館に行くと、時計のデザインや装飾がいかに豪華であるかということに驚かされるはずだ。これらほとんどの博物館には懐中時計が展示されているが、そのような高いデザイン性と緻密な工芸品の伝統が、デザインと機械的キネティックに美学を取り入れることを第一の存在意義とする現代の時計というジャンルを生み出したのだ。

Cartier Must de Cartier Tank

 ときには静的なデザインによって、時計がその時代における伝説となることもある(ほかの時代もそうだが)。デザインを時計製造の主眼とし、美的効果のために常にメカニックを用いてきた会社のひとつが、カルティエだ。タンク ルイ カルティエやサントスをつけて、1世紀以上も本質的に変わらないデザインを見ていることに気づくのは、驚くべき感覚だ。

Omega Constellation Co-Axial Chronometer

 もちろん、機械式や機械式と電気式のハイブリッドデバイスのなかにも、デザインに強い主張があるものはある。ハイエンド自動車やバング&オルフセン(Bang&Olufsen)などのハイエンドオーディオプレーヤーなどだ。しかし、毎日毎日、身近に存在する純粋な機械として、腕時計は他の追随を許さない存在なのだ。その証拠として、以下を記事を読んでいただきたい。

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 時計の世界では、さまざまな時計にまつわるインスピレーションが語られている。あるときは時計製造の確立されたデザインボキャブラリーの継続的な発展について、またあるときはジェンタのロイヤル オークのインスピレーションとなったダイビングヘルメット(あるいはパッケージ用のオフィススケール?)について。しかし、カルティエのタンクほど、あらゆる点でそのインスピレーションとなったものからかけ離れたデザインはないだろう。タンクは、実際の軍用戦車であるルノー FTにインスパイアされたもので、車体の両脇に目立つアウトサイズトラックと、主砲用の中央砲台を備えていた。第一次世界大戦末期に従軍していたルイ・カルティエは、この戦車を見て、フランスの軍事力に敬意を表し、死ぬほどエレガントな時計を作ろうと決心したという。

early Cartier Tank Normale, 1920

カルティエ タンク “ノルマル”、1920年

 ダジャレを作るチャンスを逃さない(ふたりで遊ぶことができる)コール・ペニントンは、昨年、最も珍しい会社の最も珍しい時計を紹介してくれた。ウルベルクは、基本的にひとつのコンプリケーションを中心に、全体のデザインと会社のアイデンティティを構築してきた。それは“ワンダリングアワー”と呼ばれるもので、3本のアームで構成されるセンターキャリアを中心に、時間を示す数字を乗せたディスクがダイヤル上を回転し、それぞれの数字が分を示す円弧を順番に通過していく仕組みになっている。この複雑機構は比較的珍しいものだが、オーデマ ピゲは過去にスターホイールでこの機構をうまく利用している。また、非常に異色で楽しいものとしては、ゴリラウォッチ(Gorilla watches、偶然にもかつてオーデマ ピゲの時計をデザインしていたオクタビオ・ガルシア氏が経営)がすばらしいものを作っているが、UR-100もあえて違うことをやっている。地球が赤道上を何km移動しているか、また太陽の周りを何周しているかを表示することができるのだ。

vacheron constantin les historiques 1921

 確かなことは言えないが、ダニー・ミルトン(“Space Jam”と“Watching Movies”の男)は、ロレックスこそが高級時計の最終形であり、絶対的な存在であるという印象を強く持ってHODINKEEに入社してきたのだと思う。1920年代にホワイトソース、ハンバーガー、ハムオンライス、コーラで育ったアメリカ人が、パリを訪れて初めて食事をするように、彼は未知の国の遠い岸辺から吹く、うっとりするような風を発見したのだ。ヴァシュロン・コンスタンタンのホワイトゴールド製ヒストリーク・アメリカン 1921を着用した彼のWeek On The Wristが、HODINKEEでここ数ヵ月、発見の喜びを最もよく表した記事と言えるだろう。ヴァシュロンは伝統的なオートオルロジュリーのビッグスリー、世界三大時計ブランド(パテック フィリップとオーデマ ピゲが残りのふたつで、この分類が意味を持つかどうかはいつでも議論できる)のなかで、おそらく最も長く時計のデザインを楽しんできた実績のあるメーカーだろう。「心情は理性の知らないところの、それ自身の道理を持っている」ということだ。

 オリジナルが欲しい? HODINKEEの原点をここに並べてみた。さて、これはおすすめの記事だが、2011年にさかのぼると、これは文字通りHODINKEEが今までノーチラスについて書いた最初の記事であり、もちろん、それはノーチラスがその輝かしい先代からどのように歴史をつないで来たかのフラテロの記事へのリンクアウトにほかならない。当時、このふたつの時計はデザイン性の高い時計の見本として、その意味が再定義されつつあった時代から、まだこのような奇妙な、主にマニア向けのインサイドベースボール的なモデルだった。サブプライムローン問題からわずか2年後、どちらの時計も自分の母親の寝首をかくような存在になるずっと前に、10年前のHODINKEE/フラテロの記事で両者が並んでいるのを見て、物事がいかに速く変化するかを思い知らされた。ティエリー・スターン(Thierry Stern)氏が、我々をからかうのが好きとはいえ、大きな波に乗って楽しみも(そしてお金も)得られるが、ある時点でそれが壊れる前に手を引く必要があると考えるのは正しいかもしれない。

g-shock borneo rainbow toad frogman

 G-SHOCKについておもしろいことがある。これほどまでに一途な時計はこの世に存在しないと思う。それは、とんでもない衝撃に耐え、さらに4階のトイレの窓から投げ出されてベータテストを受けるという、たったひとつの目的のためだ。しかし、運命はG-SHOCKに別のものを与えた。カシオは現在、新宿のネオンと官能のアクリア的な雷ドームへの賛歌であり、日本文化への深い探求であるハイエンドモデルを作ったのだ。G-SHOCKは今でも手に入るが、アーバンストリートウェアカルチャーに取り込まれ、クラシックという独自のジャンルを確立し、ほかのどこにもない時計の美学を表現するものとなったのである。例えば、2011年にボルネオの科学者がボルネオ・レインボー・トード(1924年に絶滅したと考えられていた)を再発見し、その本人がレビューした「G-SHOCK フロッグマン・ボルネオ・レインボー・トード」は、楽しくて装飾的なモデルだ。

ヒストリーク・アメリカン1921は、誰かに話したくなる、もっと身につけたいと思わせる時計だ。

– ダニー・ミルトン

Lead illustration, Andy Gottschalk

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