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Hands-On 航空消防や、スイス・ドイツ鉄道とウォッチメイキングとの関係とは?

オリスは新作のプロパイロット コールソン リミテッド エディションとビッグクラウン ポインターデイト ヴァルデンブルガーバーン リミテッド エディションでその疑問に答える。

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オリスは、思いがけない背景を持つふたつの時計で2022年を締めくくった。プロパイロット コールソン リミテッド エディションは、珍しい次世代ケース素材を使用し、コールソン航空の認知度向上をサポートするために発表された。1960年以来、カナダを拠点とする家族経営のこの航空消防団は、大規模な火災の消火のために北米全域で飛行している。

 一方、ヴァルデンブルガーバーン リミテッド エディションは、オリスのビッグクラウンポインターデイトのヘリテージプラットフォームをベースに作られた楽しいネーミングのモデルだ。このモデルは、1880年以来オリスの故郷であるヘルシュタインとバーゼルなどスイスの主要都市を結ぶローカル鉄道、ヴァルデンブルガーバーンへのオマージュとして製作された。

Oris ProPilot Coulson Limited Edition

 ふたつのまったく異なる時計は、それぞれまったく異なるストーリーを持ち、さまざまな理由で異なるコレクターにとって魅力となる可能性があるが、どちらの時計も純粋なオリスであることに変わりはない。我々は最近HODINKEEのオフィスにこのふたつの時計を持ち込み、数日間それぞれの時計に触れさせてもらった。以下が私の感想だ。

オリス プロパイロット コールソン リミテッド エディション

オリスはこれまで、プロパイロット コールソンのような時計を作ったことがない。いや、誰も作ったことなどないのだ。そのユニークさは、オリスがチューリッヒのスイス連邦工科大学と共同開発した特殊なケース素材にある。

 それはステンレススティールではなく、41mm×12.2mmのケースは、カーボンファイバーとPEKKと呼ばれる航空宇宙産業で使用されるグレードのポリマー層を組み合わせたもので、3Dプリントとフライス加工により、精密かつ均一な製造工程を実現している。カーボンファイバーをケースの素材として使用する場合、ケースの筋や粒子は通常、さまざまなサンプルでランダムになる。しかしオリスが採用している特許技術ではそのようなことはない。本稿のためにマークが撮影した時計のパターンは、あなたが自身で購入したものとまったく同じなのだ。

Oris ProPilot Coulson Limited Edition

 カーボンファイバー製の部品が時計の大部分を占めているが、グレーPVDコーティングを施したタービンベゼル、ねじ込み式リューズ、デプロイヤントクラスプ、ケースバックなど、一部の部品はチタン製となっている。プロパイロット コールソンの重量はわずか65g(!)。比較対象として、SS製のIWC ビッグ・パイロット・ウォッチ 43は115gで、オリスのコールソンは50gも軽い。

Oris ProPilot Coulson Limited Edition

 このようなハイテク素材を使用した結果、プロパイロット コールソンは、F1の世界でも、コールソン航空が通常飛行する穏やかでない空でも、違和感なく使用できる外観と質感を実現している。固定翼機とタイプ1 ヘリコプター(コールソン航空は、航空消防活動において両者を運用する世界唯一の企業 だ)のコックピットから見える景色が、この時計のダイヤルに反映されている。オレンジ色のグラデーションがダイヤル下部から上昇し、ダイヤル上部、12時付近で水平になるようにより濃い赤色に変化していくのだ。

Oris ProPilot Coulson Limited Edition

 プロパイロット コールソンは、パイロットウォッチの最も重要な要素である優れた視認性を備える。アワーマーカーにはホワイトのアラビア数字を採用し、ホワイトの幅広のソード型針には青く輝くスーパールミノバがふんだんに施されている。ARコーティングが施されたサファイアクリスタルを通して、1日のどの時間帯でも、またどの高度であっても、容易に読み取ることができる。6時位置には、カーボンファイバー製ケースのダークカラーと調和するブラックを基調とした日付表示窓も備えている。

Oris ProPilot Coulson Limited Edition

 それを実現しているのは、オリスの自動巻きCal.400だ。この独自の自動巻きムーブメントがなぜオリスにとって特別なのか、我々はこれまでにも何度も書いてきたし、最近ではTwo Watch Collection記事でも取り上げた。ここではその詳細については触れないが、以前の記事と同じように、このムーブメントを搭載していることに変わりはなく、Cal.400は5日間の自動巻き、優れた精度と耐磁性、そして10年保証を提供する。オリスがハイスペックな次世代ムーブメントと最新のケース素材を組み合わせることは、非常に理に適ったことだと思う。

Oris ProPilot Coulson Limited Edition

 私はすでにCal.400搭載のオリスを1本所有しているため、プロパイロット コールソンのハイコントラストなカラーとクールなバックストーリーだけでは、2本目を追加するほどの説得力を持っていないことを認めよう。しかし、HODINKEEのためのオリス ダイバーズ65 キャリバー400 リミテッド エディションとプロパイロット コールソンの着用感を比較するのは興味深いものだった。私の時計がヴィンテージの雰囲気と控えめなルックスであるのに対し、コールソンの手首での存在感はかなり押しが強い印象だ。軽量でありながら、こんなカラフルな時計をつけていることを忘れるほどだった。G-SHOCKやApple Watchをつけているときと同じように、退屈なときには腕から外していじくりたい衝動に駆られた。

Oris ProPilot Coulson Limited Edition

 悪いことではないが、プロパイロット コールソンのような時計がいかに目新しいものであるかを再認識させられたのだ。私は、オレンジや赤のダイヤルの時計は持っていないし、カーボンファイバーを使った時計も持っていない。この素材は、革新的でかっこいい反面、時計業界では“”おもちゃっぽい”という批判を受けることもある。プロパイロット コールソンがそのような考えを払拭するものであるかどうかはわからないが、それはオリスがこの製品を作る上での目標ではなかったと推測される。その出来栄えは思慮深く、全体的によくできた製品だが、ターゲットとするユーザーを特定するのは難しい。

Oris ProPilot Coulson Limited Edition
Oris ProPilot Coulson Limited Edition

 プロパイロット コールソンは1000本の限定モデルで、価格は63万8000円(税込。北米では4500ドル)だ。オリスとしては一見高額のように思えるが、なかのムーブメントや新しいタイプのカーボンファイバーを使用していることを考えると、妥当な金額だと思う。とはいえ、10年前に比べれば、カーボンファイバーの世界も少しは開けてきたと思う。この素材に興味があるなら、リシャール・ミルやオーデマ ピゲ級の予算がなくてもいいのだ。オリスと並んで、バンフォードドクサG-SHOCKノルケイン、そしてビクトリノックスなどのブランドが最近この分野に参入してきた。私はオリスがこのグループのなかで最も興味深い素材を時計に採用していると思うが、皆さんはどう思うだろう? ともかく、私はオリスがこの新しいカーボンファイバー技術でどこまでいけるか、個人的に期待している。

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オリス ビッグクラウン ポインターデイト ヴァルデンブルガーバーン リミテッド エディション

聞こえただろうか? オリスのオールドスクールなモデルが市場に登場した時の音だ。新しいヴァルデンブルガーバーン リミテッド エディションは、派手な新しいケース素材は使わず、古きよき時代のSSを上手くこなす準備をした。オリスはクラシックな赤いローターをまとったセリタ社製の自動巻きムーブメントを採用したのだ。そして、エボーシュムーブメントの使用で知られる近年のオリスへの単なる回帰というだけでなく、ヴァルデンブルガーバーンはオリスの歴史のなかでもほとんど知られていない、地元の鉄道にスポットを当てている。

Oris Big Crown Pointer Date Waldenburgerbahn Limited Edition

 マーク・カウズラリッチ(Mark Kauzlarich)は2022年の初めにオリスの故郷を訪れたあと、私お気に入りのHODINKEEストーリーを書いている。私自身はまだ旅行したことはないのだが、ずっと見てみたいと思っていた場所なのだ。ヴァレ・ド・ジューやジュネーブといったフランス語圏に多く存在するスイスの時計産業とは異なり、オリスはドイツ語圏のバーゼル・ラントシャフト州内のヴァルデンブルグという地区にある小さな自治体、ヘルシュタインを拠点にしている。

 ヘルシュタインはスイスの主要都市からは少し離れた場所にあるが、オリスは1904年に創業者のポール・カッティン(Paul Cattin)とジョルジュ・クリスチャン(Georges Christian)が空き工場を引き継いだ後、時計メーカーとして成功を収めた。ヴァルデンブルク地区を走る鉄道、ヴァルデンブルガーバーン(bahnはドイツ語で鉄道を意味する)は、そのわずか20年前の1880年に開通し、オリスはバーゼル州の産業の中心地であるバーゼルに直結したビジネスとして成長することができたのである。

The Oris Big Crown Pointer Date Waldenburgerbahn Limited Edition

 マークはオリスの歴史を振り返り、今日まで地元ヘルシュタインのコミュニティでオリスが果たしている役割を文脈化するという点で彼のストーリーは優れた仕事をしているが、オリスがその出身地について今でも十分に誇りを持っていることは、簡単に理解できるかと思う。ほかのスイスの時計メーカーで、地域の鉄道を記念した時計を発売しているところがあるだろうか?

The Oris Big Crown Pointer Date Waldenburgerbahn Limited Edition

 ヴァルデンブルガーバーン リミテッド エディションは、1938年にオリスで誕生したクラシックなビッグクラウン・ポインターデイトのニューバージョンで、人気の理由であるクラシックなデザインから大きく逸脱していない。40mm×11.2mmのSSケースの上には、その名の由来であるオーバーサイズのリューズとコインエッジベゼルを備えている。サファイアクリスタル風防の下には、クリーンなブラックダイヤルがあり、オールホワイトのマーカーと数字、クリーンなホワイトカラーの蛍光塗料入りカテドラル針がアクセントになっている。中央の4本目の針の先端には、日付表示用のレッドペイントがひとつだけ付いている。オリスファンなら誰もが知っているデザインだ。

 しかし、ケースバックに描かれたイメージは簡単に見分けがつかないかもしれない。オリスはムーブメントを見せるシースルーバックの代わりに、この時計の名前の由来を強調することを選んだのだ。1000本限定生産のシリアルナンバーの上には、古いヴァルデンブルガーバーン蒸気機関車が疾走しているレリーフが刻まれている。

The Oris Big Crown Pointer Date Waldenburgerbahn Limited Edition
The Oris Big Crown Pointer Date Waldenburgerbahn Limited Edition

 ビッグクラウン ポインターデイト ヴァルデンブルガーバーン リミテッド エディションは、今日のオリスの人気を象徴しているようなモデルだ。このモデルはオリスが持つ地元の伝統に対する心からの賛辞であり、オリスが持つカタログのなかで最もクラシカルなスタイルで表現されている。もしあなたがビッグクラウン ポインターデイトを所有したいと思いながら、どれを買えばいいのかわからず躊躇しているのなら、そしてオリスが要求している31万9000円(税込。北米では2300ドル)を出せるのなら、迷うことなくヴァルデンブルガーバーンを手に入れることができると思う。これ以上の“オリス ”ウォッチはないだろうから。

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オリスについてもっと知りたい方は、公式サイトをご覧ください。