夏がやってきた。アメリカでは7月4日の週末は独立記念日のお祝いで、多くのアメリカ人が屋外に出てグリルに火を入れ、こっそり花火を楽しむ。暑い夏には冷えたソーダがいちばんだ。私は飲み物ではコカ・コーラ派だが、時計となるとペプシに軍配が上がる。
今回は、あらゆるペプシベゼルの腕時計をご紹介しよう。旅行用の時計もあれば、ダイバーの潜水速度を計測する水中用の時計もある。用途は違えどそれらはすべて赤と青を組み合わせているのだ。しかし、それはなぜなのか? それに対する短い答えは、ロレックスのGMTマスターがあるからだ。
1950年代、国際線での空の旅の全盛期、時代の先端を行く2大ブランド、ロレックスとパンアメリカン航空は、ふたつのタイムゾーンの時刻を同時に表示する腕時計を開発するために提携した。長距離移動が一般的になりつつあるなか、これはパイロットが実際に必要としていたものだった。1955年に誕生した初代GMTマスターは、赤と青の2色ベゼルを採用し、昼(赤)と夜(青)を識別しやすくしている。ちょうどその2年前にサブマリーナーから始まったロレックスの既存のケースとベゼルのデザインから見ると、かなりワイルドでカラフルなものになった。
これにはやはり最大の疑問が残る。なぜ赤と青なのか? パンナムのロゴは青と白だから、このブランドから来たものではないことは確かだ。その点で私が見つけた最も近い関連性は、1940年代の古いパンナムのバッグタグのシリーズで、色は逆になっているものの、結果的にベゼルと同様に赤と青に分かれている。いろいろ考えた末に、私はジャック・フォースターに相談することにした。
ねえ、HODINKEE、ロレックスのGMTマスターのオリジナルベゼルはなぜ赤と青だったの? なぜその色を選んだの? 教えてよ。
話はいろいろなところに及んだ。赤色は、ひと目で見やすいように選んだのだろうというのが我々の共通認識だった。そしてジャックはとても興味深いことを口にした。「昔、コックピットのライトは夜間視界を確保するために赤かったと思うんだ」
赤はそれで納得できたが、青はどうだ。青が夜であることを示すのは、やはり不可解だった。ジャックはこう続けた。「赤い光の下では、青は基本的に黒に見えるんだ」。そして少なくとも推測のレベルではそうだった。その論理は間違いない。ジャックはこう言う。「赤色照明の暗いコックピットでログを更新するとき、ズールータイム(協定世界時)を知りたいなら、赤と青のベゼルがいちばん見やすいだろう」
赤と青のベゼルはロレックスのGMTマスターから始まったが、それ以来、ツールウォッチ界のほかのアイコンにとってデザイン上の実験場となった。時を経て、ペプシベゼルのデザインはデュアルタイムウォッチからダイバーズ、さらにはクロノグラフへと移行していった。そのなかでも、セイコーはいくつかの名作を世に送り出している。まず、1969年に発売されたセイコー スピードタイマーは、最初の自動巻きクロノグラフのひとつだ。この時計では、赤いセクターが時速60mil(約100km)以下の計測距離の速度に使用され、青いセクターは時速250mil(約400km)までの計測を可能にしていた。次に、モダンクラシックなセイコーのSKX009は、赤と青の2色のダイビングベゼルを備えている。これは水中深く潜るほど色が消えていくため、実用性よりも美観を重視した選択だ。セイコーは、PADIダイバーズでも赤と青のベゼルデザインを採用し続けている。この場合、赤と青はPADIカラーそのものにちなんだものだ。
2018年、ロレックスのGMTマスター ペプシの全貌が明らかになったのは、チューダーが1950年代の原点であるロレックスに回帰したダイビング対応のスローバックデザイン、チューダー ブラックベイ GMTを発表した時である。41mmケースに青と赤のアルミベゼル、そしてスノーフレークGMTハンドのついたGMTムーブメントを搭載し、最大3つのタイムゾーンを同時に表示することができる。もちろんこの時計は、コックピットが赤い照明で照らされなくなったことや購入者の大半が飛行士よりも航空ファンだったことを考えると、一種のヘリテージモデルであったようだ。しかしこの時計は、ペプシデザインがあらゆるブランドや機能の時計に使われ続けていることを証明するものだった。
赤と青の美学を祝して、ペプシベゼルを持つ時計に関するHODINKEEのベストストーリーを集めてみた。しかし、ここであなたへのペプシチャレンジだ。あなたの好きな青と赤のベゼルの時計は何だろうか? コメントで教えてください。よい休日を!
特集記事
ロレックスのGMTマスターについて何か知りたいことがあれば、これを読もう。HODINKEEのジョン・ビューズ(Jon Bues)とエリック・ウィンド(Eric Wind)氏は、おそらくひとつの部屋で見たことのないほど多くのGMTマスターを集め、この時計の誕生から今日までのすべてのリファレンスを紹介している。
ジェームズ・ステイシー(James Stacey)のA Week On The Wrist「チューダー ブラックベイ GMTを1週間レビュー」は、今や伝説となっている。これ以上優れたペプシベゼルウォッチに関するビデオや文章は、地球上のどこにも存在しない。この時計が欲しい人も、ただ単に素晴らしい動画を楽しみたい人も、この記事はあなたのためにある。
数年前、“バットマン”や“ハルク”など、時計のニックネームをランキング形式で発表した。もちろん、“ペプシ ”もランクインしている。このランキングは、HODINKEEで何度も繰り広げられた楽しい議論の産物だ。この記事を読んだあと、ペプシが1位となった読者ランキングもぜひ見てほしい。
昨年、ブルガリはかなり意外なことをした。それはクラシックなアルミニウムのデザインを旅行用にアレンジしたのだ。その際、ブルガリは伝統的なカラースキームを採用した。赤と青だ。このブルガリのアルミニウムGMTのペプシは、90年代のアイコンに新しい風を吹き込み、我々スタッフの注目を集めた。ペプシベゼルに失敗はないようだ。
昨年、ノルケインのGMTモデル2本を実際に手にする機会があった。そのうちの1本が、偶然にもペプシの理想をインナーベゼルで表現した興味深いモデルだったのだ。ホワイトダイヤルに、赤と青の24時間スケールをダイヤル中央に配したノルケインは、クラシックなデザインに常に革新の余地があることを示している。
ロレックスのGMTマスターは、いろいろな面で、これまでで世界で最も有名なトラベルウォッチだ。
– ジョン・ビューズHODINKEE Shopでは、ペプシベゼルの腕時計を豊富に取り揃えています。コレクションはこちら。
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