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November 24, 2020
November 24, 2020
Introducing ブルガリ オクト フィニッシモ トゥールビヨン クロノグラフ

Introducing ブルガリ オクト フィニッシモ トゥールビヨン クロノグラフ

極薄時計製造の王者によって、またも新たな世界記録が生み出された。

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今から少し前、7、8年前くらいだろうか、まだ我々がウキウキとした気分で朝日を迎え、人生をエンジョイしていた頃、極薄時計について気にとめる人は多くなかったと思う。このジャンルは、ウォッチメイキングの長い歴史を通して常にニッチなものであった。第一に、真の極薄時計を作ることは技術的に非常に難しく、極薄であるということ自体が複雑機構であると考えられていた。第二に、薄ければ薄いほど、パフォーマンスが劣ると信じられていた。これらの理由から、耐久性、正確性、信頼性が高く、普段使いに適した時計を作ることの方が、重要視されてきたのだ。従って、薄さの追求はあまりされず、前世紀は最薄記録が何年も塗り替えられない状態が普通だった。

2014年から2020年までの6年間で、ブルガリは時計における記録を更新し続けてきた。

 だが、次に何が起こったのかは誰もが知るところだろう。そう、ブルガリの登場だ。極薄時計のオクト フィニッシモはわずか6年前に発表されたのだが、通常は60年間かかるであろう技術的なイノベーションを、オクト フィニッシモはわずか6年で達成し、時計界に衝撃を与えた。この短期間のうちに発表されたモデルは、オクト フィニッシモ ミニッツリピーターオクト フィニッシモ クロノグラフ GMT オートマチック、オクト フィニッシモ トゥールビヨン オートマチック。そしてもちろん、オクト フィニッシモ オートマティック。さらに、オクト フィニッシモ以外でも幾多の世界記録を樹立した。例えば、現在作られている中で世界最小のトゥールビヨンを搭載した、セルペンティ セドゥットーリ トゥールビヨンなどだ。

 今週開催されているジュネーブ・ウォッチ・デイズ 2020で、ブルガリはまたも新たな世界記録を塗り替える時計を発表した。このオクト フィニッシモ トゥールビヨン クロノグラフ スケルトン オートマティックである。ケースは42mm x 7.4mmで、オープンワークが施されたモノプッシャー クロノグラフ トゥールビヨン ムーブメントであるCal.BVL 388(2つのプッシャーのバージョンもあるが、これについては後ほど)を搭載し、50時間パワーリザーブがあり、厚さはわずか3.5mmだ。

 ブルガリによると、これは今までに作られた中で、最薄のトゥールビヨンクロノグラフが搭載された腕時計だそうだ。

 昨今、極薄時計はいまだにニッチなカテゴリーかもしれないが、それはトゥールビヨン クロノグラフでも同様である。私が2015年にHODINKEEに入社して以来、このような機構を搭載した時計が発表されたのは、多くて12回だと思う。その大半は、手巻きか、ミニッツリピーターのような他の複雑機構を搭載したものだった(例えば、オーデマ ピゲ トラディション トゥールビヨンもミニッツリピーターだ)。そして、これらの時計の薄型モデルは、ほぼ無名と言っても過言ではない。オーデマ ピゲ ロイヤルオーク トゥールビヨン クロノグラフについてはいろいろと語れるが、この時計の母(もしくは父?)だって、極薄モデルだなどと言わないと思う。しかし、私はこの事実がブルガリの実績を特に傷つけるものではないと思っている。厚さわずか3.5mmの自動巻き機構を搭載した、トゥールビヨン クロノグラフ ムーブメントを開発したことは、どう考えても驚くべき偉業だ。

 これらの数字が何を意味するのかをより具体的に理解していただくために、他の記録的なキャリバーについても触れたいと思う(ブルガリが大半となるが、これはブルガリ一強という事実より、時計産業の変遷に着目していただきたい)。オクト フィニッシモ トゥールビヨンの、手巻きキャリバーであるCal.BVL268の厚さは1.95mmで、オクト フィニッシモ ミニッツリピーターの、Cal.BVL362は厚さ3.12mmだ。オクト フィニッシモ オートマティックのCal.BVL 138の厚さは2.3mmで、これは世界最薄の自動巻きムーブメントだ(オーデマ ピゲのCal.AP 2120は、世界最薄のフルローター自動巻きムーブメントではあるが)。

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 しかし、真の意味で、最も息を呑むようなムーブメントは、オクト フィニッシモ トゥールビヨン オートマティックに搭載されたCal.BVL 288だろう。手巻きのオクト フィニッシモ トゥールビヨンと同じ厚さ(1.95mm)にも関わらず、自動巻きローターが搭載されている。Cal.BVL 288がこれほど薄いのは、フライング トゥールビヨンであるからということ(トゥールビヨンブリッジを省くのは、1ミリ単位で厚さを削るのに役立つ)、そしてペリフェラル ローターを採用しているから(マイクロローターのように機能する)である。

 通常、トゥールビヨンとクロノグラフ、さらに自動巻き機構は、サンドイッチのように時計に組み込まれる。自動巻きローターとリバース、駆動輪、クロノグラフ機構、そしてトゥールビヨン(これは一般的にはベースプレートと同じレイヤーに配置される。ほかのやり方も可能かもしれないが、モジュール式のトゥールビヨンを私は知らない)を組み合わせれば4mm近い厚さになるのが普通だろう。クロノグラフのプレートがCal.BVL 288に搭載された場合と似たような感じだと思っていただければ良い。しかし、ブルガリはこれら全ての機構をほぼ同じ平面上に配置する方法を見つけたようだ。

 オクト フィニッシモ トゥールビヨン クロノグラフ オートマティックのCal.BVL 388には、他にも多くの興味深い技術的特徴がある。

ダイヤル側から見たCal. BVL388。

 まずはじめに、このモデルは、超薄型のトゥールビヨンに一般的に使われているような、フライングトゥールビヨンではない(ムーブメントや文字盤の画像から、上部のブリッジが見えるのがその証拠だ)。12時位置には主ゼンマイの入った香箱がしっかりと確認でき、右側には巻き上げとセッティングのためのキーレス機構が配置されている。トゥールビヨンキャリッジは下側のピニオンではなく、その外周で駆動しており(これは省スペース化につながっていると思う)、レギュレーターは無い(これは、ケースの厚み削減につながっている)。

 さて、ひとつ面白い点がある。近くでよく見ると、4時位置に小さなコラムホイールのようなものが見える。私は最初、これはクロノグラフと関係があるのではないかと思った。しかし、ご記憶の通り、これはモノプッシャームーブメントである。―つまり、2時位置のプッシャーを介してスタート、ストップ、リセットが行われている仕組みだ。
 この下のコラムホイールとそれに付随するプッシャー(4時位置)で、リューズの機能設定が行える。2時位置のプッシャーを押すことで、リューズを手巻きに切り替えることができるのだ。

ケースバック側から見たムーブメント。

 ムーブメント(ケースバック)側からは、クロノグラフと自動巻き機構を視認できる。ブルガリによると、オクト フィニッシモ クロノグラフ GMTに使われているCal.BVL 318の基本的な機能の一部は、Cal.BVL 388にも見られるが、大きなアップデートが加えられたものらしい。2つの動きに共通している唯一の点は、両方とも水平クラッチ設計である(水平クラッチは、他の全てのものが等しく配置されるため、垂直クラッチよりもフラットな構造になる)。ムーブメントの最上段には、斧の形をしたクロノグラフ ブリッジがあり、その下には横方向にスライドするクロノグラフのリセット用のハンマーが組み込まれている。10時位置には、リバーサーとペリフェラルローター用のトランスミッションホイール(このケースにはホワイトゴールドが使われているが、ブルガリはGMTクロノグラフにはプラチナを採用)が見え、12時位置には主ゼンマイが入った香箱がある。

 非常にクールな特徴として、クロノグラフのクラッチレバーが挙げられる。クラッチレバーの先端がコラムホイールの歯の上に乗っているのが見えるが、よく見ると、ブルガリはクラッチレバーをムーブメントに取り付ける際に生じる問題を、下側のトゥールビヨンブリッジに巻き付けることで解決していることが分かる。私自身、このような解決策を用いたトゥールビヨンとクロノグラフのキャリバーを他に知らない。通常、クロノグラフをトゥールビヨン ムーブメントに取り付ける際は、ムーブメントプレートよりも高い位置(トゥールビヨンよりも上)で作業をするのだが、この解決策は、クロノグラフの組み立て作業をムーブメントプレート内で行うことを可能にしている。

 さて、記録更新者として名を馳せることの問題点は、自分自身をトップアスリートのようなものにしてしまう点であろう。遅かれ早かれ、引退を迎え、記録は次世代の科学に裏打ちされたトレーニングを積んだ、新たなアスリート達によって破られる。この点を考慮すると、オクト フィニッシモは、現代の時計製造における前例のない快挙だと心から思う。このコレクションは、幅広い価格帯と複雑機構を備えつつ、共通のデザイン言語を使うことで美的印象を統一し、極薄時計製造に揺るぎなくコミットしたという意味で、天下無敵の時計である。そして、「エクストラフラット ウォッチ」の定義付けを託されたBerner Professional Dictionary Of Horology(注:5000以上もの時計用語の定義が載っている時計界のスタンダード的辞書)が、ぶっきらぼうにも「極めて平らな時計」と定義したのは、ハイウォッチメイキングの歴史の中でも最も無責任な出来事のひとつだと思う。この冗談は飽くことなく、語り次がれるだろう。

 将来、このコレクションがどうなるのかは神のみぞ知ることだ。というのも、1972年に発表されたロイヤル オークは、当時の人の目には少しやけくそに映ったのだから。しかし、オクト フィニッシモの第1作目からまだ6年しか経っていないという驚くべき事実は、このコレクションのただならぬ将来性を示唆していると思う。私は、オクト フィニッシモの勢いに持続力があると願いたいし、また誰かがいつか記録を破り、忘れ去られても、この時計が単純なノスタルジアを生むだけでなく、洞察力に富んだ時計製造と強力なデザインを組み合わせた、21世紀の時計学を代表する時計として、永続的にリスペクトされ続けることを願っている。

ブルガリ オクト フィニッシモ トゥールビヨン クロノグラフ スケルトン オートマティック:ケースはサンドブラスト加工のグレード 5 チタン製で42mm x 7.4mm。クラウンとプッシュボタンはサンドブラスト加工のチタン製。ムーブメントはCal.BVL 388で、厚さは3.5mm。そして、52時間パワーリザーブを備えている。トゥールビヨン付きのモノプッシャークロノグラフでリューズとプッシャーから機能設定が可能。振動数は2万1600振動/時で、石数は52。ブレスレットはサンドブラスト加工のチタン製でフォールディングバックル仕様。50本限定で、価格は1584万円(税抜予価)だ。

詳細は、ブルガリ公式サイトへ。