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Just Because おそらく忘れ去られたクレイジーな時計5選

これらは時代を超えた(不思議な)時計だ。

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本稿は2017年12月に執筆された本国版の翻訳です。

ここ数年、わたしたちは時計業界でかなりクレイジーなモデルを見てきた。そして盛衰や、異常なまでの価格と販売、失敗と反覆を見てきたが、それこそがまさにこの記事のすべてである。ここでは、過去10年のあいだに市場に登場した、あなたが忘れているかもしれない(あるいはそもそも聞いたことがないかもしれない)最もクレイジーな時計を何本か振り返ってみる。


パテック フィリップ チタンコレクション

裏蓋にダイヤモンドをセットした夢のような時計の、Ref.3928T-001。Image: Courtesy of Sotheby's

 わたしの前職はサザビーズのアソシエイト・スペシャリストだ。以前はヘンリー・グレーブス Jr.のスーパーコンプリケーション(とても壮大であった)など、常軌を逸した作品を見る機会に恵まれていた。しかし、わたしにとって最もクールなコレクションは、2014年に登場したチタンコレクションである。この時計グループは、8本のユニークピースと、5本のチタンウォッチを依頼したワンオーナーものであった。コレクションの頂点に君臨(トップロット)したのはRef.5001T スカイムーン トゥールビヨンだったが、わたしが最も注目したのは、ブレゲ数字を配したシンプルな時刻表示のみのRef.3928T-001である。裏返してみると、手巻きCal.177が、9.44カラット、Dカラー(最上級のダイヤモンドの透明度を表す)、フローレススクエアのエメラルドカットダイヤモンド(わたしも仲間に入れて!)をとおして、その魅力を存分に発揮している。このユニークな時計とその他のコレクション(最初期の、シングルボタンのスプリットセコンドクロノグラフを含む)について、詳しくはこちらから。


400万ドルで落札されたJ.B.チャンピオン

プラチナ製のJ.B.チャンピオンモデル。

 J.B.チャンピオンの時計を知らない人は、ここで知っておくべきだ。この時計は2012年、エリック・クラプトン(Eric Clapton)の2499P(365万ドル、当時の相場で約2億9125万円でしか落札されなかった)と同じクリスティーズオークションにて、400万ドル(当時の相場で約3億1920万円)以上で落札された個体だ。J.B.チャンピオンは、戦後のパテック フィリップの最重要顧客であり、刑事弁護人として信じられないほどの成功を収めた(最高の人生を送った)人物である。J.B.チャンピオンウォッチは、ジュネーブ天文台の天文時計コンクール(Concours de Chromoetrie)用にRef.2548を改良・デザインした、パテック フィリップ製の特別なムーブメントを搭載している。30個ものムーブメントが生産されたが、カテゴリーD(コンクールの腕時計部門)に出場できるように、直径は30mm以下、総表面積は706.86mmという特殊な仕様で製造された。結果ケースに収められたムーブメントはふたつだけで、チャンピオンの時計がそのうちのひとつだったのだ(もちろんプラチナ製)。この時計の最大の特徴は、文字盤に彼の名前が記されているところだ。想像できるだろうか? この時計についての詳細はこちらから。

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唯一無二のレッドゴールド製パテック フィリップ 3448

2011年のクリスティーズで落札されたパテック フィリップ 3448R。Photo: Courtesy of Christie's

 わたしが3448を愛しているのは周知の事実だ(これは最高のものだ!)。はるか昔、2011年にクリスティーズがRG製の、おそらくユニークピースであるRef.3448を出品した。ご存じのように、3448はパテック フィリップが製造した最初の自動巻きパーペチュアルカレンダーウォッチである。当初は、角張ったラグを持つレトロなケースシェイプに戸惑いもあったが、今ではオークションでも人気のリファレンスとなっている。イエローゴールドと、希少性の高いホワイトゴールドで生産されることが多く、なかにはプラチナのものもあるが、ピンクゴールドやRGのものは確認されていない。クリスティーズによると、顧客の金庫の奥からRGのそれを発見したという。3448にとって、これほど混乱を招くものはセンツァ・ルナ以来である。この時計のエスティメートは50万スイスフランから100万スイスフラン(当時の相場で約4505万~9010万円)であったが、結果200万スイスフラン(当時の相場で約1億8020万円)以上で落札された。詳しくはこちらから。


ヴィンテージデイトナの価値が大きく変わったとき

記録的なクリスティーズ・デイトナセールの指揮を執る、オーレル・バックス(Aurel Bacs)。

 デイトナが高騰しているのは周知の事実だ。今日では、ヴィンテージのポール・ニューマン デイトナの平均価格は12万ドルから25万ドル(当時の相場で約1350万~2805万円)だが、昔からそうだったわけではない。オーレル・バックスが企画した“デイトナ レッスン・ワン オークション:クリスティーズ”は、まさに画期的であった。それは最高のコンディションを持つ、最高のデイトナリファレンスだけを集めた、高度に厳選されたセールだった(最近のフィリップスにおける、バックス企画のオークションに似ている)。オークションは大成功を収め、ベンは平均的な時計の価格は20万ドル(当時の相場で約1955万円)をはるかに超えていたと計算した。それは当時としては極めて異例な額であり、ポール・ニューマン デイトナの販売をある意味適切な背景へと導いた。オークションについての詳細はこちらから。

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3本の奇妙なロレックス

WG製のサブマリーナー、プロトタイプ。

 これは最近の出来事だが、2017年に超奇妙なロレックスのヴィンテージウォッチ3本が市場に現れた。これは異例なことである。まずクリスティーズで出品されたWG製サブマリーナーのプロトタイプが忘れられない。それとフィリップスにはツートンのデイトナ、クリスティーズではエクスプローラーとデイデイトのハイブリッドが登場している。3本ともおそらくユニークだと主張していたが、そのとおりだった。WG製サブマリーナーは、オークションにて63万1500スイスフラン(当時の相場で約7195万円)で落札され、ロレックスサブとしては史上最高額を記録。そしてデイデイトは27万5000スイスフラン(当時の相場で約3135万円)、ツートンデイトナは21万8750ドル(当時の相場で約2455万円)で落札された。


特別賞: カルティエ トータス クロック

1928年製のカルティエ トータス クロック。Photo: Courtesy of Sotheby's

 このカルティエ トータス クロックを聞いたことがない可能性は非常に高いが、これは史上最高の時計である。この時計は、元のオーナーの家族を通じてサザビーズで売りに出されたが、その所有者はそれが何であるかは知らなかった。というのもこれは、ある日突然かかってきた電話相手から委託されたもので、その後(前述のチタンコレクションと並んで)出品アイテムのなかでも、超刺激的な時計のひとつであると判明した。カルティエについてわかっている人なら、メゾンが20世紀初頭に信じられないようなことを、そして最も美しいデスクウォッチやクロックを製造していたことを知っているだろう。このカメは最終的に、エスティメートの倍近くである90万ドル(当時の相場で約9535万円)以上で取引された。詳細はこちらから。