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Hands-On カシオの電卓ウォッチ データバンクはまだ買える

80年代はデータバンク CA-53W-1CRの中で生き続けている。しかも約2000円ほどであなたのものになる。

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僕が1986年に生まれたことを考えると、自身が語る時計の文脈の多くは、90年代初頭に滲み出した1980年代の面影に基づいている。そして、記事「Revisiting My First Watch」で書いたように、僕の生まれた年はタイメックスへの深い愛を植え付けてくれたが、時計界の真のヒーローに敬意を払わずして80年代の時計を語ることは不可能なことは十分理解している。 - クォーツショック後の未来へ向けた手首生まれのテクノロジー。カシオ データバンクだ。

 この時計は、伝統的な時計製造のアイデアから切り離された、技術の飛躍的な進歩を初めて目の当たりにした存在だ。確かに、ロイヤル オーク・パーペチュアルカレンダーや同じ時代のオイスタークォーツでさえも、信じられないほどの技術の進歩を示していたが、クォーツは時計のカルチャーコードを変えてしまったのだ。そして、カシオは、伝統的な時計製造の視点を真っ向から超えた考え方から、実験を厭わなかった。

 データバンクは、スマートウォッチの原始的な動向を表している。カシオのデザイナーは、当時の最先端デジタルウォッチに追加機能を詰め込んだだけではなく、未来主義を大衆にもたらした。今日、僕たちはApple Watch、ガーミン、さらにはフィットビットを腕時計の現代的な表現として当たり前ものとして受け入れている。データバンクは最初にそれを実現し、時計にできることは何かだけでなく、時計とは何であるかについて、僕たちの認識を広げたのだ。

 1980年代は、歴史的に不変的な美的センスで知られているわけではないが(多くの点で、逆もまた然りだ)、存続するいくつかの特徴的な80年代ウォッチデザインは不変的だ。これはその一つである。データバンクのデザインが非常に優れていたために、独自のものとなったのではなく(G-SHOCKに起因すると思われる要素)、むしろ、人気が出た理由とは逆の理由で長く続いてきたからこそ、再び人気が出てきたのではないだろうか。

 オタク的で真面目なエンジニアのような雰囲気は、テクノロジーが僕たちの生活の全てを包み込むようになったことで、より相応しいものになってきた。このところ、テクノロジーは、子供の頃によく見られた“人気者 vs オタク”のような対立を感じさせないものになっている。どちらかといえば、2021年に電卓ウォッチを身に着けることは、むしろレトロなスタイルに根ざした行動であって、現代のガジェットとの関係とは切り離された特別なものだ。そしてこうしたスマートウォッチのプロトタイプは、今や現代のガジェットに対する解毒剤のように感じられる。

 この30年の歴史の中で最もシンプルなカシオのデータバンク、現代版のCA53W-1を選んでみた。素朴な黒の樹脂製で、バックライトもない。技術的には、このモデルは何も保存できないため、真のデータバンクとは言えない。しかし、足し算に引き算、掛け算、割り算ができる。


最初から始めよう

 1980年、時計の世界に入ってから10年も経っていなかったカシオが初の電卓ウォッチ、C-80を発売した。その成功を受けて、1984年にはデータバンク テレメモ CD-40を発売。これらの時計は、カシオの存在を世界に知らしめ、発売から5年間で約600万個を販売した。

 カシオは“ウォーキングディクショナリー”を含め、英数字のテキスト入力、電話番号、ボイスメモ、関数計算、電子メールアドレスの保存、リコールのためのメモリの増加、タッチスクリーンなどの機能をもつ電卓ウォッチを次々と開発した。僕のお気に入りは何か? DBC-63だ。バックライト付きのキーボードと画面を備えているのだ! 夜でも計算ができる。

 CA53W-1を腕時計版モトローラ スタータックのように考えがちだが、カシオのデータバンクを見ると、いつも僕はもっと別のものを思い浮かべてしまう。ブラックベリーの携帯電話だ。実際に、ブラックベリーの最も初期のデバイス(1999年の850)と外観は非常によく似ている - 小さな画面とキーボードを備え、全て無機質な黒いプラスチックに包まれている。美的類似性は共通しているものの、結局のところ、最終的には僕はより広い文脈にフィットしていると思う。ブラックベリーは、スマートフォンが本当に成功する前に850を製造した。車載電話が登場して、その後にブラックベリー、そして現代的なスマートフォンが登場した。同じように、機械式腕時計、データバンク、スマートウォッチの順だ。

 カシオにとって幸運なことは、データバンクがブラックベリーよりもはるかにロングテールをもっていることを証明していることだろう。データバンクの近代化から陳腐化(その逆も)への進展は、これらの追加機能の有用性に異議を唱える可能性があるが、この作品はほぼ相変わらず魅力的なままだ。そして、価格さえほぼ変わっていない。

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腕時計の“バリューセット”

 ぎこちないペースであることは認めざるを得ないが、話がようやくカシオのデータバンク CA53W-1にたどり着いた。僕はデータバンクを所有したことはなく、単純に金額に対して本当に驚くべき量を提供しているというだけの理由だが、安価なカシオには常に興味を抱いていた。(僕は昔からカシオの安価なワールドタイマー、A500の大ファンだが、ジャックが数年前に記事「カシオ AE1200WH-1A 1タイムゾーンあたり1ドル未満のワールドタイマー」で取り上げ、Redditでも大人気のAE1200WHも忘れてはいけない)。

 重量はわずか24gで、幅34mm、長さ42mm、厚さ8mmだ。樹脂製ケースは50m防水で、穴あきラグ、スチール製のケースバックを採用している。ストラップは滑らかでありながらも安っぽさを感じさせない黒い樹脂製で、小さな画面には2行のテキストと様々な小さな記号やマーカーが表示される。4倍近い値段を出せば、DBC-611(ゴールドトーン!)のような安価なモデルでも、真のデータバンク(データを保存して後で呼び出すことができるもの)を手に入れることができる。僕自身は、“リーズナブル”を通り越して“信じられない価格”で購入したCA53W-1に満足している。

 レビューのために時計を購入してもいいかどうかをニックに尋ねることは滅多にないが、時計の価格が18ドル強なら、確かに必要経費の承認が通る可能性が高かった。

 それで、僕はマクドナルドでお気に入りのメニューほどの価格で何を手に入れたのか? 少しの樹脂と、本当に小さなキーボード、そして夢だ。

 この時計の機能はカシオのモジュール3208によって確立されており、CA53W-1は、子供サイズの指でなければ、それほど使いやすいものではなかった。画面はシャープで明るく、ケース右側から突き出た1つのナビゲーションボタンで、時間、電卓、アラーム、セカンドタイムゾーン、クロノグラフの機能を切り替えることができる。

 いくつかの機能固有のコントロールがキーボードに階層化されており、設定を調整したい場合は、右のケースサイドにもある指の爪で操作する小さなボタンを使用してセットアップを開始できる。 電卓の使い方は難しくないが、痛々しいほど遅い。おそらく80年代はゆったりとした時代だったのかもしれないが、この時計は税金の計算には向いていない。これは時計付きの電卓ではなく、たまたま電卓も備えている、軽量で労働者向けのデジタルウォッチなのだ。

 このモデルの場合、電卓のボタンは時計前面のガラスプレートのような部分に設けられている。光沢のある黒の表面に小さなゴムボタンがいくつかレイアウトされているため、集塵には事欠かないが、思っていたよりも指紋がつきにくい。

 実生活で使えるのか? 使用は限られた範囲になる思う。しかし、僕はとある人気オンラインリテーラーに投稿されたレビューを調べたのだが、レストランでチップを計算するためにCA53W-1を使用していると主張する自慢の所有者からのレポートをいくつか見つけることができた。なるほど、それは賢い。

 結局のところ、CA53W-1は本質的に、1980年代と深く(ほとんど精神的に)繋がっているニューヴィンテージのデジタルウォッチだ。歴史はその魅力の源泉であり、それがこの時計が多くの特異性をもつにもかかわらず、今だに存在している理由でもある。 現代の時計としても、CA53W-1はその本来の魅力をほとんど失っていない。確かにコンセプトは時代遅れだが、それは他の時計界のアイコンにも言えることだ。そして、そのどれもが約2000円では手に入れることはできない。