Happenings スイス初の高級中古品専門展示会が開幕

※本記事は2022年10月26日に執筆された本国版の翻訳です。ReLuxury展は、2022年11月4日から11月7日に開催されました。

　さて、そのルポ氏がFHHの社長兼CEOを退いたという知らせが、しばらく前に（正確には2020年に）ジュネーブから届いていた。以来、彼女がどこへ向かったのかは我々全員の関心事だった。そして、その行方が判明した。彼女は、高級中古品という巨大な業界に特化し、前職よりもさらに大きなテーマを持つ、まったく新しいイベントの立ち上げに携わっていたのだ。4日間にわたるその展示会には、ReLuxury（リ ラグジュアリー）というふさわしい名称が付けられている。初回の展示会は2022年11月4日～7日に、ジュネーブのホテル プレジデント ウィルソン内で開催される予定だ。今週初めに行った取材では、彼女はこのイベントについて「高級品を取り巻くリコマースと循環経済のみに力を注ぐ」初の大規模イベント、と説明した。

　ReLuxuryが扱うのは時計や時計製造だけではない。しかしルポ氏の経歴とコネクションを考えれば、デビューイベントのロケーションに触れるまでもなく、その活動が時計を中心とするのは当然のことだ。リシャール・ミルとWatchBoxは、どちらもこのイベントのメインパートナーに位置づけられている。クロノスイスやゼニスなどの時計ブランドからは認定中古品（CPO）やヴィンテージモデルが出品される。モナコ レジェンド グループのようなオークションハウスも参加を予定している。そしてもちろん、ReLuxuryの設立パートナーとしてeBayが、イベント全体に大きく関わっている（全面開示の精神に基づいて、HodinkeeがReLuxuryの公式メディアパートナーであることを告知しておこう）。

　しかしルポ氏と彼女のチームは、高級コレクターズアイテム市場のあらゆるセグメントをまとめるという立派な仕事を成し遂げた。出展者のリストすべてを調べれば、家具修復業者に多数の靴職人、ヴィンテージファッションのブティック、そして鑑定ルーペを持ったジュエリー専門家と、中古品界のあらゆるプレイヤーが揃っていることに気づくだろう。私が非常に気になっているのは、モトサコッシュ（Motosacoche）というスイスの電動自転車メーカーだ。ルポ氏は、ReLuxuryが将来的にも取り扱い分野の拡大を続けていく計画であると示唆している。彼女がすでに目を向けているのは、コレクターズカーの代理店、アート市場、そして現代デザインだ。

　ReLuxuryについて最初に耳にしたとき、主にB2Bで運用されるものと思っていたことを認めよう。だがルポ氏は、そうではないと強調した。実際には、展示会は4つのセクションに分けられ、あらゆるタイプや背景を持つエンドコンシューマーを呼び込むように計画されている。

・ReSell（再販）：  プレジデント ウィルソンの展示場で開催される、物理的なマーケットプレイス。出展ブランドや企業には、あらゆる来場者との積極的な売買が推奨されている。

・ReThink（再考）： さまざまなラグジュアリー業界のキーパーソンらによる一連のパネルディスカッション。

・ReInvent（再発明）： 持続可能なラグジュアリーに重点をおく新進気鋭組織のセレクションを紹介する、通称“ラボ”。

・ReStore（復元）： 修復士と熟練の職人が、修理や所有権に関するベストプラクティスに焦点を当て、デモンストレーションを行う“クリニック”。

　つまりReLuxuryでは、使わなくなった時計を売り、そして別の時計を買うということが同じ会場内で可能になるのだ。さらにはパネルディスカッションや、クロノスイスチームによるギヨシェ実演といった素晴らしいアクティベーションを見ることもできる。

　ルポ氏は、第1回のReLuxuryを11月第1週目の週末に決定した。今秋のスイス オークションウィークと時期をぴったり合わせるためだ。同じ週にアンティコルム、クリスティーズ、フィリップス、そしてサザビーズでライブオークションが開催され、パレクスポでは国際的な宝石展として知られる、ジェムジュネーブが開催される。

　ReLuxuryには、初年度に30以上のさまざまな出展者が参加する。このイベントが今後も成長していくことを、ルポ氏は確信している。信頼に値する人物がいるとすれば、それは彼女なのだ。なにしろ彼女は、FHHによる毎年恒例の時計産業展をSIHHと呼ばれた初期段階から圧倒的な存在感を持つウォッチズ＆ワンダーズへと導くことに貢献したのだ。今ではそれは、年間で最大かつ最も影響力のある時計イベントになっている。何より重要なのは、流通市場に焦点を当てた大規模イベントを紹介するのに、今が絶好の機会だと感じることだ。

　デロイトによる最新のスイス時計ビジネスレポートを見てみよう。それによれば、高級時計の中古市場は2020年代の終わりまでに最大75％の成長が見込まれている。約200億スイスフラン（2兆9347億5800万円）から、2030年末までに合計350億スイスフラン（5兆1358億2600万円）へ拡大すると予想されているのだ。

　あらゆる関心を引き、潜在的な資本が存在している以上、中古品販売業者と潜在顧客を結びつける大規模な展示会が存在することは、完璧に理にかなっている。