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Introducing オリス ビッグクラウン プロパイロットX キャリバー115

先端技術を駆使したスケルトンウォッチで、オリスの新たな方向性を示す一本だ。

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クイック解説

 オリスの新作スケルトンウォッチ、ビッグクラウン プロパイロットX キャリバー115が誕生した。この腕時計は他のオリス製品とは大きく異なり、ビッグクラウン コレクションの他のモデルとも違うものだ。プロパイロットXは、最新の自社製最高級ムーブメント、キャリバー115を採用しており、スケルトン構造によって亜鉛メッキを施した地板とブリッジ部分が完全に見える作りになっている。
 この腕時計は部品すべてが目ではっきり見える構造になっている。10日間パワーリザーブといった内部に詰め込まれた革新的技術について知れば、中身をすべて覗いてみたくなるだろう。

 そうなるとスケルトン仕様は目新しい魅力というよりも、オリスが今後進む方向性を示す腕時計を覗き込む窓のような役割の方が大きくなる。プロパイロットX キャリバー115はオリスの次世代プラットフォームであり、これの発売に向けて、オリスでは自社生産能力を大幅に強化した。キャリバー115には、10日間パワーリザーブ機能を実現した新たな1本巻きゼンマイ用合金などの革新的技術が詰め込まれている。さらに、1回巻き上げると12日間も動作するが、最後の2日間の精度は1日あたり+6/-4秒というオリス社内規定の精度パラメーターに抵触するほど低下する。

 キャリバー115は、単に「スケルトン化」(製造過程で地板とブリッジから余分な材料を除去)したものではない。そうではなく最初からムーブメントをスケルトンにするというコンセプトだった。要するに材料を省いたのではなく、空間を確保できるよう設計したものだ。
 キャリバー115は、まさにこの腕時計の心臓部だ。しかしオリスは、このムーブメントを既存のケースには組み込まなかった。チタンケースはグレード2およびグレード5のチタン製部品を使っており、新開発ムーブメントをシームレスに包み込むよう設計されている。ムーブメントをリングに固定する従来型の手法ではなく、ケースを複数の部品で組み立てる構造で、ムーブメント周りに44mmケースをピッタリ重ねて組み立てる形になっている。ムーブメントには面取りや研磨などの加工も施していない。主に亜鉛メッキを施しているため、工業製品ならではの粋な雰囲気が漂っている。

 プロパイロットに"X"が続くという名前の付け方は新しいものだが、"X"が意味するものは予想とは若干異なるものだ。人気シリーズのプロパイロットは飛行機パイロット用に設計されたものだが、Xの元となったのは航空機製造、より正確には次世代航空機のエンジニアリングプロセスだ。
 要するに時刻の見やすさといった、通常のパイロット向け腕時計の開発で最も重視される要素を最優先したものではないということだ。この時計を世に出した目的とは、オリスが技術革新を実践し、新たなデザイン・ランゲージを開発することだった。
 設計担当者たちには簡潔に、まず極限までこだわって設計してから、商業的な採算ラインにまで妥協するような指示が出された。出来上がった最終製品はあたかも、自由闊達な設計担当者たちが簡潔な指示に従い、そこから合理的な結論に到達した結果の産物であるような見栄えとなった。ケースには未来を彷彿とさせる美学的思想が備わり、ベゼルには現代のジェット機エンジンに搭載されている複合材製ファンブレードに触発された模様を施してある。

 ブレスレットは完全にオリジナルなもので、それ自体がエンジニアリング業界における驚異の産物だ。各リンクはスムーズに連結しており、クラスプを留めたり外したりする様子は、F-35戦闘機の構造を彷彿させるものがある。ブレスレットは複数のバネ棒を使ってケースとシームレスに結合しており、見た目には一体化した感じで、「一体型ブレスレット」に限りなく近い感じだが、取り外して22mmのNATOベルトやストラップと交換できる。

 針とリューズは、プロパイロット キャリバー111から始まったノンリニアパワーリザーブ表示と同様、他のプロパイロットモデルから引き継がれている。ノンリニア表示とは、パワー残量を表示する10日間の目盛り間隔が非均一で、パワー残量が減るに従い、針の進む速度が加速することを意味する。その狙いとはまだ8日や9日分のパワーが残っている段階ではさほど重大な段階に来てはいないが、パワーが残り3日分となれば巻き上げる必要があることを知らせるというものだ。
 このレイアウトにより、ユーザーはパワーが減少して巻き上げが必要になったら、目に見える形で分かるようになっている。さらに設計を変更した箇所は、スモールセコンドの位置だ。パワー消費を最小限に抑える為、歯車を追加する必要のないちょうど良い場所に位置している。

ファースト・インプレッション

 ビッグクラウン プロパイロットX キャリバー115のような腕時計は他に類がない。これまで完全に未開拓のマーケットを独占する製品だ。アバンギャルドという言葉は使い過ぎで陳腐な言葉となっているが、アバンギャルドと呼ぶに相応しい腕時計があるとしたら、まさにこれがそうだ。とてもワイルドな見た目をした面白い腕時計である。
 従来は製造工程を量産化することで、見た目が魅力的で価格の手頃な腕時計を世に出すことに注力していたマニュファクチュールとしては、完全に予想外の製品だ。しかし同時に、完全にオリスならではのオリジナル製品である。その理由は以下の通り。

 オリスはスイス時計の世界ではユニークな会社だ。未だに独立系マニュファクチュールなのはもちろんだが、スイスのドイツ語圏にあるジュラ山脈沿いに位置する、小さなプロテスタント住民が多数派の地域にあるからだ。
 この地域の文化は概して、フランス語圏の文化に比べてロマンチック度が低い。実用性を重視する計算高い文化で、その考え方は時計製作に対するオリスの手法にも浸透している。幅広い層が購入可能な価格帯の実用的な時計を製造する会社ということだ。するとなぜ、他の製品と大きくコンセプトの異なる時計を開発しようと思ったのだろうか?

 答えを探るには計算高いドイツ系スイス人の発想に立ち返る必要がある。ダイバーズ65は昔から改良を重ねてきた製品で、幅広く売れてはいる。しかしヴィンテージを好むトレンドが永遠に続くことはなく、ブランド全体のベースとなる製品にはなり得ない。いずれかの時点で、自社生産能力のあるマニュファクチュールが新しいものを取り入れ、新たな発想に基づく製品を生み出さねばならないのだ。それなら徹底的に突き詰めた方がよいのではないか?
 その答えが、ビッグクラウン プロパイロットX キャリバー115なのだ。これは未来志向のデザインだ。10年後には標準になるかもしれない技術を、今の時点で売り出しているのだ。これこそがオリスの未来を切り拓く腕時計だ。インスピレーションを得るために、過去に目を向けるという常識に対するアンチテーゼなのだ。ダイバーズ65は過去から学ぶという手法をとても上手に活用しているため、ブランドは前進あるのみだった。しかも非常にうまくいった。それではこの新製品のおすすめポイントとは何だろう? 限定版ではない点だ。

画像提供:クリスチャン・ダウリング

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基本情報

ブランド:オリス(Oris)
 モデル名:ビッグクラウン プロパイロットX  キャリバー115 (Big Crown ProPilot X Calibre 115)
 型番:115 7759 7153 7 22 01 TLC
 直径:44mm
 ケース素材:チタン
 文字盤色: スケルトンチタン
 インデックス:プリント
 夜光: スーパールミノバ
 防水性能:100m
 ストラップ/ブレスレット: マルチピース チタンブレスレットクラスプ付属;ブラックレザーストラップ チタン製クラスプ付属


ムーブメント情報

キャリバー:オリス キャリバー115(スケルトン)
機構:時・分表示、7:30位置にスモールセコンド、3時位置にノンリニアパワーリザーブ表示、ファインタイミング、ストップセコンド
パワーリザーブ:240時間
巻き上げ方式:手巻き
振動数:3hz (2万1600振動/時)
石数:38
 


価格・発売時期

価格:チタンブレスレットモデル81万円;レザーストラップモデル77万円(いずれも税抜価格)
 販売時期:発売中

 詳細についてはオリス公式サイトへ。