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Editors' Picks 50万円台以下で手に入るおすすめドレスウォッチ4選

ドレスウォッチの概念への意識が薄れつつある今、HODINKEE Japan編集部の思うおすすめドレスウォッチを紹介しよう。

つい最近まで、スポーツウォッチの人気に押されつつあったドレスウォッチだが、我々は似通ったスポーツウォッチに飽きてきたのだろうか、近年はパテック フィリップやカルティエといったハイエンドのドレスモデルへの関心が増してきた。ただ今回は、もっと手軽にその魅力の一端に触れられる可能性を模索し、50万円台以下で流通するおすすめのドレスウォッチを各エディターがピックアップ。

 なおドレスウォッチは狭義の解釈では、“金無垢素材かつ2針の薄型手巻き時計であり、機能はなし(スモセコやカレンダーも含む)”に定められるのが一般的だ。しかし、時代が前進するなか、ドレスウォッチをもう少し広く捉えるのは現実的なことだと考える。

 本記事でのチョイスは前述した定義に必ずしも則らず、“ケース素材および駆動方法、機構は問わず、2針もしくは3針の薄型(10.9mm以下)モデル”とした。手に取りやすい価格帯の提案であるためこれを前提としている点をご了承いただきたい。

 本企画においてのドレスウォッチとは、“クラシカルなスタイルを踏襲した時計”くらいのイメージであり、ドレスアップ/ダウンスタイルも想定できるような汎用性のあるモデルをセレクトした。時計ビギナーはもちろん、スポーツウォッチマニアの方も我々が選んだドレスウォッチに一度目をとおしてもらいたい。

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佐藤 杏輔、エディター

ユニバーサル・ジュネーブ “シャドウ”シリーズ(ヴィンテージウォッチ)

1970年代製のゴールデンシャドウ Ref.167103。現在は売り切れているが販売価格は2500ドル(日本円で約37万6500円)。画像はHODINKEE Shopより転載

今回のテーマはセレクトが本当に悩ましかった。狭義のドレスウォッチを現行の時計で求めるなら、少なく見積もっても100万円以上の予算は覚悟しなければならない。例えば、ムーブメントが機械式ではなくクォーツ、あるいはケースがゴールドではなくステンレススティールであるなど条件を少し広げるなら、現行の時計であっても手頃な価格で手が届くものが見つかるが、その選択肢は極めて限られている。そんななかで筆者が今、手頃な価格でドレスウォッチを購入するなら、間違いなく現行の時計ではなくヴィンテージウォッチから選ぶ。ヴィンテージならブランドやコンディション次第で狭義のドレスウォッチも選択肢がいくつも挙がるし、それこそ前述のように条件を少し広げればその自由度は格段に増すからだ。なお、今回ドレスウォッチを選ぶ際の最低限の条件として、薄型の2針または3針(付加機能はギリギリでデイト表示)であること、そしてブレスレットではなくレザーストラップタイプの時計とした。この条件を満たす数多くの選択肢のなかでも筆者が特に注目しているのが、ユニバーサル・ジュネーブの“シャドウ”シリーズだ。

1970年代製のホワイトシャドウ “ウルトラスリム”表記入り Ref.866101。現在は売り切れているが販売価格は1600ドル(日本円で約24万1000円)。画像はHODINKEE Shopより転載

 ユニバーサル・ジュネーブと言えば、多彩な機能を備えたクロノグラフを展開した“コンパックス”シリーズや、スカンジナビア航空のアメリカ便就航を記念してリリースされたポーラールーター(のちのポールルーター)などがよく知られている。特にポーラールーターは若かりしジェラルド・ジェンタがケースデザインを手がけたことでディープな時計好きのあいだでは評価が高い(この時計に興味がある方はこちらの記事をぜひ読んでみて欲しい)が、1960年代に登場した“シャドウ”シリーズもまたジェンタがデザインを手がけた名品だ。

  “シャドウ”シリーズは、マイクロロータームーブメントを採用した極薄ドレスウォッチとして発表された。それぞれケース素材でモデル名が異なり、金無垢のゴールデンシャドウ、金張りのギルトシャドウ、そして SSケースのホワイトシャドウを展開した(デイトの有無で厚みは若干異なるが、いずれも6.5mm〜8mmのあいだに収まる)。ブランドのほかの名品に引けを取らない“シャドウ”シリーズだが、現在の市場ではそれほど注目はされておらず、状態のいい金無垢のゴールデンシャドウでも50万円以下で手に取ることができるし、SSケースのホワイトシャドウに至ってはコンディションによるところも大きいが、1桁万円から探すこともできる。フォーマルなシーンでしかつけないから費用を抑えたい、あるいは逆に手頃な価格だからこそ毎日のようにつけたいなど、選ぶ理由は人それぞれだが、いずれにせよ、ドレスウォッチを身近なものにしてくれる選択肢のひとつとなってくれることは間違いないだろう。

価格: 約10万〜50万円程度(執筆時の相場)。仕様や状態によって異なる。


松本 由紀、アシスタント エディター

ロンジン コンクエスト ヘリテージ

私は差し色にゴールドをあしらったモデルが好きだ。ただ金無垢モデルになると、純粋に手が届かないというのもあるがモデルによってギラつき感を感じてしまう。なので今回のドレスウォッチ基準に則ったとき、プラス要素としてインデックスや針にゴールドをあしらったものを選びたいと思った。

 チョイスしたロンジンのコンクエスト ヘリテージはシルバーのサンレイダイヤルに、ゴールドのドーフィン針とくさび形インデックス(ドレスモデルのインデックスにはバーとローマンが好まれるのはわかっている)、翼のついた砂時計のロンジンロゴを組み合わせている。またそのカラーウェイにマッチする、柔らかい色合いのブラウンレザーストラップも素敵だ。

 またドレスウォッチとしては賛否両論あるだろうセンターがやや窪んだダイヤルも、視認性を損ねることなく取り合わせており、個人的には評価したいディテールだ。デザインは、まさに私の理想とするドレスウォッチにピッタリなのだ。

 日付もないシンプルな3針モデルで、ケース径は38mm、厚みは10.8mm、パワーリザーブは約72時間と、取り扱いやすいスペックなのもいい。

 薄型かつシンプルという汎用性の高さはドレスウォッチの優れた点だが、“機能はシンプルに、デザインは派手に”をモットーに生きる私の場合、ドレスウォッチであってもほんの少しの工夫(今回はインデックスとダイヤル)が施された時計を選びたい(ここでピュアなドレスウォッチ主義者に陳謝します)。賛同してくれる方はいるだろうか?

価格: 42万9000円(税込)


牟田神 佑介、エディター

ノモス オリオン 33 デュオ

手に取りやすいプライスのドレスウォッチと聞いたとき、真っ先に思い浮かんだのがノモスのオリオンだった。ノモス自体がそもそもバウハウスの精神を継ぐミニマルウォッチの名手的ブランドではあるのだが、そのなかでもオリオンは特に繊細だ。細く伸びるインデックスに、ミニッツトラックまで届くすらりと長いバトン針を持ち、ふちが柔らかく湾曲するベゼルは薄く、ダイヤル上には“NOMOS Glashütte”のロゴだけがプリントされている。サイズも直径32.8mmから用意されていて小ぶりだが、長く伸びるラグのおかげか、男性の手首の上でもフィット感が損なわれるということもない。このラグも、直線的なものが多いノモスのほかのコレクションと比べて少しだけ内向きになっている。サイズ33のオリオンを実際に使用していた時期があったのだが、クラシックなジャケットなどと合わせた際にはこのラグのわずかな角度が効いてくるように思えた。

 そんなオリオンには、デュオと名付けられた2針モデルも存在する。象徴的な6時位置のスモールセコンドが取り払われたことでより洗練され、エレガントさが増しているように見える。また、インデックスと針にはイエローゴールドがあしらわれた。ライトベージュのベロアレザーストラップとの組み合わせでは柔和な印象だが、これをノモスではおなじみのブラックコードバンのストラップに付け替えればグッとメリハリが効いた華やかな印象になるはずだ。搭載しているのは、薄型の手巻き式自社製ムーブメントであるアルファ2。これによってケースの厚みは7.6mmにまで抑えられている。

 ケースは小ぶりかつ薄く、ダイヤルにはバーインデックスを備え、デイトもない端正な2針表示の時計だ。古典的なドレスウォッチの定義はひととおり押さえている。しかも、高精度な自社製造のムーブメントまで搭載してこの価格である。ドレスウォッチではあるが、ノモスらしい華美すぎないデザインが好き、という僕の気持ちに共感してくれる人がいたらぜひ検討してみて欲しい。

価格: 27万5000円(税込)


和田 将治、Webプロデューサー/エディター

グランドセイコー 初代グランドセイコー“ファースト”(ヴィンテージ)

ライフスタイルが多様化する現代では、ドレスウォッチの幅が広くなっていくように感じますが、個人的に絶対に外せないのは「薄型のラウンドケース」を備えた「2針(または3針)」であること。フォーマルなシーンで袖口にすっぽりと収まり、クロノグラフなどの複雑機構がつかないというのが個人的には絶対条件なのです。

 僕がおすすめするドレスウォッチは、“ファースト”の愛称で知られるグランドセイコーの初代モデルです。1960年、スイス製時計が世界の高級時計市場を席巻していた時代に国内で蓄積された時計製造のノウハウを生かし「国産最高級の腕時計をつくる」という野心的なプロジェクトの結果として誕生したグランドセイコー。その初代モデルは、1960年から約3年間の製造でしたが、探せば今でもつけることができる個体を十分に見つけることができます。確かに初代グランドセイコーは2011年、2017年に復刻されており、60周年の2020年からはレギュラーモデルにもラインナップされ、限定モデルもいくつか登場しています。今回の50万円以下という条件で考えるといずれも予算オーバーですが、オリジナルモデルならまだ選択肢があるのです。

 ケースは直径35mm、厚さ9.7mmの14Kの金張りで、ダイヤルには多面カットの時分針、そして力強い立体的なインデックスが配されていて、控えめながらも存在感を放ちます。12時位置のフラクトゥール(ドイツ文字)の“Grand Seiko”ロゴは、世代によってプリント、彫り、アプライドと変遷があり、小さな部分ですが時計の印象を左右する大きな要素です。手に取って見比べてみるのも楽しいです。ムーブメントは手巻き式のCal.3180。当時はスイスのクロノメーター基準に匹敵する独自の厳しい品質検定を経て、合格した製品にのみ付与される精度証明書と共に販売されました。現代のグランドセイコーも独自のグランドセイコー規格がありますが、最初のモデルからあったというのは興味深いですね。

 ファーストモデルは、現代のグランドセイコーのウォッチメイキングにもつながるものであるだけでなく、日本の時計産業におけるマイルストーン的なとても重要な存在です。ここぞという時に袖元を飾ってくれるドレスウォッチとして、僕にとってはパーフェクトなもののひとつです。

価格: 約30万~50万円程度、仕様、状態によっては約100万円のものも(執筆時の相場)