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Hands-On モンタ、トライアンフへの別れを惜しみグリーンに染める

アースカラーで統一された、限定フィールドウォッチ。


Photos by James Stacey

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2017年に発表されたトライアンフは、モンタ(Monta)がクラシカルなフィールドウォッチをアレンジしたモデルで、このたびミリタリーにインスパイアされたオリーブグリーンのダイヤルを採用した限定モデルを発表した。モンタのこだわりが詰まったスペック、人間工学、仕上げに裏打ちされた使い勝手のよさが魅力のこのミリタリーグリーンのモデルはこのシリーズの最後を飾るものであり、個性的なカラーリングと超(超)限定生産という今作の持ち味を最大限に主張している。

The monta Triumph

 現在のモンタ トライアンフは幅が38.5mm、ラグからラグまでの長さが47mm、厚さはわずか9.7mmのSS製フィールドウォッチである。フロントとケースバックにサファイアクリスタルを配し、150mの防水性能と時刻・日付表示を備えている。GMTを搭載した同社のアトラスが持つスポーティな要素と、ノーブルの素朴で実用的な要素を巧みに融合させたトライアンフは、機能、サイズ、スタイリング、そして価格においてミドルゾーンのまさに理想的なポジションにいる。

 モンタでは、ブラックダイヤルとシルバーグレーダイヤルの2種類のトライアンフも用意している。どちらにも赤い文字で“Triumph”のモデル名が入っているが、それ以外はミリタリーグリーンのトライアンフとメカニズム的には同様だ。この限定モデルの発表後、モンタはシルバーとブラックのモデルの再入荷はないと伝えており、ブラック、シルバー、そしてこの新しいグリーンのいずれが欲しいにせよ、トライアンフを手に入れるチャンスはブランドが次世代モデルを発表するまで(2年以内に登場すると発表している)はこれが最後となる。

The monta Triumph

 また、僕がトライアンフのミリタリーグリーンが超限定的だと述べたのは、モンタがこのバージョンを95本、2桁台までしか生産しないからだ。またモンタの黎明期を覚えている人は、これが最初のグリーントライアンフではないことを知っているだろう。同モデルでは2017年に、サンバーストグリーンのダイヤルバージョンが発表されている。

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 今作で、モンタはラッカー仕上げの温かみのあるオリーブグリーンを選択した。このカラーはかなりブラウンがかったイエローで、仕上げは完全なマット仕上げではなく、むしろ少しガラスっぽい(ラッカーの効果だ)。僕は、モンタがこの時計のためにほかの色を追加せず、ダイヤルデザインにホワイトメタルとホワイトペイントを選んだことは賢明だったと思う。

The monta Triumph

 12・3・9時の主要なインデックスには大型で光り輝くアプライドインデックスが採用されており、ホワイトメタルの縁取りで整然と囲まれた6時位置のデイト表示とマッチしている。大きめの針に対してインデックスは程よい重厚さがあり、視認性は抜群で、暗闇のなかで役立つ夜光塗料もしっかりと塗布されている。

 このトライアンフを身につけてしばらくすると、ケース、ブレスレット、ダイヤルの仕上げがだいぶ手の込んだものであるのに対し、ダイヤルの表示自体は画一的かつ機能的であることに気がづいてとても気に入った。フィールドウォッチという形式上、このようなレイヤリングはやや珍しく感じられるが、ヴィンテージのドレスウォッチに見られるような独特のミッドセンチュリー感がある。確かにスポーティだが、同時に少し洒落てもいる。

The monta Triumph
The monta Triumph
The monta Triumph

 その仕上げは、グリーンダイヤルとどのように調和するかという点を超えて注目に値する。モンタを実際に手にとって見たことがある人なら、いわゆるマイクロブランドの標準的な価格帯よりも高い金額を支払うことで、あらゆる面でデザイン的に考慮された時計が手に入ることを知っているはずだ。ベゼルの表面は放射状にサテン仕上げが、エッジ部分にはポリッシュ仕上げが施されている。同様にブレスレットは美しい(そしてフィールドウォッチにふさわしい)サテン仕上げだが、面取りされたエッジにはポリッシュがかけられている。ブレスレットがラグと接する部分をよく観察してみると、そこにもポリッシュが見られる。

 さらに12・3・9時のマーカーがダイヤルを囲む見返しに切り込まれているなどより細かい要素を加えると、ハミルトンのカーキ フィールド オート(デイト表示と38mm径ケースを備えているが厚さは11.5mm)のような既知モデルの2倍以上の価格を支払うのだとしても、フィールドウォッチとして期待されているよりもはるかに充実し、細部まで考え抜かれたどこかエレガントな仕上がりになっていると言える。

The monta Triumph

 トライアンフのケースの厚みについて話をするならば、薄いムーブメントなくして薄い時計は存在しない。今作ではムーブメントに、ETA2892のセリタ製クローンであるSW300にモンタ独自の装飾を施したCal.M-22を採用している。

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 幅広い価格帯の時計に自社製ムーブメントが採用され続けている一方で、Cal.SW300(コーアクシャル以前にオメガがCal.1120のベースとして使用していたCal.2892も同様)に僕が苦言を呈することはないだろう。Cal.SW300は、56時間のパワーリザーブにハック機能、手巻き機能を備えた2万8800振動/時で駆動するスイス製自動巻きムーブメントである。Cal.SW300の厚さはわずか3.6mmで、これによりトライアンフの厚さを10mm未満に抑えている。

The monta Triumph
The monta Triumph

 ケース、ムーブメント、ブレスレットなど総合的に見て、トライアンフは実に美しく腕になじむ。薄型でバランスがよく、太陽がポリッシュされたエッジを捉えたときにだけ光り輝く。ブレスレットは僕がこれまで体験してきたほかのモンタのものと同様、この価格帯で一般的に見られるものより優れているとともに、片側ねじ込み式のソリッドエンドリンクに加え、打ち抜きのSS製クラスプに工具不要の微調整機能を組み込むなど一線を画したものとなっている。

 ベゼルやプッシュボタンがないため、ブレスレットはトライアンフの主要なタッチポイントのひとつとなっている。これは、この時計をこの値段設定に見合うものとするための大きな心理的要素だ。さらにねじ込み式リューズは見事に仕上げられ、強度と使いやすさを兼ね備えている。フィット感、仕上げ、そして全般的な出来栄えにおいて、トライアンフに不満な点は見当たらない。そしてこのグリーンは、退屈に感じられるほど有能な時計に歓迎すべき個性を添えている(これはOP、アクアテラ、レンジャー、あるいは数多のグランドセイコーなど、フィールドに連なるあらゆる時計について僕が感じていることであり、モンタを非難しているわけではまったくない)。

 このグリーンのトライアンフと残り2本の兄弟モデルは、モンタから定価1700ドル(日本円で約24万5000円)で販売されている(グリーンは現在予約受付中で、今月からデリバリーが開始される)。このトライアンフは(わずかに違いはあるが)モンタのエントリーモデルであり、非常にオーソドックスな時計でありながら、マニアックなおもしろさを提供できるブランドの魅力を示す好例だと思う。

The monta Triumph

 確かにモンタというブランドを知らなかったり、あるいはハミルトンのように1000ドルほど安く買えるものとトライアンフを単純に比較するのであれば、1700ドルは難しい値段かもしれない。しかし、70ドル(日本円で約1万円)のSNK セイコー 5スポーツから3万9000ドル(日本円で約562万円)のパテック(そしてそれらの狭間にあるものすべて)に至るまで、さまざまな分野の時計に触れてきた僕の経験からすると、モンタはその価格帯に見合ったものであると感じる。

 その価格を踏まえれば、モンタのトライアンフはフィールドウォッチという比較的単純なコンセプトを並外れた仕上げに薄型で堅牢なムーブメント、優れたブレスレット、そして幅広い手首にフィットするプロポーションにより昇華したモデルと言える。グリーン、ブラック、シルバーのどれを選んでも、このクラシックなフィールドウォッチのフォルムを巧みに表現したモデルに間違いはないだろう。

詳しくはモンタのウェブサイトをご覧ください。