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Editors' Picks 2021年新作時計のなかから編集部のお気に入りをご紹介

今年は時計にとってよい一年でした。どれが我々の心に残ったのか、ご覧ください。

今年もたくさんの時計を見ることができました。正確な数字はわかりませんが、デジタル開催の展示会、対面イベント、そしてオフィスでのハンズオンで、私たちは膨大な数の時計を眺め、手に取り、試しました。多くのお気に入りの時計があり、さらに気に入った時計のなかから厳選したいくつかの特別な時計をご紹介したいと思います。日米のHODINKEE編集部が選ぶ2021年のベストウォッチたちはこちら!

ヴァシュロン・コンスタンタン オーヴァーシーズ・デュアルタイム・エベレスト
A Vacheron Constantin watch

 この時計はつまり......最高峰ブランドが送り出すスポーティなチタン製GMTなのだ。2021年の僕のお気に入り時計であることに驚かれただろうか? 美しいブルーとオレンジのカラーリングと、素晴らしい写真家であるコーリー・リチャーズ氏とのつながりを特徴とするこの限定モデルは、伝統的でエレガントなヴァシュロン・コンスタンタンの新たな一歩となる時計だ。僕は、こうしたやり方の大ファンだ。既成概念にとらわれず、かつブランドのコアコンピタンスを裏切ったり、インスピレーションの欠いたものと感じない。共通デザインのクロノグラフと一緒に作られたオーヴァーシーズ・デュアルタイム・エベレストは、2019年にコーリー・リチャーズ氏とエステバン“トーポ”メナ氏による大胆なエベレスト登頂のために同社が作ったワンオフの製品版モデルだ。その時計はのちにオークションで落札され(凄すぎる)、ヴァシュロン・コンスタンタンはその後、このGMT搭載モデルを150本だけ製作したのだった。僕はコーリー氏の大ファンで、オーヴァーシーズコレクションも、GMTも大好きなので、今年のベストを選ぶのはそれほど難しくはなかった。- ジェームズ・ステイシー

価格: 371万8000円(税込)
詳細は、ヴァシュロン・コンスタンタン公式サイトへ。

ロレックス エクスプローラー Ref. 124273
Rolex Two-Tone Explorer watch

 2021年の最初の「インターネットブレイカー」、つまりネットをお祭り騒ぎにした時計。それは、ブロンズのチューダー ブラックベイレインボーのロイヤル オーク 34mm、そしてティファニーのノーチラスが登場する前に現れた、この36mmでツートンのロレックスだ。文字通り時計界を狂わせたモデルだ。好みは分かれるかもしれないが、エキサイティングなリリースだったし、この時計こそ王冠を授けるにふさわしいと思う。 - トレバー・ギルランド

価格: 120万1200円(税込)
詳細は、ロレックス公式サイトへ。

カルティエ タンク マスト
Green Cartier Tank Must watch

 タンクについて、これ以上語るべきことはないでしょう。グリーン、ブルー、レッド、そしてミニマルなダイヤル。アイコニックなデザインを一新したこのモデルは、今年一年、私を虜にしました。カルティエのタンクといえば長方形ですがこのタンクもそれ以外の何者でもなく、私はそれが大好きなのです。小さな時計は、認めるかどうかは別として、クラシックなかっこよさがあります。そして、新鮮で大胆な色彩のキング・オブ・クール、文字盤に何もない状態ほどクールなものはないのです。どうせ、時間を知るためにカルティエを身につけるわけではないのですから。 - ジョナサン・マクウォーター

価格: 33万9900円(税込)
詳細は、カルティエ公式サイトへ。

グランドセイコー SLGH005
A Grand Seiko "White Birch" watch on a black background

 私はどんなものでも一番のお気に入りというのを選ぶのがとてつもなく苦手だ。多くの時計があり、多くのことをやってのけているモデルがあり、反論の余地のない真のお気に入りを選ぶのはできないのだ。今年、私のコレクションに加わった時計のなかから選ぶとしたら、HODINKEEのウニマティック モデロ ウノU1-HGMT限定エディションだ。でも、バリューで選ぶなら? チューダー ブラックベイ セラミックがそうだろう。一番魅力的なものなら? ハマティック・ヴィンテージ シルバーフリクションダイヤルが頭から離れない。ショパールのアルパイン イーグル ケイデンス 8HFやベルナルド・レデラーのセントラル インパルス クロノメーターの仕組みはまだよくわかっていないが、その技術力の高さに興味をそそられる。

 では、最もヘビーな "聖杯 "は? ヴァシュロン・コンスタンタンのトラディショナル・スプリットセコンド・クロノグラフ・エクストラフラットパテック フィリップのアニュアルカレンダー・クロノグラフ 5905/1Aグルーベル・フォルセイ バランシィエS2の3本柱が、私のなかでは同格と言える。しかし、これらの属性のほとんどを合わせると、私にとっての明確な答えはただひとつ、グランドセイコー ヘリテージコレクション "白樺" SLGH005になる。文字盤装飾と新開発のデュアルインパルス脱進機の組み合わせは、信じられないほど魅力的で、技術的にも非常にそそられる時計だ。また、税抜で100万円以下という価格帯でありながら、十分な価値を備えている。以上のことから、38mm、ステンレススティール、エル・プリメロCal.3600を搭載したゼニス クロノマスター オリジナルが、私のなかで僅差の2位となった。 - ローガン・ベイカー

価格: 104万5000円(税込)
詳細は、グランドセイコー公式サイトへ。

セイコー プロスペックス SBDC141
Seiko SPB239 Watch

 この時計は、特定の属性において2021年のベストなのだろうか? おそらく、そうではないだろう。しかし、時には、"ただ見て "みることほど、シンプルなこともあるのだ。このセイコー プロスペックス SBDC141は、素晴らしいサイズと外観を持ち合わせた時計なのだ。ジェームズがセイコーのダイバーズをクールにつこなしているのを見るたびに、ちょっと嫉妬してしまうのは彼には内緒だ。この時計はそれを解消してくれる時計だろう。 - ウィル・ホロウェイ

価格: 13万7500円(税込)
詳細は、セイコー プロスペックス公式サイトへ。

カルティエ プリヴェ クロシュ ドゥ カルティエ
Cartier Cloche watch on a mustard background

 このカルティエ プリヴェ クロシュ ドゥ カルティエを、初めて撮影したときから、正直言って気に入っていました。私自身がつけることを想定して、タトゥーのある人をモデルに撮影することにしたくらい。私にとってはケーキの上のアイシングのようなものです。👌🏾 - ティファニー・ウェイド

価格: 320万7600円(税込)
詳細は、カルティエ公式サイトへ。

オーデマ ピゲ ロイヤル オークブラックセラミック 34mm
Audemars Piguet watch on a black background

 私はクールで知る人ぞ知るちょっと変わった時計を選びたいと思っている。でもそれは無理だった。なぜなら、このブラックセラミックのAPは完璧すぎるから。シックでスポーティ、そして贅沢でいてミニマル。キラキラをどれだけ楽しんでいたか、記事「オーデマ ピゲ ロイヤル オーク 常識を覆した34mmブラックセラミックモデルを1週間レビュー」で見てみて欲しい。今年、私の目を引いた奇妙な時計はたくさんあったけど、これを選ばざるを得なかった。レディー・ガガとブラッドリー・クーパーが一緒になったようなデザインで、見ていてまったく飽きないのだ。 - ノラ・テイラー

価格: 533万5000円(税込)
詳細は、オーデマ ピゲ公式サイトへ。

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チューダー ブラックベイ フィフティ-エイト ブロンズ
A Tudor Bronze Black Bay watch

 なぜチューダーはブラックベイ フィフティ-エイトをブロンズで作ったのだろうか? それが可能だから。ホワイトゴールド、イエローゴールド、ローズゴールドとも違うし、ほかの人が身につけるものとも違うからである。ストラップでもブレスレットでも、同じように美しく見え、デイリーユースに最適なサイズでありながら、時刻を確認するたびに意外性まで感じられる。もし合理的な世界だったなら、この時計は存在しないだろう。存在すること自体が喜びなのだ。 - ニック・マリノ

価格: 49万600円(税込)
詳細は、チューダー公式サイトへ。

オメガ シーマスター 300
Omega Seamaster 300 on a multicolored background

 2021年のお気に入りの時計を選ぼうとすると、いろいろなところに頭が行ってしまう。なぜなら、今年発売されたすべての時計を実際に見たわけではないからだ。そして、それなしに時計を判断しないというのが私の確固たるルールなのだ。そこで、私が実際に触れた時計のハンズオン記事を読み返し、記憶をたどることから始めた。そして、今年の初めに発売されたオメガ シーマスター 300に行き着いた。正直なところ、もうはるか昔のことのように思える。この時計のインパクトという波は、より多くの時計が発売されるにつれて忘れ去られてしまっていた。この時計は、既存ラインに漸進的な変化をもたらし、その結果よりよく仕上げられているため、今年最も気に入った時計だ。エキサイティングな時計なのだろうか? ノー、むしろもう定番だ。すぐに思い浮かばなかったのもそれが理由だ。手首につけた瞬間、外したくなくなる時計なのだ。ヴィンテージの美学と、METAS認証を受けた最新のコーアクシャルムーブメントの組み合わせは、見ていて飽きない。個人的には、マーカーのオールドスクールなサンドイッチスタイル、一行だけのレトロなテキスト、アルミニウム製のベゼルインサートに対して好相性なマットダイヤルが気に入っている。この時計は誇大広告ではなく、私のお気に入りだ。 - ダニー・ミルトン

価格: 72万6000円(税込)
詳細は、オメガ公式サイトへ。

カルティエ タンク サントレ 100周年限定モデル
A Cartier Tank Cintree watch

 こちらはギリギリ2021年に入っている時計だ。今年の1月、年が明けて12日めに取り上げたものなので、フェアプレーということで、選んだ。今年一年を振り返っても、この時計以上に自分の腕につけたいと思う時計はなかった。カルティエの時計であること、クラシックなデザインであること、そして同時にほかの時計とはまったく違うものであることなど、私にとっての条件をすべて満たしている。パリジェンヌがエッフェル塔を、ニューヨーカーがエンパイアステートビルを見るように、サントレは長いあいだ(といっても100年)存在しているため、その存在に気づくことはない。しかし、たまには一歩下がって、サントレがその時代にどんな革命を起こし、いかに簡単にそれが制度となったかを評価する価値があると思う。100年後の自分も、こんなふうに素敵になるはずだ。 - ジャック・フォースター

価格: 348万4800円(税込)
詳細は、カルティエ公式サイトへ。

ブルガリ オクト フィニッシモ パーペチュアル カレンダー
Bulgari Octo Finissimo watch

 2021年は素晴らしい時計、ニュースになる時計がたくさんあったので、ブルガリ オクト フィニッシモ パーペチュアル カレンダーが上半期にまたもや薄さの世界記録を更新したことをお忘れかも知れない。しかし、それは単なる記録ではない。オーデマ ピゲが、GPHGで優勝した永久カレンダーで最近打ち立てた記録だ。ブルガリの最新の超薄型は、単に機械式時計製造の素晴らしい成果であるだけでなく、美しいデザインのハイコンプリケーションであり、チタン製のオクト フィニッシモの特徴である単色のシンプルさを、すべての表示を搭載しても維持することに成功している。 - ジョン・ビューズ

価格: 683万1000円(税込)
詳細は、ブルガリ公式サイトへ。

オリス アクイスデイト チェリーレッド
Oris Cherry Aquis watch on a black background

 私がこのアクイスデイト チェリーレッドを選んだのは、装着感や見た目に引かれたからではない。そうではなく、ここ数年、私たちが生きてきた「未曾有の時代」を象徴する時計だから選んだのだ。これはオリスの製品サイクルプランの一部ではなく、パンデミック以前は話題にすら上らなかったものだ。オリスが素早く行動し、大抵のブランドが十分に行わないこと、つまり時計を購入する人々が何を望んでいるかを聞いただけなのだ。誰もが屋内から出られない時期にコレクターとのZoomミーティングを開催し、同社の北米CEOV.J.ジェロニモ氏が何を作ってほしいかをコレクターに尋ねた。それが2020年3月のことである。そして2021年2月、コミュニティが本質的にデザインした時計がこのアクイスデイト チェリーレッドとして登場したのだ。この時計には、最近の2年間が凝縮されている。この特別な時代にしか生まれなかったものだ。 - コール・ペニントン

価格: 26万4000円(税込)
詳細は、オリス公式サイトへ。

オーデマ ピゲ ロイヤル オーク オフショア ダイバー

 2021年新作のなかで僕が最もわくわくしたお気に入りの時計は、オーデマ ピゲのロイヤル オーク オフショア ダイバー15720STです。2010年に登場した先代モデルのデザインを正当進化させた新作は、デザイン面と技術面において、細かなものから大きなものまでいくつものアップデートが加えられています。

 僕がベストに選んだのは、新開発のクイックチェンジ機構が最大の理由です。2本の短い中間ラグの裏側に完全に一体化されているためデザイン性を損わず、またボタンをワンプッシュするだけで取り外せて非常に簡単。さらにこれだけでなく、本機ではピンバックルまで対応しています。最近はさまざまなブランドが工具なしでブレスレットやストラップを交換できる同様の機構を採用していますが、バックルまでというケースはほとんどありません。着用者の使い勝手を徹底的に考え抜いて作られたストラップを見て、自分のロイヤル オークにもあったならと想像している方は僕だけでないはず。来年はロイヤル オークが50周年を迎える年、大きなニュースが期待できそうですね。 - 和田将治

価格: 280万5000円(税込)
詳細は、オーデマ ピゲ公式サイトへ。

チューダー ペラゴス FXD Ref. 25707B

 かつて試作品として製作され、市販されることのなかったブローバのMIL-SHIPS-W-2181復刻版とどちらをおすすめするか悩んだが、筆者が2021年で最も気になった時計はチューダーのペラゴス FXD Ref. 25707Bだ。本作はフランス海軍とのコラボレーションモデルによって生まれたモデルだが、名ばかりのコラボレーションではないのが魅力だ。フランス海軍特殊部隊との共同開発により誕生した時計で、モデル名にもある“FXD”とは“FIXED”の略。かつての軍用モデルと同様、固定式ストラップバー(はめ殺しのラグ)を採用するほか、通常のペラゴス(Ref.25600TB)とは異なる独自の仕様を備えている。詳細はジェームズ・ステイシーがレポートしているので、ぜひご覧いただきたい。

 引かれた理由は、まず第一に「まさかこの時計が現行の時計としてよみがえるとは思わなかった」という純粋な驚きからだ。これはブローバのMIL-SHIPS-W-2181復刻版にも言えることで、そこが悩んだポイントでもある。だが、なかでもペラゴス FXD Ref. 25707Bをおすすめとして挙げたのは、通常のペラゴスとは一線を画す作り込みを備えていたからだ。はめ殺しのラグだけでなく、60分目盛りを持つ両方向回転式のカウントダウン表示ベゼルはフランス海軍の用途に適しているとの判断から、そして視認性を追求したからだろう。日付表示はなく、文字盤外周の見返し部分も通常よりも厚みの少ないものに変更されており、針のクリアランスも驚くほど詰めてセッティングされている。これほどまでに通常モデルとディテールを変更してくるとは思ってもみなかった。加えて外装はチタンだ。極めて軽くつけ心地がよかったこともおすすめしたい大きな理由のひとつである。

 時計そのものが魅力的であることは言うまでもないが、ミリタリーテイストが今の自分の好みに合っているということも理由だ。最近は相棒のスピ⁠ードマスタ⁠ー 60周年リミテ⁠ッド エデ⁠ィ⁠シ⁠ョン 1957 トリロジーをブレスレットからMNストラップに交換しているし、最近気になって購入している洋服は、専ら古着の軍放出品か軍装品のレプリカばかり。ミリタリーアイテムは少々ラフに扱っても安心できる耐久性の高さがあり、ぜひ皆さんにもおすすめしたいと思った次第である。- 佐藤杏輔

価格: 44万3300円(税込)
詳細は、チューダー公式サイトへ。

キングセイコー セイコー創業140周年記念 KSK復刻限定モデル

 2021年、セイコーは創業140周年を迎えたことで数多くの限定モデルたちを発表した。グランドセイコー以外の限定モデルは、かなり数が多い印象があり限定と謳いつつも割と手に入れられる印象があったが、今年のセイコーはひと味違った。なかでも、年初に発売されたキングセイコーの復刻モデルは現代的なマーケティングとブランドのアイデンティティのせめぎ合いのなかで、よくもあれだけ仕上げたものだと感動した感覚が今でも残っている。

 近年、独立化以降のGSは価格を切り上げたことで(それでも舶来物からすれば、まだ割安に買えると言えるが)ぽっかりとセイコー製機械式時計のボリュームゾーンが空いてしまった。僕のような庶民からすれば、50万円も出さずに手にできる機械式時計の存在はリアルなワクワクを生むものであり、このキングセイコーはそれを見事に実現している。この時計がGSほど仕上げられておらず、プレミアム感も意図的に抑えられているのは事実だが、キングセイコー第二章の幕開けかもしれない1本(レギュラー化をみんな待ち望んでいるでしょう?)は、単なる復刻以上の価値があるのは間違いない。-関口 優

価格:35万円(税込)
詳細は、セイコー公式サイトへ。

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