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Introducing H.モーザー ベンチャー ベンタブラックに黒針が登場(編集部撮りおろし)

モーザーが新たに発売した、世界で最も黒い文字盤をもつトリオ・ベンチャー。

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常にユニークな切り口を追い求めるH.モーザーが、3つの新型を発売した。その文字盤は、「人工的に作り出されたものとしては最も黒いブラック」といわれるベンタブラックでできている。ブランド名もインデックスすらもない極めて黒いこの文字盤は、敢えて言わせてもらえば、時を表示することさえ二の次であり、加えてダークトーンの針があしらわれている。これら新型モデルのベンタブラック ブラックハンズでH.モーザーは、時のステルスモードのようなものを追い求めたのだと思う。

 今回の3モデルは、39mmホワイトゴールドケースの「ベンチャー・コンセプトWG(上の写真)」、43mmSSケースの「ベンチャー・コンセプトXL ベンタブラック」、そしてDLCコーティングを施した42mmSSケースの50本限定「エンデバー・トゥールビヨン」である。僕たちは39㎜のWGモデルを撮影する機会に恵まれたが、これは非常に、というか、この上なく黒いと保証できる。モーザーは自社中古モデルのオンライン販売プラットフォームを整備し、そこから新たなeコマースプラットフォームへと拡張させたが、そこでベンタブラックモデルも公開している。

 興味ある方のために説明しておくと、ベンタブラックという名称は「ブラック」にvanta-という接頭語を付けたもの。そしてvantaは、「Vertically Aligned Nanotube Arrays(縦に並べたナノチューブの列)」の頭文字をとっており、2014年にサリー・ナノシステムズが開発したものだ。基本的にこの素材は、縦に並んだ顕微鏡レベルのカーボンナノチューブの森のようなものだ。列に光が当たると、光は跳ね返ることなくチューブ内で散乱し、やがて熱として吸収されてしまう。これまでにも時計に使われており(そしてアーティストのアニッシュ・カプーアがアート作品への使用の独占的権利を取得したことで批判されている)、科学や軍用技術への適用にも無数の可能性を秘めている。

 発売された3機のうちこの小さ目なWGモデルは実に際立っており、日常使いに申し分ない小型サイズでありながら、ベンタブラック素材の効果を十分に伝えている。99.965%の光を吸収するため、反射光は文字盤を覆うクリスタルのみに残り、角度を傾ければ針の色がより濃くなる。僕は昨年のバーゼルワールドでベンタブラックの初期の試作品を目にしたが、その効果はこれまでに出会ったことのないものだった。ベンタブラックの商業的応用についていえば、革新と話題造りの間を行ったり来たりしているが(ベンタブラック BMW X6をご覧になっただろうか)、H.モーザーの出来は抑制が効いていて非常に効果的であるといえ、文字盤に全てを語らせていると思う。このモデルのどれかひとつでも直に見れば、思わず笑みをこぼしながら文字盤に驚嘆せずにはいられないだろう。愚かに聞こえるだろうが、実にとても黒いのだ。

左から、39㎜ ベンチャー・コンセプト WG(WGケース)、42㎜ エンデバー・トゥールビヨン(SSケース)、43㎜ ベンチャー・コンセプト XL(SSケース)。

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 厚みはわずか11.7㎜で、H.モーザーの自社製手巻きムーブメントHMC 327を使用している本機は、3日間のパワーリザーブがあり、2.5Hz(1万8000振動/時)で動き、パワーリザーブ表示がシースルーケースバックを通して見える。 

 モーザーの直販価格は、43㎜のSS製ベンチャー XLが290万円(税抜)、上写真の39㎜WGモデルが295万円(税抜)、限定版のSS製エンデバー・トゥールビヨンが840万円(税抜)だ。確かに、新しく採用した特別な文字盤以外に新たなものはあまりないが、モーザーは自社ブランドの美学に上手くマッチするユニークな効果を生み出したのであり、予備知識を与えられていない方が幸運にもこのベンタブラックを直に見る機会に恵まれたなら、間違いなく驚愕されることだろう。

 さらにお知りになりたい方は、H.モーザー公式サイトへ。

ベンチャー・コンセプト ベンタブラック ブラックハンズ WG:18KWGケース、39mm x 11mm、表も裏もサファイアクリスタル。ブラックのリーフ針が付いたベンタブラック製文字盤。ムーブメント:手巻きの自社製キャリバー HMC 327、32.0mm x 4.5㎜、2.5Hz(1万8000振動/時)、29石、3日間のパワーリザーブ、シュトラウマン製ヒゲゼンマイを使った自社製テンプ。18KWGのピンバックル付きブラックのアリゲーターレザーストラップ。

 ベンチャー・コンセプト ベンタブラック ブラックハンズ XL:SSケース、43mm x 11.9mm、表も裏もサファイア。ブラックリーフ針のついたベンタブラック製文字盤。ムーブメント:手巻きの自社製キャリバー HMC 327。SS製ピンバックル付きブラックアリゲーターストラップ。

 エンデバー・トゥールビヨン ベンタブラック ブラックハンズ;ブラックのDLCコーティングを施したSS製ケース;42mm x 11.6mm、表も裏もクリスタルサファイア。文字盤:ブラックのリーフ型の時針と分針。ムーブメント:自動巻きの自社製キャリバー HMC 804、32mm x 5.5mm、ブラックのPVDコーティングを施したスケルトン型ブリッジの付いた1分間のフライングトゥールビヨン。ケージ:アルミニウム製のケージホイール、テンプブリッジ、エスケープメントブリッジ。3Hz(2万1600振動/時)。18KRGのローター付き両方向自動巻きシステム。3日間のパワーリザーブ。