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Hands-On オリス ダイバーズ 65 クロノグラフ ヘルシュタイン エディション2020の実機レビュー

フルブロンズという選択。

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ブロンズのダイバーズウォッチには、紛れもなく楽しいものがある。ここ数年オリスは、ブロンズ合金を使って様々な特別なモデルを製造してきた。その多くは、ヴィンテージにインスパイアされたダイバーズ65シリーズだ。最近、その温かみのある色調は、6月に発表されたオリス ダイバーズ 65 クロノグラフ ヘルシュタイン エディション2020で頂点に達した。これまでで最も親しみやすいケースバックを備えている。本質的には、スイスの小さな農業村ヘルシュタインで創業したブランドのルーツを記念して作られた、手首に装着する小さなブロンズ製の彫像である。オリスはこれまでにもブロンズモデルを製作してきたが、今回はケース、ベゼル、ブレスレットの全貌をご紹介する。

 ダイバーズ 65 クロノグラフ ヘルシュタイン エディション2020は、同社初のブロンズウォッチとなった2016年の「カール・ブラシア リミテッドエディション」と、同じく限定でゴージャスなブルーのダイヤルとレザーストラップが特徴だった、2018年の「カール・ブラシア クロノグラフ リミテッドエディション」を踏襲している。どちらも2000本限定だったが、この最新ブロンズモデルの限定本数はわずか250本。数が少なく数ヵ月前に発売されたばかりなのに、なぜこのような時計をわざわざレビューするのかと思われるかもしれない。まぁ...好奇心からだ。

 フルブロンズのパッケージが実際にどのように感じられるのかをより良く理解したい、また、パティーナ(緑青)がどのように見えるのかを見てみたいと思い、オリスに貸し出しをお願いした。ありがたいことに、オリスには貸し出し用のものがあり、まだクリーニングされていなかったため、ここでご覧になっているのは、時計が周囲の空気と化学反応を起こすことで形成される初期段階のパティーナの一例である。

 話を先に進める前に、ブロンズの話をしよう(簡潔にすることをお約束する)。ウィキペディアレベルでご説明すると、ブロンズ(青銅)は、銅を主として、スズとアルミニウム、ニッケルなどを含む他の金属を任意で組み合わせた合金だ。特定の合金組成は、金属の用途によって異なる。多くの時計メーカーがそうであるように、オリスがブロンズを使用する際には、銅と3つの元素で構成される強靭で耐食性に優れた銅スズ合金のCuSn6を選んでいる。CuSn6はオリスの全てのブロンズモデルに使用されている。

 暖かみがあり、レッドゴールドに近い色であることを除いて、ブロンズは、通常ステンレススティールよりも重く、少し硬い。 ブロンズを採用した時計の主な楽しみは、合金が表面酸化しパティーナを形成することだ。パティーナは、ベースとなる合金の特性や時計が着用される環境の詳細など、いくつかの条件に基づいて異なる。外観は常にユニークで、環境によっては他よりもはるかに劇的な結果を得ることができる(興味がある方は、バート氏が人工的なプロセスを使用して数分で様々な結果を意図的に出したFratello Watchesの投稿をチェックして欲しい)。

 バート氏のような自家製のやり方以外では、酸化プロセスには時間がかかるし、一定の環境にさらされる必要がある。しかし、その結果、ここで見るようなものから、オリスの共同CEOであるロルフ・スチューダー氏(左写真)のリストショットのように、色を加え、さらに質感を増したものまで、様々な表現が可能になった。

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 最終的なパティーナ、追加される重量、そしてブロンズがSSとは全く異なる個性を持っていることを考慮すると、他の類似した時計とは全く異なる感覚の時計を手に入れることができる。特にオリス ダイバーズ 65 クロノグラフ ヘルシュタイン エディション2020では、ブレスレットまでブロンズにすることでさらにパワーアップしている。

 直径43mm、全長51mm、厚さ16mm(ドーム型のサファイア風防を含む)のこの時計は、スリムではないし、薄くもなく、また小さくもない。実際かなり大きい。しかし、このサイズはブロンズの重厚感と見事にマッチしており、僕の7インチ(約17cm)の手首に合わせてサイズを調整すると全体の重さは163gになる。小さめのダイバーズウォッチにNATOストラップを着けるような人にとっては、サイズと重量が大きく跳ね上がる。僕は普段小さめのケースが好みだが、ブロンズとパティーナの楽しみには大きなサイズを超えた魅力を感じる。世の中には少し大きい時計もあれば、大きすぎる時計もある。このオリスは前者だ。

 オリス ダイバーズ 65 クロノグラフ ヘルシュタイン エディション2020の紹介記事に掲載された最初の広報画像では、滑らかで金色を基調とした明るい仕上げの時計を示していたが、時間と条件によって、露出したブロンズの表面と同モデルの明るいゴールドのダイヤルとの間に、かなりのコントラストが生まれている。手首の上で少しずつ、ゆっくりと暗くなっていくブロンズとそのままの明るさのダイヤルとのコントラストこそが、本モデルの革新的な魅力だ。

 ブロンズ合金の暖かな色合いを失うこと無く緑青が濃くなっていく様子は、ヘルシュタイン エディション2020に航海を連想させる。気密性の高いケースを覆うドーム型のサファイアクリスタル風防は、初期のブロンズ製ダイビングヘルメットの素材をキャプチャしたかのような、カール・ブラシアの生涯と海軍ダイバーとしてのキャリアに基づいた2000年の映画『ザ・ダイバー』に登場した米国海軍のダイビングヘルメット マークVのようなものだ。

 過去のオリスのブロンズウォッチや、市場に出回っている他の多くのブロンズダイブウォッチと比較して、フルブロンズブレスレットの効果を誇張するのは難しいだろう(ほとんどがフルブロンズではあるが、フォールディングクラスプのヒンジ部分はSS製。ちょうど上の写真のようになっている)。金無垢の時計のブレスレット仕様とストラップ仕様の違いのように、ブレスレットは特別な重厚感を与えてくれる。しっかりとしたエンドリンク、ねじ込み式の構造、プッシュボタン式のクラスプ、そして5段階の微調整ポイントを備えた本ブレスレットは、オリスの典型的なクオリティだが、ダイバーズ65のブレスレットに共通するスタッズは省かれている。

 綺麗に作られていて、厚すぎず、ブロンズのブレスレットをもたない他のブロンズウォッチが不完全に感じられるほど、時計にマッチしている。そして、この時計のラグ幅が21mmであることは考慮しておく必要がある。他のストラップの選択肢を探したい場合は、20mmや22mmのものより少し複雑になるからだ。

 ブロンズであるにも関わらず、ベゼルの回転は軽やかで、またカチッと音がして正確。僕が所有しているダイバーズ65 HODINKEEエディションのそれと同じ感覚だ。リューズはねじ込み式だが、クロノグラフのプッシャーはそうではないものの、防水性能は100mと全く問題ない。ケースバックはソリッドなSS製で、ヴィンテージのダイビングヘルメットの代わりに、オリスベアの可愛らしい肖像画が描かれている。これはブランドのコレクターコミュニティの中で愛されているマスコットであり、このような限定モデルのケースバックに描かれたクマの姿を見ると、同社がこのモデルを誰のために作ったのか想像がつく。そう、オリス愛好家たちだ。

 アプライドマーカー、縦方向の繊細なサテン仕上げ、限られた文字情報、そして力強い視認性を備えたヘルシュタイン エディション2020のダイヤルは、ダークグレーのインダイヤルを搭載しながらも、鮮やかなゴールドのトーンで輝きを放っている。ありがたいことにデイト表示がないため、ダイバーズクロノグラフのダイヤルレイアウトの中でも最もバランスの取れたモデルの1つであり、30分積算計とセンターセコンドを備え、クロノグラフも優れた視認性を発揮。分針は長く、読みやすく、他の表示の中でも見失うことはない。

 同様に、ブルーの夜光は非常に明るいわけではないが、ダイヤルの暖色に対して針とマーカーのコントラストが、暗闇以外のすべてのシチュエーションで強力な視認性を保証している(上の画像参照)。

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 ダイヤル下には、オリスの装飾が施されたセリタ製自動巻きクロノグラフムーブメント、SW510があり、2万8800振動/時で時を刻みながら、48時間のパワーリザーブを備えている。ご期待通り、キビキビと動く、ヘルシュタイン エディション2020のような時計にふさわしい選択だ。

 上記の全ての要素を兼ね備えた本モデルは、大きくて重い時計の中でも特に大げさには感じず、必要以上に分厚くない、非常に良い例だと思う。ブロンズには特別感があり、特に珍しいブレスレットとマッチさせると、より特別で、ロマンチックな印象がある。手首に載せると紅葉を思わせる色の雰囲気が、独特の存在感を醸し出す素晴らしい時計だと思う。

 わずか250本限定のヘルシュタイン エディション2020の価格は51万円(税抜)。参考までにブレスレットをもたないカール・ブラシア クロノグラフ リミテッド・エディションより、3万円低い設定だ。僕はブラシア限定のブルーダイヤルと同じくらいこの時計の見た目が好きである。

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 過去5年間のスポーツウォッチのブロンズ人気を考えると、この時計に競合がいないわけではない。他に候補を考えている人は、ブロンズのIWCのスピットファイアクロノグラフ(76万5000円)、モンブランの1858 モノプッシャークロノグラフ リミテッドエディション(53万4000円)、そしてチューダーのブラックベイ ブロンズ(40万9000円)がある(全て税抜)。これらの強力な比較対象の価格帯はあくまで参考に過ぎないが、どのモデルもブロンズブレスレットが付属しないという共通点はある(しかし公平に見て、3つのモデル全てが、オリスとは違い専用ムーブメントをもっている)。

 大きく個性的で、楽しく珍しいブロンズブレスレットをもつオリス ダイバーズ65 ヘルシュタイン エディション2020。同社におけるヴィンテージテイストのダイバーズ65コレクションに、デザインの柔軟性を示すもう1つの例である。ブロンズには独特の魅力があり、必ずしも3番目に選ばれるような選択肢ではないことを思い出させてくれる。

オリス ダイバーズ65 ヘルシュタイン エディション2020は、ブロンズ製ダイバーズクロノグラフ。ケースは43mm × 51mm ×  16mm。ムーブメントはセリタ製SW510。30分積算計とスモールセコンドをもち、デイト表示は無し。防水性能は100mでケースバックはSS製。価格: 51万円(税抜)。詳細はオリス公式サイトへ。