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Watch Spotting アダム・ドライバーが『ハウス・オブ・グッチ』でジャガー・ルクルト レベルソを着用

そして彼は、希少なパテックのリファレンスも口に出した。

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Father, son, and House of Gucci(父、息子、そしてハウス・オブ・グッチ)

今年は、非公式ながらリドリー・スコットの年となった。『エイリアン』(1979年)、『ブレードランナー』(1982年)、『グラディエーター』(2001年)の監督は、(84歳にして)多作気味で、同じ年に『最後の決闘裁判(The Last Duel)』と『ハウス・オブ・グッチ(House of Gucci)』の2作品を発表している。ひとつは中世イギリスを舞台にした時代劇で、もう一方は1980年代から90年代のイタリアを舞台にしたものである。どちらも豪華なキャストで、まったく違う役柄とはいえ、アダム・ドライバーが出演している。

 今回、映画『ハウス・オブ・グッチ』にフィーチャーするわけだが、ドライバーとレディー・ガガが、それぞれマウリツィオ・グッチとパトリツィア・レッジアーニに扮した画像が公開されると、時計界のみならずファッション界からも注目を集めた。

House of Gucci poster

House of Gucci poster

 豪奢で金持ちかつ、有名なグッチファミリーの人生を描いたこの映画自体も、(恐れ多くも)負けず劣らずのカンペキな出来である。つまり、ドラマ、裏切り、内紛、そして多くの偽イタリア語アクセントが登場する。しかし、それは同時に、多くのブランドのさまざま時計を意味する。劇中では、ドライバー(以前、『マリッジ・ストーリー』に出演した際も、この企画で取り上げた)が、2種類の腕時計を着用するが、どちらもゴールドであるものの形は明らかに異なるものだ。


注目する理由

 この映画はつい最近デジタルで購入できるようになったばかりで、近日中にBlu-Rayでも発売される予定だ。ハリウッドの名優たちによるイタリア訛りのさまざまな表現を映画館で見る機会を逸してしまった皆さん、ついにそのときだ。そして、我々もこの映画と登場する時計への見方を特集するときが来たというわけだ。というのも、このコラムで紹介したいくつかの映画と同様、小道具や衣装部門の制作スタッフは、時計をその時代に合わせることにあまり関心がないように思えたからである。

Driver and Pacino in 'House of Gucci'

マウリツィオとアルド・グッチ(アダム・ドライバーとアル・パチーノ)、手首にそれぞれJLCのレベルソとブレゲ クラシックを装着(『ハウス・オブ・グッチ』にて)。スクリーンショット、MGM

 『ハウス・オブ・グッチ』は、『ゴッドファーザー』(1972年)に情景の念を抱き実写化した映画のように感じられ、マフィアの代わりにファッション界を、そしてマイケル・コルレオーネの代わりにアルド・グッチ(元ブランド会長で創業者グッチオ・グッチの息子)をアル・パチーノが演じたのが、この作品である。(ドライバーとガガが演じる)グッチ(アルドの甥)とレッジャーニの結婚、そして小さなファミリービジネスから上場したファッションコングロマリットへの転身が描かれる。

 さて、時計の話に戻るが、この映画では次のような豪華な時計たちが登場する。パチーノのブレゲ クラシック パワーリザーブ ムーンフェイズ ゴールド(80年代、90年代を背景に着用されていたが、このモデルは2010年代初頭に製造されたもの)、ジェレミー・アイアンズのヴァシュロン・コンスタンタン 金無垢のオーヴァーシーズ(上記の時代に着用されていたものだが、2000年代初頭に製造された最新型のように見える)、などである。ドライバー演じるマウリツィオも同様で、ジャガー・ルクルト(JLC) レベルソ・クラシック・モノフェイスと  ブシュロン エピュールらしきものを着用しているが、どちらもこの時代にはふさわしくないものだ。

Boucheron watch

『ハウス・オブ・グッチ』に登場する「ブシュロン エピュール」。スクリーンショット、MGM

Boucheron watch

『ハウス・オブ・グッチ』でアダム・ドライバーが着用したものと同様のブシュロン エピュール。

 映画の冒頭でブシュロンが登場するのだが(これが映画のエンディングを予感させる)、劇中で最も注目を集めるのはゴールドのレベルソだ。ケース形状が似ているため、カルティエ タンクと間違えやすいが、文字盤を確認できるアップのシーンがいくつかあり、レベルソの特徴であるアラビア数字が見える。

Driver's Reverso

マウリツィオ(ドライバー)とレベルソ(『ハウス・オブ・グッチ』)。スクリーンショット、MGM

 レベルソは、現代において最も魅力的な時計技術の発明がなされたもののひとつだ。小さなレクタンギュラーケースで、控えめなデザインだが、2倍の大きさの時計よりも多くの情報が詰め込まれている。その名の通り時計を裏返すと、表裏で異なる情報を示すリバーシブル仕様でるからだ。ちなみにマウリツィオの時計は、それが簡略化されたもの。モノフェイス という名の由来は、顔がひとつしかないためである。裏返すと、ソリッドケースバックが迎えてくれ、つまり、時刻を表示せずに時計を身につけることができる(バラエティ番組を非表示にできる車載TVのようなものだね)。

JLC Reverso

『ハウス・オブ・グッチ』でマウリツィオ・グッチ役のドライバーが着用した時計と同様のJLC レベルソ。

 マウリツィオは映画のほとんどでこれを着用し、彼のさまざまなオーダーメイドのスーツや、アンダーシャツにも合わせている。もしこれが時代に即した時計だったならば、マウリツィオのようなデザインに明るく先見の明のある人物にとって、完璧な1本となったことだろう(少なくとも彼はそう考えていたはずだ)。この時計は普通の時計とは違う。小さくとも、センスのよさを物語り基本的には何にでも合わせられるのだ。

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 そして、身につけられなかったが、言及だけはされている時計もある。もし深い時計愛好家でなければ、この映画のほんの一瞬で発せられたこの単語は右から左かもしれない。しかし、HODINKEEにとってこの言葉は、ただひとつの話題だ。それはもちろん、ドライバー演じるマウリツィオがパテック フィリップ Ref.2523について触れ、購入の可能性について語るシーンのことである。知らない人のために説明すると、Ref.2523はパテックのヴィンテージ・ワールドタイマーだ。最近ではオークションでしか見ることができないレアな時計である。先日、その1本を取材するだけでなく、フィリップスで実物を見て触る機会があったが、8百万ドル(約9億2000万円)以上で落札された特別な2523ユーラシア文字盤のことだ。言うまでもなく、このキャラクターがその難解な時計学的タイムピースについて話すのはクールだった。どうしてこの話が脚本に登場したのかわからないが、私的には大好物だ。

Patek ref. 2523

昨年フィリップスでオークションに出品されたパテックフィリップ Ref.2523ユーラシア文字盤。

 また、『ハウス・オブ・グッチ』を語る上で、グッチファミリーのパオロ役(この映画におけるフレド・コルレオーネである)を演じたジャレッド・レトの悲劇的な演技は欠かせないだろう。家業を愛するがゆえに、緑と赤の文字盤が特徴的な、クラシックなゴールドのグッチウォッチを身につけて劇中に何度も登場する。他の家族がグッチの時計を身につけていないのは興味深いが、結局のところ、それほど驚くことではない。グッチの時計製造の歴史は、1970年代初頭にファッションウォッチの最初のメーカーのひとつとして、またそうでない場合もあるが、始まった。富、豪華さ、そして派手さにおいて、グッチの守護神がその高級時計を見せびらかすように身につけ、歩く時計広告塔としてパオロが活躍するのは理にかなっていると言えるのではないだろうか。

Paolo Gucci's Gucci watch

『ハウス・オブ・グッチ』で地面に叩きつけられたパオロ・グッチ(ジャレッド・レト)の腕にはゴールドのグッチウォッチが。スクリーンショット、MGM


見るべきシーン

 冒頭のショットは前述の通り、マウリツィオと彼の時計の好みを紹介するものである。彼が街の広場にある小さなカフェのテーブルで時間を確認する様子 [00:01:19] がすぐに映し出され、ダークブラウンのレザーストラップにゴールドのブシュロンが比較的スッと目に飛び込んでくる。この時計は奇妙な選択で、JLCと同様に(時代考証の点から)場違いながら、彼が必ずしも話題や人気の時計ではなく、自分の好きなものを身につけようとするキャラであると示している。また、このような、正直言ってあまり馴染みのないブランドをメジャーな映画で見るのも新鮮だ。

Boucheron watch on wrist

Screengrab, MGM

 映画の中盤、マウリツィオとレッジャーニが自宅の台所にいるシーン。マウリツィオがシャツにアイロンをかけているところで電話が鳴り、パチーノ演じるアルドが、ドライバーを自分の誕生日パーティーに招待する。これは、彼が最終的にファミリーの権利を奪い、グッチのブランドトップに立つための第一歩となる。マウリツィオは渋々ながらも、妻に頼まれ承諾する[00:33:05]。このシーンでは、黒のレザーストラップにゴールドのレベルソが装着されているのが確認できる。

Lady Gaga and Driver and JLC Reverso

Screengrab, MGM

 『ハウス・オブ・グッチ』(アダム・ドライバー、レディー・ガガ主演)は、リドリー・スコット監督、フェデリコ・チオンモが小道具を担当。iTunesまたはAmazonで購入可能だ。

Lead illustration, Andy Gottschalk

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ジャガー・ルクルト レベルソの詳細については、ブランドのウェブサイトをご覧ください。