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今年のWatches & Wondersの主な話題のひとつは、多くのブランドがリリース数を減らし、代わりにひとつまたはふたつのSKUに集中することを選択したという点にある。ランゲの新作オデュッセウス・クロノグラフ、そしてIWCのインヂュニアの復活などは、極端なまでにその傾向を示す顕著な例だ。
月曜日に、我々はジェラルド・ジェンタ(ロイヤル オークとアクアノートの父)が考案した特定のヴィンテージリファレンス(SL)から直接インスピレーションを得た新しいスティール製インヂュニアについての記事を書いた。
理論的には復刻となるが、私が思うに、これらの時計が象徴するのは伝統を完璧に現代的なパッケージに統合する思慮深い方法なのだ。昨年のフェアで発表されたヴァシュロンのイエローゴールド製222は、教科書的な復刻版だった。しかし新しいインヂュニアは、ヘリテージを取り入れて復活させる試みだ。
新型のスティール製インヂュニア。
スティールモデルは、ホワイト、ブラック、グリーンブルーのパターンダイヤルを採用しているのが特徴だ。これらの時計を手に取ってみると、アクアノートの面影があり、ブレスレット一体型スポーツウォッチを再解釈するという現代のトレンドに確かに合致している。しかしインヂュニアが何年もIWCのカタログから消えていたわけではない。実際のところは今日まで放置されていたようなものだが、以前は非常に大きな価値を持ち、IWCのなかでも最も安価なモデルのひとつであった。でも、それはもう過去のことである。
今回、IWCはW&Wのエネルギーをすべてインヂュニアに注ぎ込み、新たな位置づけで発表した。スティール製で1万1000ドルを超える価格(日本の税込定価は156万7500円)だ。さらにIWCはスティール製インヂュニアのトリオを発表しただけでなく、チタン製モデルも1本同時に発表した。
チタン製インヂュニア。
それは秘密裏に行われたリリースであり、ショーで IWCに合うまで、その存在すら知らなかった。この時計はグレーの文字盤、ダークグレーの色調を持つチタンケースとHリンクブレスレットなど、擬似オールグレーの美しさを備えており、ほかのスティール製モデルとは一線を画した特徴を持っている。
しかし、ただのチタン製ケースとブレスレットというわけではない。サンドブラスト加工が施されており、美しいテクスチャーを実現しているのだ。少なくとも私のなかでは、このモデルはスティール製ではないため、一体型スティール製スポーツウォッチという括りからは逸脱している。実際、チタンはスティールより45%も軽いのだ。チタン、特に金属の処理によって、この時計は1970年代のジャンボ SLの時代とはかけ離れた独特の外観を持つようになった。しかしインヂュニアは、現代の文脈にしっかりと適合しているのである。リューズガードやベゼルのネジなど、スティールモデルに見られる新しいデザインコードもすべて含まれており、SLのためにジェンタがデザインしたものを思い起こさせる。
40mmというサイズは決して小さなものではないが、最近のテイストを考えれば納得のいくサイズである。10.7mmと薄型で、ケースバックはクローズドバック仕様(120時間のパワーリザーブを持つCal.32111を搭載)、100mの防水性を備えている。
もちろんプレミアムな価格でなければチタンモデルは手に入らない。価格は195万8000円(税込)で、インヂュニアはショパールのアルパイン イーグルのようなスポーツウォッチとはまったく異なるカテゴリーに位置づけられている。
その分、価格にパンチが効きすぎているだろうか? その答えは購入者個人の心のなかにある。私が思うに、これはブランドによるモデルレンジを再配置するための戦略的な動きであり、価格がどうであれ、このチタン製のバリエーションは傑出したものだと思うのだ。
70年代のジェンタを中心としたインヂュニア(とそれに付随するデザインコード)のヘリテージと、文字盤のクラシックなインヂュニアロゴのあいだで、この時計は自らの歴史に浸っているように感じる。それでも市松模様の文字盤、モダンなIWCのロゴ、そして40mmのサイジングにより、誰もこの時計をヴィンテージウォッチと混同することはないだろう。
この先、このモデル展開がどうなるかは誰にもわからない。 しかしIWCはインヂュニア(特にチタンモデル)で、今後のコレクションにおける新章を開くような声明を発表したのである。
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詳しくはIWCのウェブサイトをご覧ください。HODINKEE Shopでは、IWCの中古時計を多数取り扱っています。
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