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Three On Three 150万円以下で買えるチタンウォッチ決定戦

チューダー、グランドセイコー、ゼニスからお気に入りのチタンモデルを紹介しつつ、議論を繰り広げた。

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Video Editor: Joe Wyatt

チタンウォッチはここ数年で人気が急上昇した。この質量の軽い金属は少なくとも50年以上前から時計製造業界で採用されてきたが、最近になって企業規模の大小問わず、さまざまなブランドにて価格の高低問わず使われるようになった。ロレックスがヨットマスターで初めて採用した製品として事実上“入手可能な”チタンモデルをはじめ、シチズンバルチックなどの手頃な価格の時計まで、選択肢は豊富だ。

 今回のThree on Threeでは、そのチタンにスポットライトを当てる。数多くのチタンモデルがあるなかで、私たちはもう少し絞り込みたいと考えた。そこで私たちは、1万ドル(日本円で約150万円)以下のチタン製時計のなかから、まったく異なる3つのモデルを選び、それぞれの長所を議論した。チューダー ペラゴス39、グランドセイコー SBGA 211 “雪白”、そしてゼニス デファイ リバイバル シャドウの3本である。価格は65万7800円から95万円1500円(すべて税込)で、それぞれがブランドのアイデンティティを損なわずにチタンのユニークなテイストを活かしている。

 3本の時計はそれぞれ現代的なツールウォッチ、日本のクラフトマンシップの極致、そしてレトロでクールなデザインと、テイストが異なる。この3本の時計は、各メーカーがチタンを単にスティールに変わるクールで軽量な素材ではなく、独自の素材として捉え直していることを示すものだ。チューダーは、最も人気があり機能的な現代のツールウォッチのひとつを作り出すためにチタンを採用し、グランドセイコーは、その繊細な仕上げ、スプリングドライブ、そしてもちろん、ダイヤルワークを披露する新たな表現を獲得するために採用。ゼニスは、レトロな表現に適した現代的な素材として取り入れている。

best titanium watches under 10,000

ブランドン、ジョナサン、トニーの3人が、150万円以下のお気に入りのチタンモデル3本について論戦を交わす。

 チタンが時計製造にとって興味深い素材であるのは、単に軽いからだけではない。昨年の記事で、私たちはSSとは異なるチタンのさまざまな特性について紹介した。同記事のコメント欄では、素材の弾性率、熱伝導率、製造コストについてマニアックな議論が活発に交わされた(読者の皆さん、協力ありがとう!)。チタンについての入門的な知識が欲しければ、前述の記事をチェックしてほしい。時計を含む質量の大きい物質に感じる魅力は、原始人類の収集生活から染み付いた本能的なものだが、それは変わりつつある。

 軽量なチタンモデルを身につけるという先入観を乗り越えれば、愛すべきモデルが数多くある。それでは、動画を楽しみながら、150万円以下のチタン製の時計についてお話ししよう。


チューダー ペラゴス39
tudor pelagos 39

 チューダー ペラゴス39についてほかに何が言えるだろう?

 「素晴らしいダイバーズウォッチだ。便利で、よくできていて、サイズもちょうどよく、モダンで、繊細で、ツールウォッチ然としており、完璧な装着感をもたらしてくれる。自分のコレクションにほかの時計は必要ないと思わせるような、そんな時計だ。僕も含め、誰もがこの時計を手に入れるべきと思うほどだ」。ジェームズ・ステイシーは、A Week On The Wristのなかで本モデルをそのように評価している。

 初代チューダー サブマリーナーを形状だけでなく、目的においても最も純粋に現代風にアレンジしたように感じられる。毎日身につける現代的なツールウォッチをつくるとしたら、もちろんチタン製になるだろう。軽量で傷に強く、耐久性に優れたチタン。私たちはチューダーのモダンなツールウォッチが大好きだが、ペラゴス39はそのなかで最もモダンで、特にツールウォッチらしく感じる。確かにオリジナルのペラゴスは2012年から存在しているが、それはヘリウムエスケープバルブ(HeV)を備えた最高スペックの500m防水ダイバーズという異質なものだった。

tudor pelagos 39 titanium

 ペラゴス39は、より多くの人々に楽しんでもらうためにデザインされた、初代モデルのダウンサイジング版である。200m防水(それでも十分すぎるほど)で、HeV、自動調整スプラングクラスプを搭載せず、超マット仕上げで抑制するなど、控えめなスペックへと改められた。

 しかしペラゴス39は、より大きなマーケットを開拓するために手を抜くことはなかった。ジェームズはIn Depthのレビューのなかで、ペラゴス39を“パパ(ママ)ダイバーズ”と呼んだ。彼はこの点を強調するために、私にはよく理解できないクルマに喩えたが、なるほど、この叙述的な呼び名は理にかなっている。ペラゴス39は、スーパーやサッカーの練習、あるいはランニングなど、毎日身につけるものだ。以前ほどはダイビングをしないかもしれないが、またやりたいと思うのではないだろうか? ペラゴス39は、懐かしいあの頃を思い出させてくれる存在なのだ。

titanium tudor pelagos 39 wristshot

 現代的で手頃な価格のツールウォッチをつくるブランド、チューダーによる、チタンの最もふさわしい使い方である(そう、税込65万7800円が“手頃な価格”とされる奇妙な世界では、ごく手頃な価格だ。ちなみに、ペラゴス39は2022年8月に税込53万7900円で発表されたが、その後2度の価格改定が実施された。ここ数年で見た最もひどい値上げには程遠いが、それでも特筆に値するほど跳ね上がった)。ブラックベイとブラックベイ58(および54)は、チューダーのヴィンテージダイバーズにインスピレーションを得たヘリテージモデルだが、ペラゴスは過去への露骨な言及はしていない。昔に重きを置いていないのだ(軽量なチタンだけに!)。

tudor pelagos 39 dial
tudor pelagos 39 titanium case

 ペラゴス39でチューダーはグレード2のチタンを採用し、完全なマット仕上げを施した。唯一のコントラストは、放射状にサテン仕上げされたセラミック製ベゼルだ。グレード2のチタンはオールチタンで、グレード5のチタンはアルミニウムとバナジウムを含む合金である。グレード5はより硬く、高級品に使われることが多く、低価格のものにはグレード2が使われることが多い。マット仕上げは、ペラゴス39のツールウォッチとしての控えめな性質に寄り添っている。例えば、チタン製ヨットマスターに見られるようなポリッシュ仕上げの面取りがあってもよかったかもしれないが、この時計はこれでよしとしている。

 この時計は同じ重量で比較するならば、現代のツールウォッチのマーケットにおけるトップクラスの出来栄えだ。


グランドセイコー SBGA 211 “雪白”
grand seiko sbga 211 snowflake

 ペラゴス39についても述べたが、雪白も同様である。言えることがないほど素晴らしい。

 2011年にグランドセイコーがSBGA211を発表して以来、本モデルはグランドセイコーの現代のカタログ中、最も象徴的なモデルとなっている。スプリングドライブのムーブメント、針、インデックス、限りなく完璧に近い仕上げを特徴とするケース、そして雪の結晶にインスパイアされた質感のダイヤルなど、グランドセイコーのグランドセイコーたる所以をすべて備えたモデルだ。チタンの採用ひとつとっても、その軽量性が雪の結晶のようなダイヤルの軽やかな輝きにマッチするよう配慮されている。すべてが完璧に調和しているのだ。秒針は降り積もったばかりの雪の上を滑らかに動き、手首につけても非常に軽いため、ほとんど意識しなくともよい。グランドセイコーの場合、ダイヤルを際立たせるデザインを選択することが多いが、雪白ほどそれが見事に融合しているモデルはない。

 「スプリングドライブ “雪白” SBGA211は、非常に安定感のある時計だ」。私たちはA Week On The Wristで本モデルをこう評した。「全体としては、退屈さのない静けさ、おもしろさを失わないミニマリズムの効果を生み出すように計算されているように思える」。明快で、機能的で、正確で、美しい。2017年、グランドセイコーは独自ブランドとなり、グランドセイコーの名とロゴは6時から12時位置に移った。かつての冗長な“Seiko Grand Seiko”は消え去り、その分、この時計はより落ち着いた佇まいになった。

grand seiko sbga211 snowflake

 伝統的な意味でのツールウォッチというわけではないが、現代社会におけるツールのように感じられるのは確かだ。ドレッシーかつカジュアルでもあり、100m防水を備えているので、日常的に遭遇する水しぶきにも対応できる。手首のサイズ(直径41mm、厚み12.5mm、ラグからラグまでの全長は49mm)によっては少しぼってりしているが、ラグが下向きにカーブしているため、ほとんどの手首にうまくフィットするだろう。

 雪白にはグレード5のチタンを採用する。グランドセイコーはケースとブレスレットに、ポリッシュ仕上げとサテン仕上げをミックスさせることで、その仕上げの技巧を誇示することに成功しているだけでなく、セイコーが“高輝度”と呼ぶチタンを採用し、耐傷性も高めている。この仕上げのバリエーションはほかの2本にはないものであり、この仕上げには目的がある。ポリッシュ仕上げとサテン仕上げが織りなしているおかげで、SBGA211の万能性は非常に高いのだ。

grand seiko snowflake sbga211

 チューダーやペラゴスのように、グランドセイコーがチタン自体を目的に採用しているとは感じられない。GSカタログの多くに見られるように、綿密な思慮に基づいているようだ。そのおかげで、まるで雪の結晶のように軽量な時計に仕上がっている。さらに重要なのは、ともすれば重くなりがちなこの時計を、非常につけやすくしていることだ。雪白の精度は、スプリングドライブムーブメントのおかげで他社とは一線を画したものとなっている。

grand seiko snowflake dial macro
grand seiko spring drive movement

 しかし、その機能性以上に、雪白はその純粋なデザインで時計愛好家を魅了する。チタンのフィット感と仕上げが、この体験に貢献しているのだ。私たちがグランドセイコーに期待してきたことだが、雪白は、おそらくほかのどのGSよりも、完全なパッケージとしてまとまっている。税込81万4000円という価格帯において、雪白は最高の時計のひとつであるという事実は揺るぎない。


ゼニス デファイ リバイバル “シャドウ”
zenith defy shadow

 ペラゴス39や雪白とは異なり、ゼニス デファイ リバイバル シャドウについては、2023年3月の発売以来、それほど話題になっていない。2022年にデファイ リバイバルを復活させたあと、ゼニスはこのモデルにチタンを採用した。SS製のデファイ リバイバルと同じシルエットと多角ケースを採用し、マイクロブラスト仕上げを全面に施したチタンモデルとなった。デファイ リバイバル シャドウの直径は37mmで、特徴的な14面ベゼルとゼニス謹製のラダーブレスレットを備えている。素材こそ現代的であっても、デファイは紛れもなくレトロな雰囲気を漂わせている。カラフルなグラデーションダイヤルが多かった1969年発表の初代デファイとは異なり、新しいデファイ リバイバル シャドウは、その名のとおりマットなブラックダイヤルが合わせられた。

zenith defy revival shadow

 初代デファイと2022年に発表されたリバイバルのケースは、サテン仕上げとポリッシュ仕上げのさまざまな表面仕上げが施され、ケースに多くの構造と個性を与えている。シャドウでは、ケースとブレスレット全体がマイクロブラスト仕上げのチタンで表現され、すべてがモノリス(一枚岩)のように見える。異なる表面とファセットは、SS製のデファイのように光をさまざまに捉えるのではなく、むしろ光を吸収するようにも見える。明らかにレトロなケースに、このようなモダンな素材を採用するのは大胆な選択だが、ゼニスは意図したものだという。1969年当時、デファイは非常にレトロフューチャー的であり、2023年に同じアイデアがマットチタンの時計に現れるのは理にかなっていると言えるだろう。

 チタン製ケースに合わせ、ダイヤルはマットブラックで、昨年発表されたSS製デファイと同じ水平の溝を持つスペースエイジ風のインデックスが配されている。デイト表示は4時30分位置にあり、針にはベージュ色のスーパールミノバが塗布されている。

zenith defy revival shadow titanium
zenith defy revival shadow on bracelet
zenith defy revival shadow on bracelet

 ゼニス デファイ リバイバル シャドウのレトロな外観を演出するのは、ラダースタイルのブレスレットだ。このタイプのブレスレットは、ゼニスがヘリテージにインスパイアされた時計の多くに組み合わせるべきものであり、このモデルではうまく機能している。ケースとの統合はシームレスとは言えないが、ブレスレット自体はデファイに完璧にマッチしている。ハシゴのような形状のカットアウトがブレスレットをさらに軽くし、手首につけてもほとんど違和感がない。

zenith defy revival shadow titanium dial

 希望小売価格税込95万1500円のデファイ リバイバル シャドウは、今回のThree on Threeで最も高価な時計だ。あまり見かけない素材と仕上げであっても、3針時計としては高額だ。私にとっては、雪白やペラゴス39に対するプレミアムは、デファイ リバイバルが割高であるというよりも、それらの時計が価格に対して高い価値を提供していることを物語っている。

 150万円以下のチタン製ウォッチのなかから、私たちのお気に入りの3本を取り上げた動画ディベートをお楽しみいただければ幸いだ。