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Auctions ロレックス デイトナ Ref. 6241の希少な"JPS"(ジョン・プレイヤー・スペシャル)ダイヤルが約2億円で販売され、最高落札額を更新

日本から出品された1968年製のJPSが記録を更新した。

昨年、サザビーズで約1億6000万円で落札され話題となったロレックス デイトナ Ref. 6241 ジョン・プレイヤー・スペシャルの別の個体が、11月25日にフィリップスが開催した香港ウォッチオークションXIIIのロット819で登場しました。本オークションでの当初のエスティメートは、465万〜940万香港ドル(約6800万〜約1億3700万円)。それに対して結果は、ハイエスティメートを約1.4倍以上も上回る1356万香港ドル(約2億円)で販売。同モデルの最高落札額の記録を塗り替える結果が大きな話題となりました。

 ロレックス デイトナ Ref. 6241は1965年に発表され、アメリカ市場向けにステンレススティール、18K イエローゴールド、そして14K イエローゴールドの3種類で展開されました。生産期間は1969年までのわずか4年間で、総生産本数は3000本程度と推定されており、最も希少なデイトナのひとつとして挙げられます。

 ブラックのアクリル製ベゼル、ポンププッシャーが特徴で、当時はブレスレットやレザーストラップでも販売されていました。ムーブメントは、1965年から1967年頃の初期型にはCal.722が、後期型にはCal.722-1を搭載。また、Ref. 6241の一部には、シンガー社(Singer)が製造していた"ポール・ニューマン ダイヤル"を備えた希少モデルも存在し、コレクター垂涎の的となっています(詳細は、記事「ロレックス ポール・ニューマン デイトナの全て」をご覧ください)。

ロータス・78(写真: Getty Images)

 そして、より希少なのものが今回の「ジョン・プレイヤー・スペシャル」(JPS)です。最大の特徴はゴールドとブラックのポール・ニューマン ダイヤルを備えた金無垢のデイトナ Ref. 6241であるということ。18Kイエローゴールドケースのモデルは、300本に満たないといわれています。ニックネームのJPSは、1972年にイギリスのたばこ会社ジョン・プレイヤー・アンド・サンズがF1チーム「ロータス」のスポンサーとなり、黒地に金のラインと文字で飾られたクールなレーシングカーに由来しています。

 今回のフィリップスのロットは、日本のコレクターから提供されたもので、非常に状態がよかった点が高く評価されるポイントとなりました。ゴールドのレジスターにある同心円状のトラックには鮮やかなコントラストが見られ、シャンパンカラーの外周を囲むように配された夜光のプロットは、ゴールドの針と同じ色調でエイジングされ、破けたりすることなく完璧に維持されています。6時位置には、1960年代末頃のモデルに見られる「T-SWISS-T」の刻印も確認できます。

 この時計を特別にしているのは、希少なダイヤルや良好なコンディションもさることながらより細かい部分「ホールマーク」にありました。ひとつめは、ケースバックの中心部分にある小さな刻印。拡大してみると梟(ふくろう)であることがわかります。これはフランスに他国から輸入される際に押されるもの。シリアルナンバーからフランスに納品された最後の生産ロットであることが判明しています。

ケースバックの中央部分にあるホールマーク。

フランスに輸入されたことを示す梟のホールマーク。

 ふたつめは、2時と7時位置のラグの裏にあります。18Kゴールド以上であることを示すスイスの刻印で、女性の横顔が確認できます。この女性は、スイスを象徴する女神ヘルヴェティアで、同国のスイスフラン硬貨にも描かれています(1995年にセントバーナードの刻印に変更されたため今は見られない)。

ジュネーブ・ヘルヴェティアの刻印。

2スイスフラン硬貨に描かれたヘルヴェティア。写真: Wikipedia

 昨年、サザビーズで落札されたジョン・プレイヤー・スペシャルは、ブレスレット仕様です。今回フィリップスに登場したのはストラップ仕様でした。ラグとラグのあいだに見られる酸化具合やエンドリンクがついていた痕跡がないことから、この時計が60年代にストラップ付きで販売されていたことがわかります。

 腕時計のオークションではコンディションのよさがもちろんとても重要です。パーツなど時計を構成するものがいかにオリジナルであるか、付属品などが揃っているかということもポイントなのです。今回のように大きな結果をもたらすのはさらに細部の要素。この個体の場合は、これまでオークションで販売されたことがなく初登場であったこと、日本からの出品であること、そしてこの時計の出自をたどるような興味深い刻印が施されていることなどがそれに当たります。

 ジョン・プレイヤー・スペシャルの記録は、昨年のサザビーズ・オークションからわずか1年半ちょっとで更新されることとなりました。価格高騰はとどまることを知りませんが、出自をより明らかにするディテールが重要になってきています。ある種バブルの様相をていしていることからこういった研究をおこたると、思わぬ高値づかみや価値の氾濫を招く恐れも。そのため、僕たちは今後もなるべく多くの手がかりをシェアし伝えていきたいと思います。

 オークションについての詳細は、フィリップス公式サイトへ。ロット819に関してより詳細を知りたい方はこちら